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過去の記憶

「この化け物め! 城に来て十数年経っているというのに、歳をとらぬとはどういうことだ!」


「おまけに回復魔法も使えるのよ! きっと邪教徒に違いないわ!」


(これは……夢ですね……。)


「いえ! そんなことは、わたくしは……!」


(懐かしい記憶ですが、夢を夢と認識できる事が幸せであるとは限らないのですね。)


ーー


ーー


「セレンよ。

いつか貴女にも、己の全てを捧げたいと思う殿方が現れるはずです。その時は……」


「本当に、そのような方が現れるのでしょうか?」


「神は貴女を見ていらっしゃるはずです。もし、そうでなくとも貴女は幸せになれると私が保証しますよ」


(神父様……。)


ーー


ーー


「俺が……お前の……に……なろう」


「……はい!」


(ラクール様……。)


ーー


ーー


……けて……。


……を……けて……セレン……。


……聖剣を……。












「はっ……!」


 気が付けば何時ものベッドの上。

 見慣れたシーツが目に入り、何故だかほっとしてしまいます。


「はぁ……はぁ……」


 余程うなされていたのか、呼吸は乱れ酷く汗をかいているようです。


「ふぅ……」


 一度息を落ち着けると、汗も引いていきました。


「起きたか」


 声のした方を見ると、既に衣服を着用されたラクール様が窓辺に立っています。


「はい、おはようございます」


「ああ、おはよう」


 ふと、自分が服を纏っていないことを思い出し、そっとシーツで隠しました。


「今朝はずいぶんうなされていたようだが、悪い夢でも見たか」


「はい……ですが今は問題ありません」


 ラクール様のお声を聞けましたから。

 と、内気なわたくしでは声に出せませんので心の中でそっと呟きます。


「そうか」


「…………」


 ラクール様……。


 わたくしの不安を取り去って下さるのは、いつもラクール様です。


 このお方に救われた日から、わたくしの瞳にはラクール様しか映っておりません。


 しかし同時にこのお方を想えば想う程、時折不安にもなるです。


 わたくしの事をどう思っていらっしゃるのかと……。


「あの……ラクール様」


「どうした、セレン」


 実を言うと、わたくしは正式な妻ではありません。


 周りから、事実上はラクール様の第一妃として認識されていますが、

 ラクール様から直接婚約の話をしていただいたことは無いのです。


 わたくしの事を憎からず思っていてくださるのは分かるのですが、やはりお気持ちが気になってしまいます。


 しかし、何とお聞きすれば良いのでしょう。

 上手い言葉が出てきません。


「ラクール様は、わたくしの事をどう思ってらっしゃいますか?」


「……何?」


 言ってしまった。そしてやってしまいました。

 これでは質問がひどく曖昧です。


 今の言葉では、わたくしの意図は伝わらないでしょう。


「申し訳ございません。おかしなことをお聞きしました」


「いや構わん、そうだな……。

もし、お前がある日突然居なくなったとしよう。

そうしたら俺は地の果て、空の果てまでお前を探しに行き、必ずお前を見つけ出すと誓う。

それくらい、お前の事を大切な存在だと思っている……。この答えで良いか?」


 ああ、嬉しい……!


 わたくしの要領を得ない質問にも、ラクール様は的確に答えてくださいました。


 お互いに通じあっているようで、心が満たされていきます。


「それ以上に幸せを感じられる言葉など、他にございません。ありがとうございます」


「そうか、ならば良い」


 やはりラクール様はわたくしの不安を取り去ってくださる。


 もう悩むのはやめにして、いつも通りの笑顔に戻りましょう。


「時にセレン、これから向かいたい場所があるのだが……」


「はい、お供いたします」


このセレン。

ラクール様とご一緒できるなら、

たとえ火の中水の中でも、恐れる事無く向かうと誓いましょう。


「そうか。

ではローズ大陸まで転移してくれ。行き先は……"スイチュウ"だ」


「はい。

…………

………

……

はい?」


 ですが、本当に水の中だとは、流石に予想外ですラクール様……。










 おっす、みんな!


 俺はラクール・ド・エルナス!

 またの名を☆らくるん☆だ!


 温泉と仲間をこよなく愛し、ちょっぴり魔法と血が苦手なお茶目な吸血鬼さ、よろしくな!


……。


 あれ?

 今誰か、剣術馬鹿とチキン野郎を忘れてるってイワナかった?


……ふふっ、良いだろう。


 この俺の鶏魔法で地に果てるがいい!!


「はい?」


 あっ嘘です、本当は鶏魔法なんて使えません。

すみません。


「スイチュウですか?」


 あ、ああそっちね。


「ふむ、急な事だとは思うが、探し物があるのだ。頼めるか?」


「もちろんでございます。

しかし、どうしてスイチュウなのでしょう。あそこは……」


 さっきからスイチュウってなに?

 と思っている人もいるだろうけど、スイチュウは水中だ!


……。


 いや、本当なの!

 水の中に街があるの!


 俺も最初に聞いたときは訳が分からなかったよ……。


 今のローズ大陸は、一代で巨万の富を手にした富豪が治めているんだけど、その人がスイチュウという街を水の中に作ったらしい。


 酔狂なことするよねー?

 俺も温泉の中に街とか作っちゃおうかなー。

 給湯街セントウとかいっちゃって!


「ある貴重な品が持ち込まれたという噂を聞いた。

それにお前の休みも取れていないのでな。

スイチュウは歓楽街が多いと聞く、ついでにお前の疲れを癒すのもいいだろう」


 そう!

 俺の情報網(シレーヌ)に娯楽と探し物が引っ掛かったのだ! これは一石二鳥だね!


 まあセレンには、俺が欲しい物はまだ言えないんだけど……。


「ありがとうございます。では出発は何時になさいますか?」


「支度を終え次第、すぐに行く」


「お早い出発ですね。

エルガルさんのこともありましたし、少し休まれても良いと思うのですが……」


 ん?これから休みを取りに行くんだよ?

 温泉を堪能出来なかった分遊び尽くすんだよ?


 それに、早くしないと軍議に参加させられてしまう。


 どうせまた他大陸に攻め込もうとかそう言う話になるんだ、きっとそうだ!


 俺は嫌だぞ!

 アルガルの前では格好つけちゃったけど、争いは嫌だ! 面倒くさい! のんびりしたい!!


「まあ、早い方がいいだろう」


「かしこまりました。では、シレーヌさんには私から伝えておきますね」


 なぜシレーヌ?

 まあ良いや、シレーヌは今回も軍議に参加しないだろうし、俺が居なくなる事を知られても問題ないだろう。


「ああ、シレーヌ"だけ"に伝えておけ」


「はい。では言って参ります」


 そう言うと、セレンは手早く着替えて出ていった。


 今から楽しみだなぁ。


 歓楽街に行けるのだ。

 カジノで夢でドリームなのだ。


……うおぉぉぉテンション上がって来たぁぁぁ!!


 ロイヤルストレートフラッシュが俺を待っているぜ!!

お読みいただき、ありがとうございます。


第二章始まりました。


同時に、新作である↓


"外れスキル『ステータス画面』が実はSSSランク級スキル!? ~ざまぁとスローライフが織り成す異世界無双生活~"


も始まりましたので、ぜひチェックの程お願い致します。

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