許さない
私の家が火災にあってから2ヶ月。復旧作業も進み、家は次第に元の形を取り戻していった。その一方で、お父さんは意識を取り戻していない。一酸化炭素中毒だろうが、この世界に直す方法は限られており、まだ寝たきりた。そんなこんなで、私は今芋を育てています。理由は二つ。一つ目は、作っていく過程である疑問に気づいたから。二つ目は、収入源にするため。今は、街の人が支えてくれているが、いつまでも頼りっぱなしではいけないから。
「ふぅ。腰痛いなー。」
先ほど述べた疑問は大きく分けて二つ。
一つ目は、育成の過程。ジャガイモはそんなに手間のかかるイメージがないが、このジャガイモは、植えるだけで勝手に育ってくれる。しかも、絶対に外れがない。どれも完璧な形のジャガイモが栽培できる。
二つ目は、おいしさ。まぁ、地球のジャガイモも美味しいけど、私の作るジャガイモは、なんか、美味しい。ジャガイモ単体でも食べられる。それ加えて、このジャガイモは芽がなく、水洗いすれば皮ごといける。
そう言えば転生する前に特典がどうとか言ってたな…あ、そうだ。辞典読もう。
※辞典=ジャガイモの黙示録
「今日も元気だね、ラタちゃん。」
農家のおばあちゃんが話しかけてきた。自己紹介が遅れたが、私の名前は、ラタ・シャール。ホル・シャールの娘だ。
「ジャガイモですか?」
「ええ。四つもらえますか?」
「はい。えーっと、100円になります。」
1個25円で販売している。私が転生して1番驚いたのが、この世界の通貨が円であると言うことだ。おそらく、私よりだいぶ前に転生者がきていたと言うことになる。まぁ、開拓する楽しさはないが、通貨が統一されているのは正直とても楽。
「ん?あれは…」
ジャガイモを渡そうとした時、ふと気づいた。軍服のようなもの着ているため、国のものだろう。二人組で、片方はライター。もう片方は何か液体を民家にかけていた。
「!!」
おそらく、液体は油だろう。油とライター。近くに民家。やることは二つだろう。
私は急いでかけ出した。が、間に合わなかった。
バン!
燃える音が爆発音に聞こえた。この世界の民家は、大体が木でできている。そのため、燃やされようものなら、もう止まらない。
「な、何だこれ…」
「は、早く水を!」
「火事だー!」
気づいた住民が声を挙げる。だが、一つ止めないといけない発言が聞こえた。
「水はかけるな!」
「!!」
油に水を注ぐな。今や誰もが知っている常識。
「?」
あれ?この世界に油はあまり知られていない。では、何故あいつらは油を火薬として使った?
「そうゆうことか。」
この一連の火災、異世界からの転生者が絡んでいる。私の家族は畑は持っているが、農業をする余裕がなかったため、必要最低限を作り国に納めていた。おそらく、持っている農地と納めている割合が1番低かったから燃やされたのだろう。理由は、周りの農民にやる気を与えさせるため。いや、恐怖を与えさせて無理やり働かせるつもりか…
「水はダメなのか?」
「ああ。絶対に注ぐな!」
「わ、分かった…」
「中の人は?」
「もう全員出たよ。」
「ならよかっ…」
バン!
「!!」
爆発音が複数回聞こえた。
「な、何だこれは…」
あたり一面が火の海と化す。
「まさか…」
生産率の低い家を燃やすだけじゃなかった。生産率の低い村ごと無くすつもりだ。いや、今はそれどころではない。急がないと!
「お、俺の家が…」
「な、何でこんなことに…」
「逃げないと…」
「火事だー!」
走って行くと、各地でいろいろな声が飛び交っていた。
「間に合って…」
私は全力で走った。私が走る理由は一つ。隣のお爺さんのためだ。いつも優しくしてくれていて、本当の孫のように可愛がってくれた。そのお爺さんは最近腰を痛めており、走ることができない。だから私は、お爺さんの家に向かっている。
「間に会った…」
バン!
またあの破裂音。だが、今回は違う。外から聞こえた破裂音ではない。中から聞こえた…
「!!」
「お爺さんの職業って…」
お爺さんの職業は魚屋だった。親子三代にわたって経営している。魚屋ということは、魚を保管するために必ずあるはずだ。アレが。
私は持っていた布で口を押さえ、お爺さんの家に入って行った。
水を与えなくても勝手に育つ芋…欲しいな…




