0.3ハラハラ入学式(1)
メッチャサボりました。申し訳ありません
盛大にコケ、周りにいる他の入学生や保護者席からの視線を浴びまくったが、気にせんばかりにまたあるき出す。
皆が……お姫様抱っこをしましょうか?いや、俺が!俺も俺も!……と、名乗りを上げたが、控えめに「大丈夫です。王族たるもの、いついかなる時も自身の足で歩かなくてはならないのです」と断った。
我ながら、お上品で凄いと思う。
な、そうだろ?つっきーも、そう思うよな?
つっきーと言うのは、セイアッド・ソードのことだ。夜之月ノ剣セイアッド・ソードと書くので、そう呼んでいる。
「姫様、こちらへどうぞ」
「有難う御座います」
視線がやんできた頃、席へ案内され、一際目立つ黄金の椅子へと腰掛ける。
適当にはにかんでやると、案内役の教頭の目がハートになった。
(キモ………)
おっと、本音が出てしまった。
いや、出てないか。
俺の回りに席は置かれておらず、代わりに護衛騎士に囲まれている。隣には俺の専属騎士 パーシヴァルが控えている。平民の出だが、その力は計り知れない。
(ま、俺には負けるだろうけどな)
最も身分の高い俺が来場したことで、入学式が始まった。俺を待たせないようにどの気遣いだろう。俺より遅く来た奴ら、南無阿弥陀仏。
「でははじめに、校長 トゥレイタより、お祝いの言葉」
どうやら、定番の長話が始まりそうだ。
(うわー、めんど)
内心愚痴るが、表はニコニコスマイルを貼り付けている。こっそり練習してきたのだ。
まさか、こんなことを練習する羽目になるとは………。
「――――――続いて、新入生代表 ソメイユ・グラディウスより、スピーチを」
(―――――ッハァ!?)
聞いてないぞ!?
台本もないのに、スピーチ?
俺はそういうの苦手なんだよぉ!!
だが、こうなってしまっては仕方がない。天然のフリして頑張るかー
立ち上がり、静寂を切るように堂々と足音を鳴らしながらあるき出す。皆俺に見とれているからか、黙っている。それは保護者席も同様であった。
壇上に上がると、優雅に職員席に一礼、保護者席に一礼、そして生徒席に一礼する。
大きく深呼吸をし、ニッコリスマイルを貼りなおし、皆の方を向く。
「私は、ソメイユ・グラディウスで御座います。この度、無事にこのグラディウス学園に入学できたこと、心より嬉しく思いまぁ……す。
これから私達は、この学舎で、仲間として共に歩むこととなります。平民の方から、私のような王族まで、差別せず、平和で安全な学校生活を…――――――ッ!?」
ちょうど言葉に詰まった時、会場の扉がバタンと勢いよく開いた。
「魔物、魔物だ――――――!!
逃げろ!食われるぞ――――――――!!!」
何事かと皆の視線が扉から入ってきた近衛騎士に集中する。
魔物――――――――。
人間が魔法、もしくは魔術を使うとき、空気中に拡散した魔素の塊。使う魔法もしくは魔術の規模により、空気中に拡散する魔素の量は変わる。
(よっしゃぁ!!)
スピーチが中断されたことで、とても助かったった。
舞台からは、魔物という言葉を聞き、パニックになっている皆の姿が見える。
(魔物、ねぇ……)
俺の前世でも、魔王がいたり、魔物がいたりしたが、大体目に入ったら倒していた。
「さーて、ちょうど堅苦しかったし、いっちょやってやるかな〜〜」
演台に足をかけ、扉方面を睨む。
そこには、興奮し、荒々しい息の牛鬼―――――狂気全開牛鬼之魔が此方を睨んでいた。




