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黄金の髪の人

王宮についたのが15時を過ぎていたので、その日はそのままホテルと周辺の飲食店や雑貨店などを案内してもらい解散した。

そして翌日。ルークは自身の仕事が始まるということだったので、早速私は渡された入館証(臨時)を使って一人で出勤することになった。

ルークからは「直接倉庫に行って、どんどん作業しちゃっていいからね」と言われてはいるものの、そういえばルークの上司や雇用主となる人に挨拶もしていないけれど平気なのかしら。それとも、こっちの世界ではそれが普通なのかな。


「よし、まずは掃除からね!」


まずは棚においてあるポーションをすべて倉庫の外に出し、拭き掃除をすることから始めた。掃除用具入れの中に掃除機のような物があったものの、魔力が使えない私にはただの置物だったので、仕方なく箒と雑巾で掃除していく。

また、外に出したポーションについては、感覚的に濃い色~薄い色でグループ分けをした。これは勘だが、おそらくポーションには等級が存在して、それを色で見分けるのだと考えたからだ。

それにしても・・・。同じ色の濃さのポーションでも、透き通っているものと濁っているものとがある。こんなに見た目に違いが出ちゃっているのだから、きっと効果にも影響が出ているに違いないと素人ながらに思うほどだ。

なんてことを考えながら、最後のポーションが入った箱を外に持ち出したところ・・・


「ここで何をしている?」


「わあ!!!!!」


外に並べたポーションの前に、一人の男性が立っていた。

訝しいぶかしげに話しかけてきたその人は、ルークが来ていた漆黒の軍服と似たものを着用しており、また強靭な体つきからも軍の方だと一目で判断できた。しかし何よりも、この世界基準でも端正な顔立ちと、黄金色に輝く髪に目を奪われてしまった。瞳がいつだか図鑑で見たラピスラズリの宝石と似た深い色をしており、また、内から魔力が溢れているのだろうか、その人の周りはキラキラと虹色の光の粒が輝いているように見えた。


端的に言うと、〝めっちゃイケメン〟ってこと。


「・・・」


「貴殿はここで何をしているのだ?」


「はっ・・・・!」


容姿に見とれてしまった私は、返事をするのも忘れるほどその瞳を見つめてしまっていた。

いけない、いけない。この人がどなたかはわからないが、きっと王宮に勤めている人だろう。ここで変人認定をされてしまったら、元の世界に帰る目標から遠ざかってしまう。


「失礼いたしました。私はオサナイエリカと申します。第3部隊のルーク・ガルシアさんに許可をいただいて、今日からこちらの倉庫の掃除と在庫管理をしています。」


社会人経験が活かされ、異世界から来たことなどは伏せた上でスラスラとそれっぽい自己紹介ができた。

こういう場合、日本だったら名刺を差し出すのだが、あいにくこちらの世界ではそれがないので、昨日預かった石板とそこに書かれた名前を見せた。


「第3部隊のルーク・ガルシアか」


石板の名前を一瞥し、ルークの名前を呟くと、その人は左の手のひらを上に向けた。すると何か映像のようなものが浮かび上がった。どうやら本当にルークが存在しているかを確かめているようだ。


「確かにその者は第3部隊に存在しているようだな。であれば、貴殿は先ほど在庫管理を行っていると言っていたが、管理業務を行うのにどうしてすべてのポーションを外に出しているのだ?」


「あ・・・。それは、倉庫の中があまりにも雑然としていていたので、一度掃除して、在庫数を確かめようかと・・・。あとはポーションを等級と古さで整理もしたかったので、一度明るい陽の下に出して色を確認したくて。・・・、もしかして、ポーションって陽に当てたらだめでしたでしょうか?」


そういえば、倉庫内の環境が悪すぎて気にしなかったが、ポーションって薬なのだから直射日光は避けるべきであっただろうか?


「いや。ポーションにそのような取り扱い上の禁は無い。」


そういうとその人はポーションに目を移したまま腕を組み、身じろぎも一切しなかった。


なになになに~?!イケメンに凄まれる経験なんてないから、もう怖すぎる!

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