第9の転生者
先程言葉がぎこちなかったのはあまり人の言葉を話さないからだろうか。目の前の神獣は感謝を伝えてきた。敵では無いだろう。
「にしてもその格好…」
完全に人間そのものだ。稀に人間の真似をする魔獣などはいるが、これほど精密ではない。私は知りたいという欲求が押えきれず聞いた。
「ねぇ、あなたは人間?それとも魔物?」
「…」
珍獣は何も言わず固まった。魔物と聞けば、凶悪なゴブリンなどを思い浮かべると思うが、この世界にも似たような認識がある。「魔物は凶悪だ。」初めは小さな騒動だったのだろう。小さな魔族との衝突が少しづつ広がり、やがて大きな偏見へと変わった。
「魔物と人間。そのどちらでもない生物といったところだ。」
やはり、神に近い存在なのか。でも疑問がある。
「貴方は本来、聖地などにいるはずじゃ…」
この神獣の怪我を見るに、何かあったのだろう。
「私は、人間と暮らすことが好きだった。私は人に触れることで人の姿となり、人と触れ合うことができた。人も街も私を受けいれてくれた。あの時の人類には敵という概念がなかったのだろう。」
ああ、あれか。
「魔王討伐…」
「うん。あれにより全ての魔族は消滅し、魔素そのものが薄くなったことで魔法という概念が消えた。そして残ったのが私たち神と魔族のハーフだ。」
「そんな種族が…」
「この世界には私と同じ種族が7体いる。その7体がそれぞれの場所で人となり人の暮らしを支えると共に支えられてきた。だがある日、あれの襲来により世界は変わった。」
「?」
「第1の転生者達、日本軍だ。彼らが転生してきた。その後街は科学という新しい文明により発展して行った。」
「科学…」
「そして人類は気づいた。やがて科学により世界の近郊は壊れ、戦いが起こると。愚かな生物だ。争わないという強い意志さえ持っておけば争いは起こらないというのに。」
「そして第2、第3と転生者が増えていき、君たちが第9の転生者になる。」
次回「飢餓の街」




