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深く暗い“意識の奥底”から、俺は少しずつ浮上して行くのを、朦朧とする中、僅かに感じた。

…起きなきゃ。そう思った。



重い瞼を無理矢理持ち上げ、目を開けば、視界はありえないくらいボヤけていて、俺は少しクラッとした。


しばらく、目を細めたり、パチパチと瞬きをしたりして、俺は目を慣らした。

辺りは薄暗いようだったので、目は比較的すぐに見えるようになった。


視界が開けると共に、頭も少しずつだが、正常に働き出した。



…ここは、何処だ?

ここは、廃屋だ。


なんで、こんな所に?



…そうだ!俺は…っ!



俺は、ガバッと勢い良く上半身を起こすと、辺りを見回した。



悪魔は?男の死体は?



…悪魔は、そこに居た。

俺から少し離れた所で腕組みしながら立って、俺を見ていた。


…その目は、何故か酷く揺れていた。まるで、何かに怯えるかのように。




俺は、カラカラになった口を開いて、声を絞り出した。


「…ぁ、ぁの……あの男、は?」



悪魔は、数回口をパクパクさせた後、


「…上の部屋に転がってるよ。ここは、さっきまで居た所の1階下だよ。」


と、静かに言った。



「…アイツ、死んだの?」


俺は、わかりきった事を聞いた。


…悪魔は、答えない。


「俺が…、俺が殺した、の?」



悪魔は、静かに目を伏せた。

…何故か、辛そうに見えた。



“俺が人間を殺した”


その事実が怖くて、怖くて。

俺の体はカタカタと震え出した。



悪魔は、近づいては来ない。

その場で、ジッと俺を見るだけ。


俺は悪魔が今、どんな目で俺を見てるか、なんて見る余裕は無かった。

ただ、見られている、と言う視線だけを感じた。



…悪魔は、重々しく口を開いた。


「……こんな時に酷…かもしれないけど、キミには、話さないといけない事がある。」



こんな時に、話さないといけない事って何?

俺は、嫌な予感しかしなかった。


そもそも、この場にまだ悪魔が居て、俺が目を覚ますのを待っていた時点で、まだ何かある、とは思っていた。



「…なんですか?」


思わず、敬語で聞く。



悪魔は、一呼吸置き、辛そうな顔を一瞬見せた後、



「……“契約書”、の事だけど…。」


と、言った。




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