初仕事、終了!
そこからのランスさんの対応は早かった。
翌朝一番の馬車でルドルフ商会にアポなしで突撃。現社長であるニコル=ルドルフのもとに単身乗り込み、今までの領収書を突きつけて来たのだ。
相手のニコルさんは顔面蒼白で、今までの悪事を認めたそう。本人曰く、父親の死によって突然大きな会社を継ぐことになってしまい、父親の会社を潰してはいけないというプレッシャーから、いろいろな相手にこっそり値上げをしたところ、どこからもクレームもなく、業績はうなぎ上りで良くなっていき、調子に乗ってどんどん値を吊り上げてしまったそうだ。そんな風に業績をよくしたって、お父さんも喜ばないと思うけどなぁ・・・。
「それで、今まで過剰に請求されていた分についてはどうすることにしたんですか?」
その日の夜。ランスさんとロレッタさんと私。3人で食卓を囲みながら、事の顛末を聞いた。
「ああ、それは・・・。俺としては今年の分については、多く請求した金を戻すだけでよかったと思ったんだが・・・。ニコルがなあ・・・」
「過去遡れる分の過剰分と、迷惑料とで、併せてこんなに包んで来たのよ。」
そういうとロレッタさんは私に紙袋いっぱいに入った現金の束を見せてきた。
「こ、こんなに!?」
「まあ、ニコルくんとしては、あまり言いふらさないでください、ってことなのかも知れないわね。こういう値上げをしていた取引先、ほかにもいくつかあるみたいだけれど、きちんと正規料金に戻すって約束していったしね。」
「そうですか・・・。」
「どうかしら。私と夫としては、これ以上のことはもういいかしらと思っているのだけれど・・・。」
ロレッタさんが伏し目がちにこちらを見た。
「あ。私は全然なんでもーーー。もともとお金を多く取られてしまっているのはお二人ですので、お二人がご納得いただけているのなら、私からルドルフ商会に対してたこれ以上はないです。」
両手を胸の前で振り、これ以上は大丈夫とアピールした。そもそも私が来る前に始まった過剰請求の話だ。二人が許したというのならそれでいい。
あの札束を取り返せたと思えば、少しは居候の義理を果たしたかな・・・?というところもある。
するとランスさんが大きな声で、
「まあ何はともあれ、エリカ!おまえの初仕事の大手柄だな!!!おれはこんなまとまった大金を目にしたのは初めてだよ!この金でうまいもんでもパーッと食いに行くか!!」
と言った。パーッとだって?!
ランスさんの勢いだと、このまま紙袋の中身、半分くらいは使っちゃいそうだ。
「だ、だめですよ!そのお金は、まずは取り崩した貯金の補填に使ってください!」
貯金の補填以外にも、設備投資や掛け払いの返済など、使い道はたくさんあるだろうに。
と言っても、ランスさんは「私の手柄だから」と、すべてを貯金の補填に使うことに納得をしてくれなかった。そういう性格なのだろう。何度か押し問答をした結果、
「・・・あ、じゃあ1つだけ。わがままをいってもいいですか?」
「おう!なんでもいいぞ!」
「わたし、魔法増殖石を使っているところを見てみたいです!」
高級な〝アレ〟を使うところを見せてくれるよう、おねだりすることにした。
初投稿から早くも10日経ちました!
宣伝方法や何もかもすべて手探りですが、これからも頑張って続けます!
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