飢餓の街
「…」
ちょっとわからないことが多かった。いや、脳の処理が追いつかなかった。
「一旦街行こ、この先にあるから。」
「分かりました。」
(あ、街に行くのはいいんだ。あの話だと人間とはいい関係ではなさそうなのに…)
あの洞窟を出て1時間ほど。街らしきものが見えてきた。
「人の街もずいぶん変わりましたね。」
神獣は言った。
「あ、そう言えば名前聞いてなかった。あなた名前何?」
「私はグラミュラといいます。あなたは?」
「私はラタ・シャール。ラタでいいよ。よろしくねグラ…もう一回名前聞いていい?」
「グラミュラです。」
「あ、そうそう。よろしく、グラミュラ。」
「覚えにくいならあだ名でもいいですよ。」
「うん。そうする。」
歩きながら考えた結果、簡単だが、「グラ」と言うことになった。
「何と言うか、活気のない街ですね。」
「うん。なんか全体的に薄暗いと言うか…」
所々に人が見える。商店街のような雰囲気だが、人があまりいない。所々に椅子に腰をかけた者がいる程度。少し家の中を覗いてみた。きっとどこかにいるのだろうと思っていた。
「!!」
一目見ただけで分かった。寝ているわけではない。部屋の中央に仰向きに寝かされている者が4、5人いた。
「これは…」
おそらく死体だろう。よく考えると、初めからおかしなところはあった。1番目立つのは、商店が並んでいるのに商品が全くないと言うことだ。
「もしかして…」
ラタはこの街の状態に気づいた。そのことをグラに伝えようとした時、前から女性が細い足を引き摺りながら走ってきた。ラタの前に跪くように止まり、ラタの服にしがみついた。
「どうか、お願いします。食料を!…息子が、、息子が!」
息を荒げながら女性は言った。目の前の女性は頬も痩せて、外見だけでも症状がわかるほどだった。
「ラタさん、どう言うことなのですか?」
グラは聞いた。その質問に対し、なるべく分かりやすく伝えた。
「この街は今、飢餓に犯されている。言うなれば飢餓の街だよ。」
次回「目先の命と不特定多数の命」




