0.1 転生したら王女様でした
「英雄様、行かないでぇ……」
「貴方は命の恩人です。
だから、いつか、恩を……」
泣かないでほしいなぁ。
こっちも、死にたいわけじゃあないからな?
「お前達、頑張れ………。世界を、守れよ……」
これが遺言か。眼の前にいる仲間たちは、とてもいい奴らだったなあ。
我ながら、結構頑張ったんだぞ?
親元を離れるとき、どれほど泣きじゃくったことが。
母さん・・・
まあ、仲間もできたし、良かったっちゃあ良かったかも、な―――――
そこで、俺の意識は途絶えた。
………………………………………
…………………
……
ん?
体が…ある?
ここは?
だれだ、この銀髪のメイド娘は………?
声を上げようとする。
だが――――――
「ホオギャャャャ!!」
「あらあら、どうしましょう。
王女殿下は、何かが気に触ってしまったようです。
ミルクでしゅか〜?
おむつでも変えましょうか?」
口調なめすぎだろ………
というか、王女殿下!?
俺、女になったのか……?
いや、まさかなあ―――――
そこで、気づいてしまった。
いつもとはちがう感覚に。
「ホオギャャャーーーーッ!!」
悲鳴にならない悲鳴を上げる。
(ああ、やっぱり、俺、女になったんだ)
半分諦めていた。
「―――――っげ、元気ですねえ」
ホホホと笑う、俺を見下ろすこの女は何なんだ!?
その時、後ろでドアの開く音がした。
足音がどんどんと近づいてくる。
恐る恐る斜め上を見ると、美しい女性が立っていた。
「うーん、やっぱし私の娘なだけあって、とーっても可愛いわねぇ」
その女性は、俺を抱き上げ、頬ずりをしながらそういった。
この言葉から推測するに、俺はこの女性の子供。逆にいうと、この国の女王陛下―――――
「そうで御座いますね。
ほんと、陛下に似てお可愛らしい」
いつの間にか端に控えていたメイドっぽい奴が少し頭を上げて言った。
「ソロソロお名前も考えないとねぇ」
どうやら、まだ俺に名前は無いらしい。
ならば、せめて名前だけでも前世と同じにしたい!!
「う、あでうしゆ」
なんでこんなにも滑舌が悪いんだ!?
赤ん坊って不便だなあ。
(グラディウス!グラディウスだって!!)
「「―――――ッ喋った!?」」
確かに、そりゃ赤ん坊が喋ったらびっくりするか。
突然喋ったのは失敗だったかもな。
そう思っていた、その時――――――
〘王家の新星に、エンチャントアーツ:夜之月ノ剣からの契約申請が届いています。又、王家の新星には意識が存在するため、親族からの了承は不要となります〙
突然、頭にコンピューターのような声が響いた。
(え、え?夜之月ノ剣って、あの、伝説を超えて神話級の、あの、月の神が最初に創造した、あの!?)
あのが多い気がするが、気にしないでほしい。
俺は、「えー」「あれ、あれ」等が多いのだ。一つの文で10回以上連発した覚えもある。
と、まあそんなことはおいておいて………
まあ、俺は前世が英雄で、仲間を連れて世界各地を旅して、沢山の人々を救ってきた。
だが、俺の旅の目的は、人々を救うことにはなかった。
そう、ご察しの方もいるだろう。
この、今、nowで、契約申請の届け人―――――いや、届け剣の、セイアッド・ソードを求めて、旅をしていたのだ。
(こんなにも簡単に手に入るものなのか………?)
ま、欲しいし、その願い、受けよう!!
色々と謎が多いが、今はとにかく、こんなチャンスはもう二度とないと思い、言葉には出せないので、心の中で答えた。
すると―――――
〘王家の新星が、契約を受理しました―――――〙
そして、眼の前に、まるで夜の星を詰めたかのような、暗くら静かに光る剣――――セイアッド・ソードが現れた




