アラーム
「ソラ先輩の、本当の家?」
「君には関係ないよ。これはお姉ちゃん個人の問題よ…」
「そう、ですか。」
その様子からして、家庭にかなりの問題を抱えているようだった。悪いことを聞いてしまったな。
でもソラ先輩、二度も怪物を発見するも殺されなくてよかった。
「本当の家」とやらを度々見に行ってしまうことが本人にとって良いことなのかは分からないが、ソラ先輩が安心して屋上に出られるようにするためにも早くサキュバスを倒さないとな。
「ま、まぁ何かあったら俺たちに相談してくださいね。部員なんですから!」
「ありがとうね。でも、大丈夫よ、気持ちだけで。」
そう言ってソラ先輩は無理に笑顔を作ると、帰りの支度を始めた。
いつかソラ先輩の家庭の問題、解決するといいな…
「じゃあそろそろ部室閉めるわよ。ミナもレイも今日はその辺にして〜!」
「は〜い」
「はい!」
こうして本日の同好会は終了した。今日はただ部屋の掃除をしただけだが。
***
四人で校門を出た。さすがに十月に入ると、五時半にはもう辺りは真っ暗だ。
ソラ先輩に挨拶をしようしたら、
「お姉ちゃんも公園のところまでは一緒なんだ。一緒に帰ってもいいかしら?」
「え? …っあ、そうなんですね! 帰りましょう一緒に。」
「いいですよ。」
「もちろんです!」
ミナもレイさんも大賛成で一緒に帰ることになった。しかし、俺は一瞬戸惑ってしまった。
俺たちが今から向かうのは、あの屋上からは見えない方角、つまり屋上の出入り口がある方角なのだ。
「本当の家」、か…
***
次の日、俺はもちろん今日も同好会に来ていた。四人で協力して、掃除はほぼ完了していた。
少し休もうかな…なんて思い、床に腰掛けようとしたその時、
「おい、誰のスマホだ?」
ピローンピローンピローン…と、部屋のどこかから聞いたことのない着信音が聞こえてきた。
ミナが昨日のアレを指差した。
「これが鳴ってるよ! 電球も光ってるし画面も点いてる!」
昨日発掘された意味不明な改造をされているスマホだ。こうして動いたということは、単に電池が切れていたのだろう。それにしても何の音だ?
「はい、これ。」
「ありがとう。」
ミナから受け取り、画面を見るとそこには地図が表示されていた。そして、とある場所に赤い矢印が刺さっている。
…ん? ここって…どう見ても、いつも通学時に通る公園だった。それを皆に見せると、全員深く頷いた。
「ちょっと行ってみる?」
「うん。」
「行こう!」
「行きましょう。」
俺はこの意味不明なやかましい変なスマホを片手に、同好会のみんなと公園を目指した。
***
「まさか…、俺たちはとんでもない代物を手にしてしまったみたいだな。」
公園に着くと、そこには怪物が一体出現していた。
この変なスマホ、怪物の出現を教えてくれるマシンだったのか。となるとあの部室って一体…?
まぁ疑問は色々とあるのだが、一つ言いたいことがあった。
「これ、ポ○○ンGOかよ!?」
「霜太君、それより戦った方がいんじゃない?」
「…はい。もう無駄なツッコミはしません。」
レイさん、君の言う通りだ。でも俺的に結構自信のあったツッコミだったんだけどなぁ…。
「よぉし来い! 光の鎧!」
***
また怪物との戦闘シーンはカットしましたー。今日の怪物も弱かった。十秒くらいで倒せた。
振り返ると、ミナ、レイさん、ソラ先輩は何か言いたげな顔をしていた。
「どうしました?」
鎧を解いて彼女たちのもとへ戻ると、まずミナ。
「やっぱり怪物って弱いよね?」
「うん。」
次にレイさん。
「私たち居ても全然大丈夫だったね!」
「うん。」
最後にソラ先輩。
「もうお姉ちゃんたちの言いたいことは分かるわね?」
「…はい。」
そうだ。こんな怪物ばかりなんだから、同好会みんなで動いてもいいんじゃないか?
俺一人で十分彼女らを守れる。今日なんて十秒だったし。
何か三人はワクワクしている。
「そうですね、これからはみんなで―」
三人の期待に沿うような返事をしようとした時、俺は絶対に忘れてはいけないはずのことを思い出した。
俺が一番倒さなきゃいけないのはサキュバスだ! そして俺は、あいつの戦闘能力を全く知らない。
光介を、一瞬で殺したこと以外は…
絶対にあんなことは二度と起こさせない!
「…いや、ダメだ。」
「「「え?」」」
怪訝な顔をする三人。だが、俺はこう答えるしかない。
「…危険だからだ。」
それだけ言って俺が黙り込むと、場の空気が重くなってしまいミナとレイさんも黙り込んでしまった。
しかし、ソラ先輩だけは一切態度を変えることなく一つの提案をしてきた。
「じゃあ、一人だけなら守ってくれる?」
「え?」
「つまり怪物が現れるたび、順番で私達のうち誰か一人だけが君についていくのよ。」
「……。」
どうしよう。確かに一人なら守りきれる気はするが…
ミナやレイさんを見ると、目を輝かせている。ソラ先輩はもう俺がなんて答えるか察しているようだ。
…しょうがない。俺はため息をついてから言った。
「分かった。一人だけなら守ってみせるよ。」
「「「ありがとー!」」」
「お、おう。」
「それとさ…」
「何だミナ?」
「その変なスマホ、名前つけようよ。」
「そうだな〜、『怪物アラーム』とか?…」
「「「普通すぎ!」」」
その後色々な案が出た末、結局この変なスマホの名前は「怪物アラーム」に決定されました。
最後までご覧頂き本当にありがとうございました。
万が一、この小説を少しでも面白いと思って頂けた方がいらっしゃいましたら、ブックマークや広告下にございます
【☆☆☆☆☆】を押して応援して頂けましたら幸いです。作者のその日のテンションが上がります。
また、感想等もお待ちしております。どんな感想でも、作者のその日のテンションが上がります。




