寂しいでは片付けられない
ありがとうございます。
・・・・・・なんで?
「えーと、冗談がお上手ですね?」
「冗談じゃない!言ったでしょ?寂しいって!」
顔は真剣だ。嘘をついているようには見えない。だが・・・
「飛躍しすぎでは?今までぬいぐるみで耐えていたんですし、無理やり一緒に寝る必要はないのでは?」
「妥協なんかしたくない!!」
「妥協て。」
「いいじゃん!女の子と寝れるんだからさ!」
「これから一緒に過ごすやつのセリフではないが、付き合ってもない男女が一緒に寝るとはいかがなものでしょうか?」
「大丈夫だよ!私は気にしないから!」
それはそれで悔しい。
「ていうかさ。私が住む場所を提供してるんだから拒否権なくない?」
それをいわれてしまっては何も言い返せない。
「・・・良い天気ですね。」
「今、夜!はい!私の部屋いくよ!」
「・・・・・・はい。」
俺は2階にある樋口さんの部屋に案内されている。相変わらずぬいぐるみが置いてある。
2階は5個の部屋があるっぽい。部屋が多すぎても困ると思うが、これぐらいならなんとか全部活用できるんだろうか。
「ここだよ。一番奥の右の部屋だから。覚えてね。」
「もしかしてここもぬいぐるみだらけなんですか?」
「一番高いよ。」
そう言って樋口さんはドアを開ける。
値段の話じゃないんだが。
目に入ってきたのはやはりぬいぐるみ。
ベッドの上、床、窓や他にも全てにぬいぐるみが置いてある。他のところと違うのは、他の部屋のぬいぐるみより大きいところだ。高いと言うのはこういうことか。
「イメージ通りですね。」
「なんか悔しい。」
なんでだよ。
俺はタンスを見て思い出す。
「あっ・・・・・・。」
樋口さんはこちらをみて首を傾げる。
「前の家にスーツケースを忘れました。」
「え、そんなことある?確かに以上に荷物が少ないとは思ってたけどさ。」
「逃げ出すように家を出たもので。持っていく余裕がなかったです。」
前の家はやばかった。あれ以上あそこにいれば死んでいた。
数々のトラウマが呼び起こされ、震える。
「逃げ出したの?」
顔は笑顔だが、声色が怖い。
もしかして服貸すの絶対嫌とかだろうか。
「はい。すいません。もし服を貸すのが絶対嫌なら出て行きますが。」
「服がないのはいいよ。男物もないわけじゃないし。でもさ・・・・・・逃げ出す可能性があるの?私から?」
樋口さん、顔が怖いよ。
「そういうわけじゃないです。前がやばすぎただけで。」
樋口さんは小声で
「ふーん。じゃああれはできないか。」
あれってなんだよ。怖えよ。
「じゃあ出て前の部屋に男物があると思うから、そこで着替えてね。あと戻ってくる時はノックしてね。私も着替えてるから。絶対だよ!」
「わかりました。」
一緒に寝るのは気にしないのに、そういうのは気にするんだな。
俺は言われた通りに反対側の部屋に入る。人1人が生活できそうな物が揃っている。親の部屋だったんだろうか。
「にしてもここにはぬいぐるみはないんだな。・・・・・・違いがわからんな。」
俺はタンスを開ける。
確かに少なくはあるが男物だ。
俺は適当に寝やすそうな服を着る。
特に服にこだわりはない。過ごせたらなんでも良い派だ。
適当に服を選び、俺は部屋を出て樋口さんの部屋をノックする。
「入って良いよー。」
「本当に良いんですね?いけないものとか落ちてませんよね?」
「多分大丈夫ー!」
俺はドアを開ける。
もこもこした寝巻きを着ている樋口さんがいた。
「なんかもこもこしてますね。」
「私を見てでる感想がそれなの?」
「はい。」
樋口さんは不服そうに
「ふーん。まぁいいや。寝よっか。」
樋口さんはベッドを指す。
俺は一つ気になったので質問してみる。
「樋口さんお風呂入りました?」
樋口さんはビクッとする。
「・・・・・・それ今必要な情報?」
「だいぶ必要ですね。」
「晃大君はお風呂入ったの?」
「ここにくる前に銭湯にいきました。」
住むところがない時は、銭湯に2日に一回入っている。
「ふーん。そうなんだ。へぇー。」
「入ってきてください。」
「やだ。」
なんでなんだよ。風呂は重要だろ。クラスの美人が風呂嫌いとかどうなってんだ。
「なんでですか?」
「私が買ったぬいぐるみは水陸両用じゃない!」
「もしかして風呂になにもないからいやなんですか?」
「そうだよ!ぬいぐるみが怖いとはいったけど、ないのはもっと怖いの!!」
「じゃあ今までどうしてきたんですか!?」
「頑張ってたの!!」
「じゃあ今も頑張ってください!!」
「私は妥協したくない!!」
「妥、妥協?」
「そう!どうしても入らせたいなら一緒に来て!!」
1日目でイベントが詰まりすぎじゃないか?
読んで頂きありがとうございます。
もしよければどうだったかコメントお願いします。
どんな意見でも歓迎です。