0.5初めての登校
今日は初の登校日だ。
自分の美化された像が立てられていることに気づいて、すんごい恥ずかしいんだが……。
「ソメイユ様、どうかされましたか?」
ぼ〜っとしている俺を不思議に思ったのか、パーシヴァルが顔を覗き込んできた。ちなみに、パーシヴァルは俺のはとこにあたるので、薄くはあるが、王族の血を引いている。
「うえっ!?い、いえ、何でもないですよ?」
考え事をしていたからか、なんかこう、ブワァとしてしまった。我ながら語彙力のない説明である。
そんなこんなで、俺たちはグラディウス学院へ到着した。
馬車を降りると、レッドカーペットが勢いよく転がり、俺の行く道を示した。
(いや、お嬢様かよ!?いや、お嬢様か……)
思わぬ待遇に驚きつつも、周りが注目する中、堂々と足を運ぶ。
俺のクラスは1-S。クラスはランクで分けられており、その中でもSは特待生扱いである。その証として、俺は左胸に鳩のバッジを付けられている。
俺が教室へ入ると、一斉に視線が俺に集中する。パーシヴァルは入れないので、教室の前で立ってもらっている。
俺の指定席を探すと、一番前のど真ん中だった。
(う〜わ、後ろに気遣わなきゃならねえじゃん)
先生達の気遣いなのだろうが、普通ならハズレ席だぞ!
最後の希望として、隣の席の子に期待する。
(お願いだ、ヤンキーみたいなやつだけは絶対に無理だ!どうか、おしとやかな子でありますように!!)
そして数分後〜
隣の席に座ったのは―――――
「あらあら、もしかして、王女殿下でしょうか?お隣ですのね、仲良くしてくださります?」
特例で留学してきた、隣国の第2王女――――――エーデル・シャイターン。いわゆるツンデレ令嬢である。ベビーブルーの長髪はそよ風に乗り、たなびいている。
「はい、エーデル様。私こそ、宜しくお願い致します」
エーデルからその言葉の返事が来ることは無く、遂には本を読みだした。
(気まず!)
俺はこういう空気が苦手なのだ。
どうすれば良いのかと悩んでいると――――、
「あ、王女殿下。その席、譲ってほしいんですけど?というか、とぉーーっても地味なんですね。一瞬分かりませんでしたよぉ」
と、カメリアのツインテールの女子生徒が生意気にも言い放った。
シーンと静まり返る教室。先生も、あまりの非常識な発言に何を言えばいいか分からないでいる。
俺まで呆れて黙っていると――――、
「貴女は……誰でしたっけ?知っている気がしますのに、地味すぎて思い出せません。」
と、横から声がした。エーデルだ。エーデルの突然の介入に、偉そうな女も唖然としている。
一方俺は――――
(おーーー!!!スッゲェな!)
偉そうな女の唖然とした顔を見て、やったったでという満足感にひたっていた。これが、「ざまぁ」なのだろうか。
エーデルは、一言言い返すと、また黙って本を読みだした。
「――――ッわ、私が誰だか、分かっているの!?聖女、聖女クークラとは、この私のことよ!貴女、平民の出でしょう?ただの平民が、私に敵うとでも?」
(あ〜、どっかで見たと思ったら、ヤブ聖女か。一回兄にアピールしに王宮まで乗り込んでたってな。ま、結局兄に「邪魔だ。どけ」って振られてたけどな)
エーデルの反応を見てみると、途端に立ち上がり、涼しい顔で―――――
「私はエーデル・シャイターン。シャイターン連合王国現国王 クローヌ・シャイターンの一人娘よ!」
と大々的に告白した。
すると、周りがざわつき始める。
「え、シャイターン連合王国って、隣国の?」「これは国際問題になりかねないぞっ!?」「美しい……」
と、口々に感想を口にしていた。
クラーク……間違えた、クークラは、「国際問題」という言葉を聞き、やっとことの十大さを理解したようだった。
だが、時すでに遅し。二国の王女が関わっているとなると、流石の聖女様でもただでは済まないだろう。
「―――――ッ覚えてなさい!!」
と、クークラは捨て台詞を吐き、一番後ろ端の自分の席へと帰っていった。
(とんだ問題児だな……。
それにしても―――)
エーデルに視線を向けると、エーデルと目があってしまい、慌ててそらした。
エーデルの顔が少し赤かったのには、気づかかったことにする。




