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王国軍、とは


翌日。

上位ポーションの在庫不足の件についてルークがきちんと上官に報告したらしく、即座にポーションの使用について改めて確認するようにといった内容の通達が出された。

確認をするように、というのはつまり「適当に選ぶなよ」という言外の圧力だ。


通達を見て何かを察したジェノスには、「これってエリちゃんがなんか言ったんでしょ〜もしかして、お手柄〜?」と茶化されるし、また元々倉庫で見知らぬ女性が作業をしているというのは話題になっていたようで、「倉庫の女性は監査から派遣された人間で、ポーションの使用頻度について調査している為、今までのように適当にポーションを選ぶと大変なことになる」なんてあらぬ噂も立てられてしまった。


日本では経理で、今は監査って・・・。私ってそんなに厳しそうな顔してるかなあ?


また、ルークは倉庫の管理をぞんざいにしていたものの、自らの力(?)で在庫不足の原因を突き止めたことを評価され、特にお咎めはなかったらしい。

それに大層安堵したルークが、私にディナーをご馳走してくれるということだったので、リリーも誘って3人で王宮近くのレストランにやってきた。

ルークは「エリカと2人でもいいのに・・・」とぶつぶつ言っていたが(奢りだからか?)、男性経験の乏しい私が男性と2人でディナーなんて間が持たないと断固拒否させてもらっちゃった。



「じゃあ、エリカは本当に魔法について全然知らないのね。」


「魔法どころか、この(オーレネス)のこともよく知らないの。自分が今どこで働いているかもよくわかっていないわ。ルークが何の軍に所属してるのかもね。」


今日ルークに連れてきてもらったのは、日本でいうイタリアンバルのような小洒落たお店だった。

メニューもイタリアン風なものが多く、サラダや前菜、パスタなどを適当に注文してみんなでシェアすることにした。

リリーとは現地で合流したが、彼女もよくこのお店を使うらしい。なんでも、魔法の力で周りの音が遮断されるようになっているらしく、自分たちの会話や食事に集中できる仕組みになっているので、秘密事項が多い王宮勤めの人の御用達のお店ということだ。


「ルークったら、自分でエリカを王宮に連れてきたくせにその辺の説明を全然しなかったのね。だめじゃない。それじゃあ私が教えてあげるわ。

私たちががいま勤めている王国軍は、4つの部隊に分かれているの」


そういうと、リリーは注文用の紙を裏返し、白紙の部分に第一部隊・第二部隊・第三部隊・第四部隊と書いた。

彼女の説明によると、


第一部隊は剣と魔法を融合させた攻撃特化の部隊で、血気盛んな人が多く集まるそう。戦や討伐があると一番に前線に出て戦う、国民のヒーローのような扱いで、花形部隊だそうだ。ちなみに、ポーションの使用率もナンバーワンとか。


第二部隊は魔法に造詣が深い人が配属される部隊で、変人が集まりがち・・・らしい。

魔法は歴史が深いものの、まだ解明していない部分も多く、それらを研究したり、新しい魔法を開発して実践に役立てたりしている所とのこと。


第三部隊は回復に特化した部隊で、ルークと私、ジェノスはここの所属ということらしい。回復魔法は緻密な魔力コントロールが要求される為、ある意味では最も才能が必要とされるらしい。リリーの所属する薬事局は、ここの下部部隊にあたるそう。


第四部隊は魔法開発部隊と言い、魔法の力を生活に役立てるべく日々研究開発を行なっているそうだ。倉庫で見た魔力で動かす掃除機はここの部隊の最新試作版だったそうだ。


「ということは、この中で転移魔法に詳しい人がいそうなのは、第二部隊かなあ。」


「あら、エリカは転移魔法に興味があるの?」


「あ、そうなんだ!アハハ」


おっと、いけない。リリーには異世界に帰りたくてその手段を探しているっていうのは内緒なんだった。


「そういえば、この前多分どこかの部隊の隊長さんみたいな人に会ったよ。」


「ああ、エリカがポーションを全部外に出していた日だから、一週間くらい前だっけ?」


ルークがビール(のような何か)を一気飲みしながら相槌する。そうそう、こちらの世界にもアルコールは存在し、年齢の制限も15歳以上から飲むことができる。


「エリカは隊長クラスだっていうけど、僕は違うと思うんだよねー」


「え、どうして?だってその人、自分の軍で試すって言ってたんだよ?」


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