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魔法石の力

翌日の早朝。

わたしとランスさん、ロレッタさんは農場の中心にいた。


「水系の魔法は、ロレッタの方がうまいんだ。いつもこの石を使うときはロレッタにやってもらっている。」


「この魔法増殖石は、夏の暑さに水やりがどうしても追いつかない時などに使うのよ。領収書を見ていたからわかると思うけど、ちょっとだけお高いから、本当に暑い日だけ。でも今日は天気がいいからちょうどいいわね。」


そういうとロレッタさんは手のひらに深い青色の石を乗せた。


「じゃあ、ほんと一瞬だから見逃さないでね」


「はいっ!よろしくお願いします!」


すると、ロレッタさんの手のひらから、どこからともなく水が湧いてくる。いや、手のひらの周りの空気から水分を取り出しているのだろうか?

なんて思った次の瞬間・・・


「わあ・・・・・・!」


手のひらを中心として、水が湧きだしたと思ったら、そのまま高く高く上昇し、はじける音と共に、花火のように農場全体に水が散った。

どうやら水は魔力を纏っているようで、何色にも光って見えた。太陽の光に反射して、まるでガラスかのごとくキラキラと光りながら、水のしずくが散っていく様は、それはそれは美しかった。


これが、魔法・・・!!


水源のすぐそばにいたため、私たちもびしょ濡れになってしまったのだが、そんなことまったく気にならないほど、美しい光景に見入ってしまった。


「すご・・・すごいです!私、こんな美しい光景を見たことはありません!感動しました・・・!」


「魔法増殖石は、名前の通り、その人の魔法の威力を増やしてくれるのよ。ただ、1度の使い切りなんだけれどね。この方法で水やりをすると、どんなに暑い夏でも3日は水やりをしなくて済むから助かるのよ。」


すこし照れたようにロレッタさんが教えてくれた。1度で15万円というのも驚きではあるが、確かにこの石を使えば広大な土地の水やりが一瞬で済む。魔法の効果で3日間も水やり効果が続くのなら、コストパフォーマンスとしては、十分ではないだろうか?


「それじゃあ、この魔法増殖石の値段がもう少し安くなれば、農作業に革命がおきそうですね」


「そうなんだがなあ。この石は、上級魔導士が自分の魔法を込めて作っているから、なかなか量産ができないそうなんだ。」


私同様にびしょ濡れのランスさんが、タオルで顔を拭きながら答えた。そうか、この石はあくまで誰かの魔力を込めた入れ物に過ぎないのか。だから使い切りなんだと納得した。


「上級魔導士というと・・・やはり王都にいるんですか?」


「そうね、たいていは王都に・・・・あ!そうだわ!エリカに言いたいことがあったのよ!」


「?なんですか?」


「以前、私たちの息子が王都に勤めているって話したと思うけれど、今度の長期休みにかえって来るらしいの!そこであなたの話をしてあげるわ」


「本当ですか?!」


「ええ!名前はセレンっていうの。あの子は私たちの息子って信じられないほど魔法が上手で・・・エリカも魔法を教えてもらうといいわ」


ロレッタさんの知らせは何よりのものだった。

私が日本に帰るためには、召喚の儀の逆(返還の儀というか、送り返しの儀というか・・・)ができる人に会わなくてはならない。そのためには、国内の腕利きの魔法使いがいるであろう王都にまずはいかなくてはならない。

王都への道を開きつつ、もしかしたら私も魔法が使えるようになっちゃうかも・・・・なんて。ロレッタさんと魔法増殖石の力を目の当たりにした私は、すっかりこの国の魔法に虜になっており、魔法が得意という息子さんにお会いできる日が楽しみでしかたなかった。


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