目先の命と不特定多数の命
「飢餓?」
「うん。簡単に言ったら栄養不足みたいなもの。」
「なるほど。でも良かった。私の持っているものなら余裕があるので。」
グラは自分の鞄から食料を出そうとした。彼女はおそらく精霊の一種なのだが、水も飲むし、しっかり食糧もいる。さほど人間と変わらない。初めからグラが食料を待っていたので自分の食料を使って人助けはいいが、ラタには、引っかかることがあった。
「…」
ラタは思った。これはただの飢餓ではないなと。
ラタは思った。この人と息子を助けても街は救われないことに。
少し考えたが、このまま見過ごすわけにはいかないので、ジャガイモをいくつか渡すことにした。グラの持っている食料を渡しても良いのだが、ジャガイモの場合、食べずに植えると言う選択肢も出てくる。
(私も食料が欲しいし、しばらくは滞在しようかな。)
「一旦息子さんに会わせてもらってもいいですか?」
「ええ。こちらです。」
ラタとグラは女性の後に続いた。
「これは…。」
女性に案内された先には、1人の幼児がいた。
上半身は服を着ておらず、肋骨が浮き出て見える。手も骨と皮しか無いような細さで、足の筋肉もほとんど見受けられない。
「ひとまずジャガイモを食べさせるか。」
「ジャガイモ…?」
女性が疑問を浮かべながら聞いた。
「はい。私の故郷の特産で、多分栄養不足にも効くと思います。」
「なら…お願いするわ。」
次回「連鎖」




