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黄色い線の内側に、おさがりください!


静岡県の海沿いの端っこを走るローカル路線、浜下電鉄株式会社。

これが、私が働く会社だ。


小山内絵里香おさないえりか。27歳、独身。髪は染めていないし、ピアスも開けていない。着用している服はユニ〇ロがほとんどの、いわゆる茶目っ気のないどこにでもいるような女だ。

まあ、〝こんな日本の片田舎でおしゃれしたって、なんにもならないしね〟と投げやりになっている部分もある。そんなんだから当然彼氏もいない。


私の勤める浜下電鉄株式会社、通称『浜電』は、よくある地方の零細路線。人口減少に伴って会社の業績も緩やかに悪化。採算は全く取れていないが、インフラとしての機能を維持するよう国やら自治体やらに求められた結果、人員を極限まで削減するという荒業に出てしまった。


人員を削減するためという大義名分の下、弊社では毎年運転士といった現場職の採用しかしていない。そのため、総務・経理・営業といった、裏方である事務員が常に不足している。


5年前、まあまあのレベルの大学を卒業後、地元で就職したいという気持ちと、安定した職に就きたいという気持ちからなんとなくで就職した浜電だったが、配属された経理部には、私を除いて事務員が2人しかおらず、そのうち1人は引退直前の経理部長。つまり実質2人でこの浜電の経理を回しているのだった。


この超絶少ない人数で仕事をしないというブラック企業のせいで、はじめは会計なんて右も左もわからない状態だった私も、とにかくなんでもこなさないといけないという環境から、今では経理部のエースとして主任を拝命するまでに至った。

もともと真面目な気質だったし、現場やチームとの交流はありつつも、数字という自分の業務に没頭できるという経理部は、私には意外と向いていたようだ。


(・・・とはいえ、いくら主任として手当をもらっているからといっても、毎日21時すぎまで残業はつらいよなあ)


そんな恨み言も出てしまう、すっかり寒くなってきた1月のある日。

今日も仕事を終えたのが21時を過ぎ。今日も30分に1本しかない浜電を待つ、いつもと変わらない日常のこと。

零細路線の名の通り、駅のホームで次の電車を待っているのは私一人だった。

寒さから早く電車が来ないかと腕時計に目をやると、その長針は5の手前をさしていた。


(うわ、もしかして電車乗り遅れちゃった?21時ちょうどの電車に乗れなかったから、次くるの30分じゃん・・・30分も駅で何して時間をつぶそう・・・ん?)


ふと、線路の先を見ると、なにやら車両のライトのような光が見え、電車特有の路線を走る音がした。おかしいな、次の電車がくるまで、まだ30分はあるはずなのに。

こんな時間に回送電車なんて走っていたっけ、と気になって、少しだけ黄色い線の内側に入って線路に身を乗り出したとき・・・


トンッ・・・


(えっ・・・?!)


誰かに背中を押されたような気がして、そのまま線路に身を投げ出してしまった。

謎の電車が目の前まで迫ったが、線路に落ちてしまったという事実に呆然とし、体を動かすことができなかった。


(ああ・・・鉄道会社の人間が、言いつけを守らずに黄色い線の内側に入っちゃったから、罰がくだるのかしら・・・私がいなくなったら、経理部の江田部長も田口さんも過労死しちゃうだろうな・・・って、私の人生、まさか自分の会社の電車に轢かれて終わっちゃうの・・・!?)


迫りくる電車を目の前にやけにクリアになる思考の中、次に来る衝撃に目を固く閉じたのだった・・・・・。


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