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前世英雄は今世でも無双する  作者: あまみ すすき
学園編〜
4/11

0.4ハラハラ入学式(2)

 会場がパニックになる中、一人冷静に状況を分析する。


(アイツ―――キャトル・オウガが大体Bレベだから、ここの近衛騎士20人で勝てるくらいか?

ここには騎士が30人くらいいる。余裕で勝てるはずだ。だが―――――)


 そこで、キャトル・オウガの後ろで隠れている、いかにも弱そうな鼠――――牛之背ニ控モノ(ムース・ラットゥス)が控えていた。

 

 (たしか、こいつはAレベだった気がするんだが…………)


 駆けつけた騎士の一人が、ムース・ラットゥスに気づき、周りに知らせ始めた。

 

(観察力はすごいと思うが、迂闊な行為だな。)

 

 騎士達は、先にムース・ラットゥスを倒そうと、キャトル・オウガの後ろに回る。

 だが、甘い。キャトル・オウガの手足に気を取られ過ぎだ。十分に警戒しているつもりなのだろうが、魔物は魔法もしくは魔術から出来ているのだ。魔法が使えぬ訳がない。


 『火炎凝縮玉(ピュール・バル)


 キャトル・オウガの口が微かに開閉する。

 すると、会場の天井に十数個の火炎凝縮玉が出現し、地に降り注ぐ。

 パニックに陥った会場が、一瞬にして悲鳴に包まれた。


 (しゃーねーなぁ)


 仕方がないというのは嘘で、実は満更でもないのだが………。

 

 俺はつっきーを鞘から抜き、構える。

 舞台の高さから、ここから跳べばキャトル・オウガの心臓までは届くだろう。だが、ムース・ラットゥスは―――――


 (分析は苦手なんだよぉ)


 文系は苦手な俺であった。


 「しゃ、行くぞ、つっきー!!」


 途端、おれは演台を踏み抜き、その勢いで大きく跳躍した。


 「月光(モーントシャイン)!!」


 空中でつっきーから月光を放つ。月光を放つために、微かに天井から漏れ出る日光を反射している。

 これは、ただの目眩まし―――――


 「竜水よ、我英雄神グラディウスの願い、聞き届けよ。雫之竜水(ドロプフェンヴェール)!!」


 キャトル・オウガの足元に、ポッカリと大穴が空く。その中は、渦巻く湖となっており、何人たりとも抜け出せない、蟻地獄となっている。|ムース・ラットゥスも、キャトル・オウガに巻き込まれ、一網打尽となっていた。


 俺は華麗に大穴の前に着地すると、見せしめ及び止めのため、極大魔法を詠唱する―――――


 「我、英雄神グラディウスが望む。我が神器夜之月ノ剣(セイアッド・ソード)よ、我が前に立ちはだかるものを、亡きものとせよ!英雄神ノ天罰(リトリビューション)!!!」


 途端、大地が揺れ動き、キャトル・オウガとムース・ラットゥスは大穴とともに消え去っていた。


 周りへの被害は皆無。強いて言えば、俺が出る前に立ち向かった、勇気ある騎士達が、キャトル・オウガのピュール・バルによって、軽い火傷を負ったくらいだった。


 「「「「「「おぉ、オォォォォォォ!!」」」」」」


 途端、パニックに陥っていた皆から歓声が上がり、俺が注目されていたことに気づく。


 (やっべ。英雄神グラディウスって詠唱しちまった)


 もしかしたらバレたかもしれないが、そのときは白を切ればいいと、後回しにする。


  周りへの被害は皆無。強いて言えば、俺が出る前に立ち向かった、勇気ある騎士達が、キャトル・オウガのピュール・バルによって、軽い火傷を負ったくらいだった。


 因みに、後日俺のスピーチは再開され、慌てて考えた台本を読みあげたのだが、盛大に噛んでしまい、大恥を書くこととなったのだった。

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