Scene 6 事情確認
みさとが着替えを持ってきた。
「なんだよ、じっと見てんじゃねーよ。」
みさとはニンマリ笑う。
「いいジャン別に。減るもんじゃないでしょ。女のコみたいな事言わないでよ、気持ちワルイ〜。」
また始まった。
「あのなぁ、みさとがもし俺にじーっと着替えみられたら嫌だろ?」
みさとはさらにニヤニヤする。
「へ〜。アッちゃんわ〜、ボクのからだ〜、みたいんだぁ…。」
「ちが…!」
「えっち。」
みさとは顔を赤くした。
「だから、自分がされて嫌な事はひとにするなってこと!小さい頃いわれたろ!」
「別にいいよ?アッちゃんになら、ボクの体みられても。」
明らかに俺をからかってるのがわかる。ちょっとムカついた。
俺もまだ青いな。
みさとが着替え終わった俺のシャツをたたんでくれてた。
「あらら〜。しかしまあ派手に紅く染まっちゃったね、このTシャツ。これじゃあ殺人鬼に間違われてもしょうがないよ。」
「みさと、人事だと思ってるだろ?」
「だって人事じゃない?」
ああいえばこう言う。
昔は人懐っこくて可愛いやつだったのに。
「あーあ、なんで俺こんな目にあわなきゃいけないのかね。」
みさとが真面目な顔で俺を見る。
「だったらさ、逃げないで堂々と駆け付けた警察のひとに事情を説明したらよかったジャン。逃げ出したアッちゃんが悪いと思うよ。逃げたらそりゃ、疑われちゃうって。」
返す言葉もない。
その通りだ。
反省しなきゃいけないが、それよりも確認しなきゃいけない事があった。
「なあ、みさと。」
「なーに?」
「あのさ、松葉さんに電話した時にさ切れちゃう直前にさ、連続殺人があったって聞こえたんだけどさ。」
「…うん。」
みさとの顔が曇る。
「あのね、身元不明の男性が最初に遺体で発見されたんだって。」
「…もうひとりは?」
「アパートの管理人さんだって…、ねぇ?アッちゃんホントに知らなかったの?」
「ああ。俺、管理人さんに見つかったあとパニックになっちゃってさ。慌てて警察呼ばれたと思って気が動転してさ。とりあえず逃げ出したんだ。まさか、管理人さんが殺されたなんて。」
そうだ。俺が逃げ出してから警察がくるまでそんなに時間は無かったはずだ。
なにか、ひっかかる。「アッちゃん、とりあえずいつまでもここにいても拉致あかないよ?」
それもそうだ。
とにかくゆっくり落ち着いて状況を整理したい。
「そうだな。あーあ、転勤してきたばかりなのにな。仕事休まないとマズイよな。」
「そだね。大事はとるべきだよ。何が起きるか解らないから、ね!」
みさとがニコッと笑ってくれた。
「ねぇ?アッちゃん。どっかでご飯食べてかない?ボクさぁ朝からバタバタしてたからさ、あまり食べてないんだ。」
そういえば俺も飯食べてなかったな。
確かに腹へった。
「よし、じゃあアースラークでいいか?」
「うん。いこいこ!」
俺達はちょっとおそめの朝食をとりに街中へと向かった。