惨殺された聖女は、任命式前に巻き戻る
――私は、惨殺された聖女である。
あれは最期の瞬間の直前。
「貴方が悪いのよ。簡単に騙されるんですもの」
高位貴族たちが見下すようにしながら私を囲んでいた。美しい装いに醜い笑顔を貼り付けて。笑い声が響いた。
指を落とされ、腕を失い、欠損していく肉体の苦痛にのたうち回る姿をあざ笑われながら。
「…………フェリシア…………」
最後のあの時。
もう目も開けられなくなった後で、遠くから、婚約者の声が聞こえてきた気がした。
低く掠れた声を絞り出すような、あの人の声。そんな訳ないのに。あの人は私を求めていなかったのに。
――私はあの日。
『紛れもない聖女であるが故に、国に殺された』
☆☆☆
「おはようございます。フェリシア様」
メイドがそう言ってカーテンを開けていく。ベッドの上から明るい日差しに目を細める。まるでいつもの静かな朝の風景。
「本日は良いお天気ですね。女神さまも任命式を祝ってくださっているのでしょう」
そばかすの元気な笑顔を私に向けてくれているメイドの顔を見て驚いた。
「……アン?」
どうしてアンが? だって、私を庇って死んだはずなのに。
「聖女様?」
見回すと、この部屋は、王宮に用意された私用の客室だ。心臓がドクンと跳ねる。
……どうして?
何か恐ろしいことが起きているのを感じる。どうして、私は生きているの?
「どうかされましたか?フェリシア様」
アンは田舎から出て来た素朴な少女で、明るくて、でも泣き虫で心優しかった。冷遇される私の為に泣いてくれて、最後のあの時も、拘束されようとする私を庇って切り殺されたのだ。
「……アン?」
夢なのだろうか。泣きそうになって、だけどそんな私にアンは不安そうな顔をした。
そろりとベッドから降りるとアンが怪訝な顔をしたまま付いてくる。
鏡の前に立つと、少し若い頃の私が映っていた。
死んだはず、けれど、こうして生きているらしい。少しだけ若返って。
「……任命式と言ったかしら?」
「はい。そうですよ。今日はすぐにお支度を開始して、準備を整えなくては」
教会にて、女神様の加護を持っていることが判明し、聖女に任命されることになったのだ。けれどそれは三年前のこと。15歳の、まだ何も知らなかった頃。
「……分かったわ」
「どうかされましたか?」
若い私。死んだはずのアン。三年前の時間。
――ああ……女神様。奇跡を起こされたのですね……!!
瞼を閉じ、神に祈る。私は神に祈ることしか取り柄のない聖女だったけれど、きっと、だからこそ……。
奇跡が、起きたのだろう。
「フェリシア様?」
「……なんでもないのよ」
アンはいつもと違う私の様子に首を傾げている。本当ならば私は、幸せそうな笑顔を浮かべて一日を過ごしているはずなのだから。
――――時が、戻った。
こんな神の悪戯が起きるだなんて。
泣きそうになってから、涙を堪えて笑顔を浮かべる。
「アン、いつもありがとう。今日は忙しくなるわよ」
「はい。聖女様」
本当に……もしかしたら最初で最後の、人生で一番の忙しい日になるのかもしれない。
「支度をお願い」
「はい。それでは湯あみをお願いします。そして本日のお召し物に着替えをお願いします」
聖女任命式の一日は、忙しくなる。
だから、考え事をするのは、全ての支度をメイドたちにやってもらうこの時間しかなかった。
――湯あみをしながら。
『聖女は女神のいとし子』
女神に愛されるが故に、聖女の望みは叶えられる。とはいえ、女神に出逢えるのは教会の儀式のときだけ。聖女が勝手に呼び出したり望みを伝えることは叶わず、望みを伝えられるのも通常一度きりだ。
それは任命式の日。教会にて初めて聖女としての祈りと願いを神に捧げるときだけ。
――体を拭かれながら。
『三年前の任命式』
あの日私は、教会の教えのままに、国の繁栄と民の幸福を祈ったわ。けれどきっと、教会に言われなくても、そう願っただろう。貧乏男爵家に生まれたけれど、物心つく前に親を亡くし、男爵家も無くなった。孤児院で育って、そこは伯爵様の運営する孤児院で、優しいシスターたちと、飢餓を感じないでいられる生活を与えられていた。私は生きていることと伯爵様とこの国に深く感謝していた。聖女になってしまうほどに、敬虔に祈り続けた。……のちに裏切られるのだけれど。
――着付けをしながら。
『王太子殿下オスカー様のこと』
彼が幼い頃、教会の予言があった。『七年後、十五歳の聖女が現れる』と。
それは私が八歳のころ。
そんなに早くから聖女として女神様に見出されていたのだろうか。
とんでもない予言を女神様がしたものだ。本当に女神様がしたのだろうか?教会の数々の不正を知ってしまった今では疑ってしまう。
聖女は歳の近い王太子の伴侶になることが国として決定された。反王太子派が、王太子の婚約で結びつく勢力を失わせたかっただけなのではないだろうか?
――化粧と髪を整えられながら。
『私を直接的に殺した人』
最後に嘲笑っていたご令嬢は、孤児院のあった伯爵領のガーベラ様。王太子殿下と敵対している第二王子殿下の婚約者だという。ずっと感謝の祈りを捧げていた伯爵様のご令嬢。幸福でいられるようにと祈り続けたのだ。だからまさか、そんな方に殺されるとは思っていなかった。あまりに衝撃的で、後悔と憎しみが膨れ上がった。
顔を歪める私を見てアンが言う。
「フェリシア様どうかなさいましたか?」
「いいえ……綺麗にしてくれてありがとう、アン」
鏡に映っていたのは、まだ幼さを残す顔立ちの、だけど見ただけで聖女と分かるような、とても美しく整えられた……15歳の私だった。
「お綺麗です。聖女様」
綺麗な綺麗な。
国のための生贄の聖女。
ふと、扉の方が騒めき出した。
「王太子殿下が面会を希望されているそうです」
「……え?」
ここは王宮の客間。場所だけならば、王族が現れてもおかしくないところなのだけど。
けれど、嘘でしょう?三年前にそんな出来事はなかったのだから。
「……断ってもいいのよね?話している時間なんてないのでしょう?」
「確かに時間はありませんが、でもお断りなど……出来かねるのでは……」
「緊張してとてもお会い出来ないわ……お願い、伝えるだけでも」
「はい」
三年前、王太子殿下オスカー様とは、この時まだ面識がなかった。
婚約は内定していたけれど、任命式のあとに発表される。
だから面会の申し出など本来ならあり得ないはず。
――――何故。
心臓が痛い。
あるはずのない面会。
まさか……と考えてしまう。
何か異変に気が付いている?それとも……。
この異変に彼も巻き込まれて?
思考が巡る。だけど、もう時間がない。一瞬だけ固く目を瞑り、決意する。
神の奇跡を無駄にはしないんだって。
「無理はしないでいいとのことでした……」
「ありがとう。アン」
もう、考えている時間もないだろう。
任命式は王宮内の教会で行われる。
支度の終わった私は、白く輝く王宮内の廊下を歩いている。
「さぁ、聖女様、もうすぐです」
「ええ、アン」
こつこつと、音を立てて歩きながら、私はまもなく女神の前で祈りと願いを捧げるのだ。
☆☆☆
婚約者になる王太子殿下、オスカー様に初めてお会いした日。
私より三つ年上の彼はその時十八歳のはずだったけれど、まるで壮年の男性のように大人びた佇まいをしていた。
王族特有の漆黒の髪に、光の加減で金色に輝く茶色の瞳を持った、凛々しい顔立ちの青年だった。バランスの取れた背の高い体躯に、整った目鼻立ち、何より彼は気品に溢れていた。
眼差しも、言葉遣いも、圧倒されるように美しい存在。
目力のある切れ長の瞳を持ち、そのカリスマ性で臣下から人気がある方なのだと言う。
けれど、私は彼を怖いと思った。
その表情のない相貌から、疲れたような眼差しが私を見据えると、瞳の奥からは諦念のようなものを感じた。
当たり前だけど、望まれてはいないのだわ……そんなことを理解した。
孤児院出身の聖女と婚約させられた、この国で陛下に次ぐ尊い存在のお方。
彼ならばどんな女性でも望めたのだろうに。最下層の人間を妻にしなくてはいけなくなった、お可哀そうな方なのだ。
「急なことで驚いているだろうが。どうか私と婚姻し、この国の為に生きて欲しい」
それでも彼は誠実な言葉を与えてくれた。
きっと、全てを諦めて受け入れるのね。それはとても立派なことだわ。
私は私の中の何かが傷ついて、だけどいつもと同じように、諦めた。
両親が亡くなったときも。孤児院での生活も。聖女だと言われたときも。
今も、なりたいわけでもない聖女になり、王宮に連れてこられて、断ることなど許されなかった。
仕方がないことばかりで、いつもずっと何かを諦めていたから。もう、何を諦めたのかも、よく分からないまま。
☆☆☆
「お前に国のことなど分かるものか」
それは、王太子殿下オスカー様との婚約が決まり、二人だけの茶会の時間を持つようになってから言われたこと。
「……申し訳ありません」
彼の言うことはもっともだった。孤児院育ち。神に祈ることしか出来ない私に、国を統治することの意味など分からない。
私の謝罪に彼は深くため息を吐いた。私たちは生まれも育ちも違い過ぎて、良好な婚姻関係など結べそうもなかった。
「違う……」
彼は言った。
「言い方が良くないな。どうやら俺は、伝えたいと思うことがある時ほど、口下手になるのだと、妹たちによく言われる」
「はい……?」
不機嫌そうな表情の殿下の眼差しを受けて萎縮する。何かお気分を害したのだろうか。
「突然王太子妃になれなどと、荷が重いことだろうと思う。けれど、もう変更は出来ない。だから、お前はお前の出来ることをしてくれ。無理に俺の手伝いをしようとしなくて良い。聖女として、お前として、自由に振舞ってくれ。それが叶えられるように手はずは整えよう。無理はするな」
「……」
思っていたものと、違う方向性のお話だった。
「それで、いいのですか?」
「問題ない。聖女が伴侶になることが分かった時点で、必要な人材を側近として確保しているのだ。重責をお前一人に背負わせるつもりなどない」
「はい……」
本当なのだろうか。真意を問うように彼の綺麗な瞳を見つめると、殿下は少しだけ視線を伏せた。
「だが、俺に……悪いが、多くを求めないでくれ。人並みの伴侶としての時間を取れるとは思えない」
「……」
本来ならばそんな台詞は、方便のように聞こえてきそうなものだけど。
オスカー様はいつも目の下にくまを作っていらっしゃる。
「睡眠をきちんと取られていますか?」
「ああ」
「……どれくらいですか?」
「睡眠?……どれくらいだったか?」
後ろに立つ護衛に問うオスカー様に、小さく二時間もありません、と恐ろしい答えが返る。
唖然として護衛の方を見て、そうしてオスカー様を見つめた。
ついには「そんな目で見るな」と言われてしまう。
まさか。
いつも疲れたような眼差しを私に向けていたのは……本当に疲れ切っていたから?
病に伏して長い陛下。国王代理として、ずっと国を背負って来たオスカー殿下。
伴侶になる私にも、聖女として自由にしていいのだと、同じものを背負わせようとしない人。
私は一人孤高に立つ、気高い王太子殿下の姿を見た気がした。
全てを背負って、全てを抱え、そうして疲れ切っている、とんでもなく高貴な方なのに不器用に生きている。
そこからは、少しずつ彼を知ろうとした。
好きなもの、嫌いなもの、何を感じるどんな人なのかを、知りたいと思った。
だけど私は質問の返事にただ驚愕しただけだった。
常識的な返答はしてくれるけれど、「対外的に」言う台詞は沢山持っていても本当の意味での好き嫌いがないようなのだ。
「小さな頃は嫌いなものも多かったのだが、嫌いなものなど許される環境ではなかったからな。味も分からず食べているうちに、嫌いなものなど分からなくなったな」
「……」
「だが、そうか、私は、好きなものも分からない男なのだな……」
彼はあまりにも、伴侶になる私に対して誠実でいようとしてくれた。きっと本当ならば言わないだろう言葉も私には伝えてくれる。
好ましいと思った。
嫌いな人ではないと。
不愛想なのではなく、表情筋が死んでいるのだとか。
冷たい眼差しなのではなく、疲労困憊なのだとか。
口下手なのに、懸命に言葉を探そうとするところとか。
知れば知るほど、全部が、好ましくて。
本当は、そのころ、私は少し悩んでいた。
神に祈りを捧げ、神に愛される聖女のはずなのに。貴族たちから投げかけられる眼差しは、私を尊ぶものとは真逆のように思えた。彼らにとっては、聖女だろうが、王太子殿下の婚約者であろうが、下賤の者には変わりがなかったのだろう。
聖女の立場を与えられ、国の繁栄を願わされ、私という人間の、自由に生きる未来を失った。
だけど、そうして私を束縛する国の代表の一人である彼もまた――国に縛られているように見えた。
同情なのか共感なのか。
少しの仲間意識なのか。
力になりたいと思う気持ちが芽生えて行ったのだ。
私はある日のお茶会で言った。
「オスカー様の婚約者は聖女なんですよ」
「そうだな」
「聖女は、その祈りが神に届く者と言われているんです」
「そうだな?」
「いろんなことが出来るのです。毎日少しずつ、他の方には出来ないことも、きっと出来てると思うんです。例えば」
「……例えば?」
「子守唄がすごく良く……効くんです」
「…………」
「心から、安らいでくれることを祈ってるからでしょうか。不思議なくらい効くんですよね」
「そうか」
「私と話す時間を取らないといけないなら、寝ましょう」
「なんだって……?お、おい……引っ張るな」
庭園のガゼボで無理やり横にならせてから子守唄を歌い出すと本当にすぐに寝てしまった。殿下の護衛が嬉しそうに少し笑った。
そうして私はまた違う日に言った。
「実は他にも得意なことがあるのです。多分……」
「他にも……だと」
「女神様に素直に感謝を捧げることが得意ですから、少し分かることがあるんです。自分でも祈ることが出来ない時ってあるんです。だから、それがどんな状態のときかって分かるんです」
「ほう……?」
「心も体も、固くなってるときなんです」
「うむ?」
「上手く心を伝えられないみたいなんです。不安とか、怖さとか、辛かったり、思い出したくないことも沢山……あって。体が固まっちゃって。自分でも分からないうちに、ため込んじゃってて。吐き出すことも難しくて」
「……そうか」
「そういう心の奥にため込んでガチガチに固まったものも、すこしずつとゆっくり解して、私は祈りに載せるのですけれど」
「……」
「オスカー様の体は、ガチガチになってます」
「…………は?」
「ここも、ここも」
「さ、触るな!?おい、待て、近い、待て。いやいや、離れろ、まずい、こら……」
「オスカー様には、もっともっともっと良く寝て、少しでも自分を感じる時間が必要です!」
「……」
このお方は、私と正反対。
国の為に全てを捧げ、自分のことなど考えてもいない。
自分の感情も押し殺し、生命維持に必要な睡眠さえきちんと取れていない。そんな状況で人の為に生きている。それをどこまで自覚されているのだろう。
私は神に祈ることの出来る、自由な心と、自由な時間を『許されている』。
けれど彼の心は一体どこにあるというのだろう。好きなものも、楽しいものも、理解する前に押し殺し、伴侶相手にさえも多くを望まず、国民の為に生きようとするこの人の。
私は聖女のはずなのに。
やっぱり何も出来ないちっぽけな人間なのだな、と思う。
最初の聖女は、飢饉と疫病に襲われていた国を憂いて、女神に願い国を救ったのだという。
立派なことだ。
だからこそ国に保護される存在になっているのだろう。
私は何も望まぬのに聖女になってしまった。
個人の意志など無視して決定された、私の未来。
そうして彼も、ただの一人の男性なのに、第一王子に生まれたが故、国を背負う。
どうして『私だった』のだろう。
私は全てを感じて、哀しんで、祈りに代えて生きていた。ただそれだけ。
小さな恐怖も、慟哭も、喜びも、泣きたくなるような歓喜も、全部全部、心に載せて神に祈っている。
それはただ、何もかも失った私の『救われる手段』だったのかもしれない。
けれどそれは神に届いて、今では私を支える術となった。
そんな気がする。彼を見ていて気が付いてしまう。
私には自由に祈る時間も術も持っているけれど、彼にはそんな時間もなく、ただ自分以外の何かや誰かのことを考え続けているのだから。
その肉体に全てを抱えて。心など感じる時間なんてきっと一時もなく。
……だから、神は変な予言をしたのだろうかと、おこがましいかもしれないことを思ってしまった。
彼には私が必要で、私には彼が必要なんだと。
それは甘ったるい色恋の話ではなくて。
『国を守る女神の、采配』
国の要である彼を守るための、私はただの一つのピースでしかなくて。
一人の少女としての運命は狂わせて、そうして別の運命に組み込まれていく。
彼の為に、神が用意したのが私、そんな可能性を感じるだけで、心のどこかに怒りが湧かないと言えば嘘になるけれど。
「もっと、もっと、自由に」
それでも、私はこの哀しい人の為に祈りたくなって。
本当の自由なんて、私にも彼にも、どこにもないというのに。ないからこそきっと。
「全部、感じ切って、お一人で抱えず、吐き出して行ってくださいね」
それでも、心は自由に、と。
そのころ、私と彼の距離は縮まっていたように思えて。彼も何も言わなくて。私の膝枕で寝てしまった。
神の予言のもたらした、愛などどこにもない婚約関係だったけれど。
庭園の空気を吸いながら過ごす、彼との穏やかな時間の中で、私は多分「愛しい」という感情を育んでいたのだろうと思う。
きっと彼の中にはそんなものはなかったのだろうけれど……。
☆☆☆
最期のあの日。
「孤児院の薄汚いネズミが王太子妃などになれるわけないでしょう?」
孤児院を運営していた伯爵家のご令嬢ガーベラ様。
「オスカー様が言っていたわ。予言が無ければ私と婚約していたと!」
私を愛しているとも、好きとも、もちろん聞いたことなどない。
あの美しい容姿の彼が、あの歳までお相手がいなかったはずがない。彼は一体どんな人を愛して生きてきたんだろう。私は結局は、彼のことなど何一つ知らないままだった。
ガーベラ様が主導しているのではないかと感じた。だって彼女の指示で、私は指を一本一本切り落とされたのだから。苦痛にのたうち回る私を、美しい身なりの貴族たちがあざ笑っていた。
彼らにとって私は人ではなかった。ただの物。いや、害獣。
けれど私にとって彼らは、幸せになるようにと祈りを捧げた国民だった。心から幸せを願った人間に憎まれ、殺された。
そしてガーベラ様は第二王子殿下のご婚約者様。王太子殿下オスカー様は、ずっと第二王子殿下の勢力に脅かされていたから、きっとお二人の派閥が私を殺したのだろう。
「あなたに似合いの最期を迎えなさい」
尊厳などなかった。人としてもう形を保てなかった。それが私の最期。
彼と生きることを決めた。国の為に生きようと思った。けれど私が幸せを願った国民に、私は人であることを奪われた。
☆☆☆
王宮内の教会に足を踏み入れる。
天窓からの光が降り注ぐ荘厳な教会の中からは、慣れ親しんだ空気を感じた。
祈りを捧げるそこは、私が世界で一番落ち着く場所だ。
けれど今は憎しみで体が沸き立ちそうだ。
ああ、どうしたら、彼らに私が与えられたのと同じだけの罰を与えられるのだろう。
もう、私ごと国を滅ぼしたらいいの?
あんな辛い記憶に耐えて生きていけると思えない。心が昏く染まる。だけど……だけど、優しいアン、孤児院の皆、本当に感謝している、私を生かしてくれた人々。
私は私を愛してくれた人たちを不幸になど出来ない。
もう、二度と国の繁栄を願えない。けれど、かといって逆のことも願えない。
どうしたらいいのでしょうか。女神様。
小さな頃、両親に連れられて行った教会で――
『女神様が私たちを守って下さっているのよ』
きっと両親のように、女神様も私を愛してくれているのだろうと感じていた。
亡くなった両親を見送る時で――
『ご両親が安らかに眠れるように祈りましょう』
両親は酷い事故にあった。きっと苦しんで亡くなったのだろう彼らの死後の幸福を、私は神に祈るしかなかった。
孤児院に入ってから――
『日々の幸福を感謝致しましょう』
肉親は居なくなったけれど、私は幸運だった。優しいシスターたちと子供たちに囲まれ、食べるものに不自由もなかった。優しい人たちに生かされた。
教会の教えに沿うように、祈れば祈るほど、両親の教えに従えたような気持ちにもなれたし、感謝を伝えられるような気がした。
だからいつだって言われたままに祈っていた。全て私の心からの祈りだった。
もしかしたらこんなにも、馬鹿正直に祈りを捧げている人など、いなかったのかもしれない。だからこそ、私が聖女になってしまったのかもしれない。ある時から、私が祈る姿に、空から光が舞い降りて来たのだ。それは聖女の証なのだそう。
殺される前も、任命式の日、私は、言われるがままに神に願った。
「この国に恩恵をお与えください」と。
それが聖女が望むことの慣例なのだと言われて。ちっともおかしいとは思わなかった。個人に願いを委ねたら何を願われるか分かったものではないのだから。
けれど結果――。
恩恵は国に与えられている、聖女は死んでも構わない、という認識を持つ者を生んだのだ。
今度は自分自身を守るために、国に恩恵など与えないことを願わなくてはいけない。
――強い、視線を感じた。
振り向くと、あの人がいた。
王太子殿下オスカー様。
漆黒の艶やかな髪を靡かせながら、食い入るように私を見つめていた。視線が合うと、顔を歪めて口を動かす。
『……フェリシア』
その形に動いた、そう思えた。
そうして驚くことに、金色にも見える綺麗な瞳から、ぽろりと涙がこぼれ落ちた。側近たちが驚いて殿下に声を掛けている。
――もしかしてと、思っていた。だけど、それだけで分かってしまった。
あの、心を押し殺して、人の為だけに生きて来た王子様が、泣いている。まだ知らないはずの私の名前を呼んで、止めることも出来ない激情に振り回されている。きっと私の為に。
――『彼』だ。私の知っている。
どうしよう。
――嬉しい。嬉しい。嬉しい!
歓喜で、泣きそうだ。
私は、私は本当は……。彼と過ごす、何も起こらない穏やかな時間が好きだった。
膝の上で眠りにつく彼を、愛おしいと思っていた。もう、好きだった。生涯お側に居たかった。だけど、私などでは愛されないとも思っていた。
私はきっとずっと諦めていた。この方に自分なんかではと。愛されてる様子もなかったから。生涯愛など得られないのだろうと。だけど、だけど、だけど……。諦めなくても良いというのなら。私は、望みたい。どうしても欲しい。彼も、彼が抱え持つ感情も、ああ、もう、全てを手に入れたい。側に行きたい。伝えたい。私が彼を想う気持ちを知ってもらいたい!
アンが心配そうに私を見つめている。私は安心させるように微笑んだ。
――落ち着かなくてはいけない。泣いてはいけない。叫んでもいけない。だけど……彼と話したい。
違う方向からも強い視線を感じて目を向けると、それは第二王子殿下とその婚約者ガーベラ様だった。
蔑むような視線。けれど、ガーベラ様からはもっと強い怒りのようなものを感じる。
『オスカー様が言っていたわ。予言が無ければ私と婚約していたと!』
あの台詞が、彼女の本心なのだとしたら。もしかしたら彼女は……。
「さぁ、フェリシア、教えた通りに祈ってごらん」
司祭様がそう言った。
以前の私なら素直にはいと答えたのだろうけれど、何も返事をしない私に司祭様は不思議そうな顔をした。
清廉潔白な司祭様。この人は、自覚があるのだろうか。
教会の関係者には、きっと、この結果が私の死を導くことになるという認識はないのだろうけれど。
私は薄く微笑んで答えて、祭壇に向かった。
そうして祈りの姿勢を取ると、目を瞑った。
「我らが女神様。敬愛し心を捧げる信徒の声をどうかお聞きください」
心からの祈りを捧げると、以前と同じように、降り注ぐ光の量が増していく。周囲からは感嘆の声があがっている。そうしてその光は人の形を作り上げると声を響かせた。
『我らがいとし子。幸福を約束された子。フェリシア。どんな願いでも聞きましょう』
その言葉を聞いた瞬間、思い出した。
前回の私は、あの時、心が揺れたのだ。本当に国のことを願っていいのか、と。
だって本当は、心の奥では寂しかった。両親の死がずっと心の傷になっていた。世界に一人ぼっちだから。もう誰も肉親はいないから。生かしてくれる全てに感謝して、一人で生きていかなくてはいけないと。私の、本当の願いは――『もう一度、心から愛し愛される家族が欲しい』あの時、心の中では、そう思ってしまった。
まさか――。
言葉にする前の、そんな想いを、神は汲み取っていたのだろうか。だから、神は、叶えられなかった以前の人生を無効にしたのだろうか。
そんな問いを心に浮かべながら顔を上げると、ふっと、その光の腕先が私の頭の上に降りてくる。
まるで、光を私に注ぎ込むように。ほんのりと温かい何かに包まれるのを感じる。今の私は、きっと何か美しい情景の一部になっているんだろう。遠くから『おぉ……』という声が響いている。
前回になかったこと。まるで、それが正解だと教えてくれているようなお姿に、泣きそうになった。
『フェリシア……貴方の望みはすぐに叶うでしょう』
今度こそ、心から感謝致します。
国ではなかった。貴方は、私の願いを叶えてくれていました。
私は、貴方が巻き戻してくれたことを知っています。
けれど、私は一度死にました。貴方は死を防いではくれなかった。私は、この世の苦痛と絶望の全てを知りました。きっと貴方には、止めることはできなかった。巻き戻すことしか出来なかったんでしょう。
私は……幸せになりたいです。
名前に恥じないように。
どれほど辛い記憶を抱えようと、この世の幸福と希望を見出して、生きて行きたいです。
一度死んでいる私には、そんなことが叶うのだろうかと途方にくれてしまうけれど、それでも、今度こそ、自分で自分を幸せにしたいと、そんな希望を持っています。
だからこそ。それには、一人の人間が聖女でいてはいけないだろうと思うのです。
「どうか私に与えて下さる慈愛を、これからは全ての信徒にお与えください」
予想外の台詞を言い出した私に、教会関係者たちが慌てだす。
「小さき者も、弱き者も、貴方へ祈る気持ちは平等です。どうか。心からの信愛を捧げるものの願いを叶えてあげてください。これからは聖女一人だけではなく、多くの者の祈りを聞き入れて頂けないでしょうか?」
だって……。
国ではなく聖女を愛し、お恵みを与えてくださることを知ってしまった。
こんなのは、ただの女神様の依怙贔屓だから。
どうか想いを受け取ってください。
私は知っています。この世界で一番の信心深い者が、たまたま私だっただけなのでしょう。
同じように条件を満たしたときに、きっと別の者が聖女になるのでしょう。そうしてその者はまた、社会の中で苦しい立場に追い込まれ苦しむのでしょう。
誰か一人にそんなものを背負わせないでいられる世界を私は望みます。
「女神様への信愛に応じた、少しの慈愛をどうか」
この言葉の意味が正確に分かる人はいないかもしれない。
少しずつ不幸になり神の恵みから遠ざかる者もいるということだ。
「私は、幸せになります。自分の力で、私の愛する人と、幸せになります。どうか女神様、最後の聖女である私の幸せを見守ってください。そうして私が幸せでいる限り、どうかこの国にも少しの恩恵をお与えください」
命が狙われないように。
「女神様に支えられながら、私は国と愛する民のために尽くしましょう。この先の国の在り方の中で、心を入れ替え、懺悔する者にはどうかお救いを。けれど心から女神様をお慕いする私の、残酷な死を望むような者には、まずは『慈悲の警告』を。実行しようとする者には、その残酷さに応じた、女神様の裁きをどうか」
私は私を殺した者を許しもしない。
『叶えましょう……』
そう声を響かせると、神の形をした光の粒は形を失い、消えて行く。
遠くで「ガーベラ……!?」と第二王子殿下の声が響いた。ガーベラ様が倒れ込んだようだ。
光が消え失せると、正気を取り戻したように、聖職者や貴族たちも声を荒らげた。
「小娘を捕らえろ!!」
「お前はなんてことを……!!」
騒めく会場。瞬く間に上がる非難の声。
警備兵に囚われるかと思ったけれど、大勢の騎士が私を守るように取り囲み、警備兵たちを跳ねのけている。殿下付きの騎士たちだ。
「フェリシア……!!」
今度こそ力強い彼の声を聞き、そうして私は彼の腕の中に囲われていた。
懐かしい、彼の体温。彼の声。死ぬ前は、ずっと、長い間逢えなかったから。
「皆の者、良く聞け!!聖女フェリシアは、我が婚約者になり、伴侶となるものである。彼女の願いは、私の願いだ。私が、これからの国に望んでいるものだ。心清く生き、正しく働き、正当な対価を得、そうして心に応じた女神からの恩恵も与えられる。私が作ろうとしているのはそういう国だ。異論がある者がいるなら、今ここで名乗り出ろ!!」
この時点でもう、現王は病に臥せり、実質彼が王の代理のように国を回している。
忙しくて、寝る時間もなくて、言葉足らずで、親しくなれていたかも良く分からなかった人。
だけど――本来この場にいないはずの彼の騎士たちを動かしてくれていた。こんな風に、私を守ってくれるほど大事にしてくれていたなんて、本当に知らなかったのだ。
ぎゅうっと彼の体にしがみつくと、彼も抱き返してくれる。
きっと彼は、家臣と民に望まれて今度こそ玉座に着くのだろう。
だって、私が望んだから。人は簡単には変わらないだろうから。前回、それを阻もうとした勢力のいくらかには、きっとこれから『神の裁き』が下されていく。
「居ないのだな。ならばこれ以降、彼女の言葉は、私の言葉だ。神に愛される聖女フェリシアは、国の王となる私にも愛される、生涯唯一の妃となる身。皆の者、それを忘れるな!」
あの言葉足らずな人が、本当にこんな台詞を言っているのだろうかと不思議に思う。夢を見ているのだろうか。
「は……」
「殿下……」
「畏まりました」
思うところがあるそぶりを見せながらも家臣たちが頭を下げる。次々と引き下がっていく人々を私たちは暫く見守った。彼らはざわざわと会話を交わしながら教会を後にして行った。人が減ってから、やっと彼が腕を離した。
そっと彼を見上げる。硬い表情をした彼が、私の顔色を窺うように見下ろして来た。
視線が絡み合う。
その表情は、まるで初めて会った時の彼のもの。
疲れていて、無表情で、気品があるのに何を考えているかよく分からなくて、どこか恐ろしくて。
だけど――私を守ってくれた。
何を言ったらいいのだろう。彼は、本当に記憶を持っているの……?
「守れなかった……すまない」
彼は、掠れるような声で言った。
「あの時、命を狙われ、意識不明に陥っていた。間に合わなかった。俺は……俺は、全てを恨んだ。守る者も、神も、そして自分も……。だけど、こうして君は生きていた。今度こそ、国を捨てようが、全てを捧げてでも、俺は必ず君を守る。だから」
そう言う彼の瞳に、また涙が溢れそうになる。こんな風に泣く人ではなかったのに。
「もう、愛していると伝える前に、いなくならないでくれ……っ」
彼は強く私を抱きしめて、私は暫しその意味を考える。
だって。もう十分な愛の告白を貰った気がしていたけれど、この人はまだ、愛を伝えているつもりはないというのだから。
彼の頬に、そっと手を触れると、彼がびくりと震える。
そうして、両手で彼の頬をガシッと挟むと、驚いた表情をした。
「ガチガチです」
「……」
「体が固いですよ、オスカー様」
「……仕方が、ないだろう」
「吐き出してください」
「……は?」
「今言えばいいじゃないですか。その台詞」
「……」
意味を探るように彼は私を見つめて、そうして周囲を取り囲む多くの護衛たちを確認してから、もう一度私を見つめた。
少し遠巻きに、ハラハラとした様子でアンが私を気にしている。
かつてお世話になった彼の護衛たちも成り行きを見守ってくれている。
私が本当に感謝して、たくさんの手助けをしてくれていた方たち。
皆、生きている。
そうして、愛する人が目の前にいる。
さぁさぁ、と急かすような視線を向けると、彼は困惑するように眉尻を下げる。
「ま、待て……」
「……」
意地悪半分、聞きたい半分。もうどちらでもいいのかな。ただ、彼と会話を続けたくて。これからもずっと続けていきたくて。
「……あ、」
彼は、赤く上気させた顔を酷く歪ませる。
「あい……」
不器用な王子様が額に汗をかきながら呟く。
「…………る」
途中聞こえないくらい小さな声になったけれど、それでも、必死に紡ぐ言葉が愛おしくて。
「…………あまり、笑うな」
もう長く笑っていなかった気がする。
私はまだ心から笑えるんだって、一度死んでみないと分からなかった。本当に、本当に嬉しい。
一通り笑って。泣いて。また笑って。心からおかしくて。
顔を上げると、そこには、見たこともない表情で、破顔している彼が居た。
☆☆☆
即位した彼とその妃となる私の結婚式には、天から溢れんばかりの光の粒が舞い降りて来た。奇跡の日だと、言われた。
それは私の真の願いが叶い、そうして家臣たちにも、民にも祝福された日。
こんな奇跡のような光景は、歴代の聖女たちにも訪れていたという。
きっと彼女たちにも、表向きの願いではなく、本当の願いが叶ったそのときに、祝福が舞い降りてきていたんだろう。
けれど私はもう、女神の祝福を受け、聖女と呼ばれるには、程遠い存在なのだと思う。
この国は一時、高位の立場のものばかりが、原因不明の病に襲われた。
初めは、任命式の日に倒れたガーベラ様。全身が真っ黒に染め上がり、苦しみもがく姿に一晩持つかどうかと言われていたのに、100日生き続けた。
そうしている間に、教会関係者ばかりが、次々と亡くなった。
朝突然に、全身が真っ黒に染め上がり、苦しみ果てたように死んでいる姿が発見されるのだ。
次に、人々が怯える中、高位貴族たちや、そうして時間を置いてから第二王子殿下が天に召された。そのあとで長く苦しみ続け、骨と皮だけになり、それでもなお恐怖を張り付けた表情をしていたガーベラ様が亡くなった。
そうして私はやっと、神の裁きが終わったのだろうと思った。
これほどまでに、私は死を願われていた。
心を入れ替えかつての残酷な死を再現しようとしなければ、裁きは下されなかったはずなのに。
私が女神様に願わなければ起こらなかったこと。
意外だった。亡くなった大部分は教会関係者だった。彼らが一番に私の死を願っていたのだろうかと。
死の前に、慈悲の警告がなされていたはずなのに。
もう、女神様への信仰が薄れていたとでも言うのか。それならばなぜ私は、教会に、聖女として祀りあげられ国の繁栄を願わされなければならなかったのか。神が不在の教会のために。
事実、聖女や王太子に権力が集中することに危惧を示していた教会と、第二王子派が結びつこうとしていた動きがあったという。
そしてずっと私への不快を隠そうとしていなかったガーベラ様。
彼女はもしかしたらその感情を見透かされ、大人たちに踊らされていたのかもしれない。それでも……神の裁きがこれほどまでに長引くほど、彼女は一線を越えてしまっていたのだろう。
私は私を殺した者たちを許せなかった。
けれど、私を依怙贔屓する神もまた、神の裁きを残酷に振舞った。
国中が喪に服す中、私は願いの成就を感じ、夫とともに死者の安らかなる眠りを祈った。心の中の悲しみも怒りも懺悔も、そうして、地上にもういない彼らの魂の冥福も、祈りに載せる。
人々の悲しみが和らぎ、国から病が消えた頃、皆に望まれながら愛する人と結ばれた。
きっと今ならもう聖女になどなれない。
流した血も、流させた血も、全て、私と言う人間の中に抱えている。
けれど、そんな私を愛する夫がいた。こんな私でも、まだ、誰かを愛せた。
多くの者がオスカー様を蹴落とそうとしていた。私が亡くなった後の世界で、彼が生きていけたとも思えない。この優しくも懸命な、それでいて苦労性の、善王となる人が生きていて良かったとそれだけははっきりと言える。
そんなことを思うのは聖女なんかではない。血も涙も抱えた、ただの人なのだ。
ときどき、小さな光の粒が人々に舞い降りてくることが増えて来たという。
愛する子に子守唄を歌っている母に。
亡くなった人を悼み祈る人々に。
教会の目も届かない市井の民の元へ。
信じられないことだけど、私にも、その光の粒は舞い降りてくる。
朝と夕の祈りの時間。私は女神様に既に赦されているはずなのに、毎日赦しを請い、無心で、人生を人々のために捧げることを誓っている。
そして子供が増えていくたび、私の願いを覚えているのだろう女神様は光の粒を国に降らしてくれる。
私の真の願いを知っている夫は、少し苦笑しながらも、その光景を一緒に見守ってくれる。
穏やかに過ごす彼との時間を噛みしめながら、『きっとこの国には少しの恩恵が与えられているんだろう』そう感じている。
END
(最後の部分、神の裁きの有無や、量刑を悩んでます)




