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はじめての王都

数日後。ランスさんとロレッタさんに今までの感謝と暫しの別れを告げ、私とルークは王都へ向かうための馬車に乗っていた。


馬車に乗ることが初めてな私は、これから始まる前途多難な王都生活への不安は忘れ、最初は「馬だ〜!かわいい~!」なんて興奮していたものの、舗装されていない道を進むことによる振動にすっかり車酔い(馬車酔い?)してしまっていた。

私はてっきり、王都へは転移魔法か何かでビューンと一瞬でいけるのだと思い込んでいたのだが、そうではないらしい。ルーク曰く、物質に使う転移魔法は使える人が多いが、人間に使う転移魔法は難易度が高いそうで、移動手段としてほとんど普及していないらしい。

そうするとこの世界に電車や自動車がないのって、とっても不便な気がするけどなあ・・・。


「エリカ、大丈夫?もうすぐ王都につくけど・・・」


「うーん。なんとか・・・。全然景色を楽しめなくて残念だったけど・・・。」


馬車に揺られて半日ほど、まもなく王都につくという。

言われてみると、足元は整備されていない田舎道からレンガ造りの道に変わり、建物も増えてきた。


「王都は一応国王の城下町だから、城壁で囲まれているんだ。普段は開けっ放しだけど、万が一の時は門を閉めることで王宮を中心に立て籠もることができるようになっているのさ。ほら、そこの門をくぐれば王都さ」


「わあ・・・」


門をくぐるとそこは。

大通りを中心に左右に露店がならび、新鮮な果物や野菜などだけではなく、鉄製の剣や中心に宝石が埋められた盾といった、ランスさんの農場にいては見ることのなかったであろう品々が並べられていた。また露店から一歩下がったところには店舗型のお店が連なり、本屋・洋服屋・ケーキのようなものを売る店、bellのマークがついた建物(きっと銀行よね)、INNと書かれた施設など、活気にあふれた町が広がっていた。この町の建物はレンガ造りの物が多く、感覚的には外国の古い街並みといったところだろうか。


また、町の中心にはひときわ目立って大きな城があり、どうやらあれがいわゆる王宮、つまりルークの職場のようだった。


「すごい・・・、これがこの国一番の繁華街なのね。わたし、こっちの世界に来てから、ランスさんとロレッタさんと、農場で働く人たちとしか顔をあわせなかったから、こんなにたくさんの人がいるの、久しぶり・・・!」


門や十字路には衛兵がいるものの、戦時下のような物々しい雰囲気は無く、噴水で楽しむ子供たち、買い物を楽しむ観光客のような人、私と同じく馬車に乗った貴族のような人で溢れていた。そんな久しぶりに目にする多くの人々に、思わず胸が熱くなった。日本にいたときには東京の人混みが嫌でわざわざ地元の田舎で就職したというのに、やはり人とまったく触れ合わないのも寂しかったようで、思わず馬車から身を乗り出して街並みを眺めた。


「エリカ、さっきまで具合が悪かったのに、そんなにはしゃいで大丈夫?」


「大丈夫!こんな素敵な光景を見たら、馬車酔いなんてどっかに行っちゃったみたい!

ねね、ルーク、あれは何?魔法増殖石かな?」


指さす先には、陽の光を受けて輝く不思議な色をした『石』を所狭しと並べた露店があった。


「ああ、あれは魔法石屋だよ。説明するのは難しいんだけど、魔法増殖石の親戚くらいと思ってくれれば・・・。魔法増殖石は、誰か別の人の魔法が込められた石だけど、あの魔法石は、石そのものに魔力が宿っていて、その力に応じて持ち主を助けてくれるんだ。でも露店で売っているものなんてほとんど魔力が宿っていないから、まあお守りとか、加工してアクセサリーとして使われるものがほとんどだね。価値でいうと魔法増殖石の方がずっと上さ。」


「ふうん、だけどとってもきれいね。きっとあの輝きは魔力が源なのね。ずっと見ていられそう・・・。」


「露店じゃなくて、高度な魔法石を扱う専門店もあるくらいだからね。ただ高度なものはとても高級だから、購入するのは貴族くらいだろうけど・・・。ほら、エリカ。もうすぐ僕の職場につくから座って座って」


「はーい」


そういうと、馬車は町の中心の王宮へと進んでいった。


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