神獣
「………」
ラタの前には傷ついた白龍の子供がいた。おそらくこれはお父さんの言っていた神獣だろう。
「この傷…ただの傷じゃない。」
もしこの白龍が普通に獣と戦うなら確実に息の根を止められるだろう。でも瀕死だが、生きている。
辺りを見渡すと、あるものに気づいた。
「……穴…?」
幅は1mほどの穴が空いていた。そこが見えるからあまり深くはないだろう。これを見てラタは確信した。
「地雷か。」
この白龍も敵は察知できるが、無機物の爆弾は気付けない。今思えば、左の前足だけ傷が深い。この地域の戦争に巻き込まれたのか。助けてあげたいが、私は何も持ち合わせていなかった。わらに縋る思いでリュックを見たが、何も…
「あ、ジャガイモ…」
私は神獣にジャガイモを食べさせても良いものかと迷ったが、一か八か食べさせることにした。
すると、白龍の体は再生を始めた。
「え、ジャガイモ凄…」
しばらくして白龍は食べる様になった。
「ジャガイモ、大切にしよ。」
ラタはそう心に刻んだ。念の為に持ってきていた辞書を開いてこの現象を確認した。すると、この現象はジャガイモが治したのではなく、自身の治癒能力を少し高めただけだと書かれていた。
「ああ、そこまで治癒能力はないのね…」
ちょっと効果にガッカリしたが、白龍を助けられたからそれでいい。そう思うラタであった。
「うーん…どうしよう…。」
この神獣の体はとっくに回復しているが、大きさは扇風機より小さいくらい。それに、この洞窟に他の魔物が入って来ないのはまだ無数の地雷があり、その匂いを嗅ぎ分けているからだろう。
「……。」
(私、結構危ないとこ居たんじゃない?)
今更だが、地雷に囲まれ熟睡した自分が恐ろしい。知らぬが仏とはこのことか。
「!!」
いつの間にか神獣は起き上がり、こちらを見ていた。少しずつこちらに向かって歩いてくる。
(敵と認識された…?)
逃げようかと考えたが、流石に攻撃する体力は残ってないと仮定し、逃げずに止まることにした。初めは攻撃されるかと思ったが、神獣は想定外の行動に出た。神獣は前足を私の右手につけた。
「?」
すると神獣の体は見る見る形を変え、人の形へと姿を変えた。
「あ、あ、ありが…とう、ありがとう!」
「しゃ、喋った!?」
次回「第9の転生者」




