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朝のHR お姉ちゃんって呼んでいいのよ

「先輩、怪物はどこに?」

「屋上よ。」

 

 また屋上かよ…。でもこれは、あのサキュバスに近づけるチャンスかもしれない。


「ミナ、先生には保健室に行ったと言っておいてくれ。」

「うん。気をつけてね。」


 もうすぐ、チャイムが鳴る。ある意味このタイミングで良かったと言える。

 何故なら以前の昼休みと違い、彼女らは絶対についてこないからだ。

 俺たちの教室は二階。急いで屋上へ向かった。




***




 怪物を倒して来た。え? 展開が早い? それはだって屋上に出たら怪物がいたから、毎度のように「来い!光の鎧!」と叫んで光の鎧を装着し、あっさりと怪物を斬ってきた、それだけだから。ほんとそれだけ。

 しかし、残念ながらサキュバスはいなかった。まず、なんで怪物は二度も連続で屋上に出現したんだ? それに、それを伝えに来てくれたあの先輩って一体…

 ちなみに俺は今、教室に戻っているところだ。ホームルームが終わった直後なのか、すべての教室が少しガヤガヤしている。しかし、廊下にはほとんど人はいない。もうすぐ一限目が始まるからな。

 そして俺が三階に降りた途端、


「強いじゃない。まるでヒーローね。」


 左からあの先輩の声がした。

 振り向くと彼女は腕を組みニヤついている。

 

「ああ先輩、もしかしてついて来てました?」

「ええ、ちょっと気になったから私も『保健室に行った』ことにしてこっそり見させてもらったわ。」


 何だ? 先輩、何か雰囲気が今までと違う。そう。例えるならば…小学五、六年生の女子!

 精神年齢が低い男子を「やれやれ」と言った目で見てくるタイプの!!

 すると彼女は、無性に興奮気味に言ってきた。


「この私…いや、お姉ちゃんに! 君の手伝いをさせてくれないかな?」

「お姉ちゃん!?」

「うん。お姉ちゃん。私、お世話をしてあげたいと決めた人の前では自分のこと『お姉ちゃん』って言うの。」


 何ともいえない、母性とも少し違う「私がいないとダメなんだからぁ!」オーラを感じる。

 今まで爆食のイメージしか無かったので、ここで一旦この人について整理しよう。

 身長は162センチくらい。水色のショートボブで胸はBカップくらいだろうか。

 以前は無表情だったが、現在の彼女はパッチリ開いたタレ目で俺を見つめて来ている。

 …可愛いじゃねぇか…。

 そして、爆食スキルを持っている。さらに先程、「世話好きスキル」を獲得した。俺の中で。


「でもなんで手伝うなんて?」

「理由なんてなーいよっ。お姉ちゃんの心のセンサーが反応し・た・だ・け!」

「でも危険ですよ!」


 本当に危険を背負うのは俺だけでいいんだ。誰も巻き込みたくない。

 すると彼女は突然、両手を腰にあて真面目な顔になった。


「だからほっとけないのよ。」

「え?」

「君さ、いつもあの女の子たちを戦いから遠ざけてるでしょ。」

「はい。」

「なんで?」

「それはもちろん、彼女らにはこの件に関わってほしくないからです!」


 俺の言葉を聞くと先輩は俺を可愛がるかのような表情に戻り、一歩一歩こちらに近づいてきた。


「あの子たち、君が戦いに行った後すごく不安そうな顔になるの知ってる?」

「でも、彼女たちにはなんの被害も…」

「じゃあ仮に、君が怪物に殺されたら彼女たちはどう思うと思う?」


 その言葉を聞いた途端、俺は三年前の、光介が死んだ時の自分を思い出した。そして、その後の俺の三年間についても。

 そうだ。大切な親友を一人失ったことで俺は生きる気力を失った。俺の場合は「本当は俺が死ぬはずだった」という最悪なおまけが付いていた影響も大きいが。

 ミナとレイさんは俺のことを好きだと言ってくれている。明らかに大切に思ってくれている。

 もし俺が、彼女たちの立場なら…


「でも俺は戦う力があるから怪物に近づけますけど、ミナやレイさん、そして先輩にもその力は無いじゃないですか。」

「そうだね。でも、何も一緒に戦えとは言ってないわ。」

「じゃあ俺はどうしたら…」


 すると、すぐ目の前にいる先輩が俺の頭に手を伸ばした。そこまで身長差はないので普通に届く。そして、


「先輩…?」


 俺の頭を優しく撫でてきた。何故だか、すごく心地良い。

 そして彼女は少し背伸びをして、俺の耳元で小さくつぶやいた。


「まずはしっかり、あの子たちの話し合ってごらん。大丈夫! 君なら絶対うまく行く!」


 一言喋るごとに吐息がホワッとかかってきて耳がすごく熱くなった。

 あの子たちと話し合う、か…

 その後先輩は踊り場を指さした。


「ほら、今も不安そうな顔をしているわ。」

「ミナ、レイさん!?」


 振り向くと、階段の影から二人が俺たちを覗き込んでいた。確かに不安そうな顔をしているが…


「あれは別の不安じゃないんですか、先輩。」

「ふふっ、そうかもね。あと先輩はやめて。私は海優(かいゆう)ソラ。」

「じゃ、じゃあ海優先輩…」

「ソラお姉ちゃんって呼んでいいのよ?」

「え、それは難易度が高いなぁ…ソラ先輩で許してください!」

「う〜ん、まぁいいわ。いつでもおいでね、多分お姉ちゃんの方から行くことの方が多いと思うけど!」

「…で、では。」


 俺はそう言ってソラ先輩に手を振り、ミナとレイさんのもとへ向かった。二人から不穏なオーラを感じる。

 しかもそれは、階段を一段ずつ降りていく度に大きくなっているような…

 いや、そんなことよりしっかり二人と話し合わなくてならない。

 彼女たちの目の前まで来た俺は口を開いた。


「「「ちょっと話があるんだけど!」」」


 その時、踊り場に三人の声が同時に響いた。


 


 



 

 


 

 




 


 

最後までご覧頂き本当にありがとうございました。

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