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スタンダードな関係  作者: 雅也
3/6

3話


                 3


「で、こうなったのか? 匠斗」

「ま、まあな、スマン」


 ここは亮の部屋。 最初の集まりはココにした。


 今朝の凪穂とのやり取りで、勉強会が4人になった事が、不満では無いのだが、今まで喋った事も無い凪穂との接し方が今一良く分からない亮と葵だった。


「葵は今まで凪穂と喋った事は無いのか?」

「それは女同士だから、って事?」

「それもそうだが...」


「あの、凪穂さん、私達今までまともにお話した事ってあったっけ.....」

「それは無いと思う。喋りかけられればもちろん普通に話すけれど、それ以外は殆ど無いかな」

 凪穂は続ける。

「それで、この空気は私が作っているのは分かるけど、ココで一緒に勉強会に参加させてもらう事は出来ないかな? お願い」

「いや、別に変な空気って言うのも何だが、別段 困った事も無いんだから、オレ達は良いよな葵」

「うん。嫌いな人ならイヤだけど、ちょっと私に言わせれば 不思議ちゃん 部類に入る......って、ゴメン! ちょっと興味があるし、いいわよ 匠斗」

「ありがとう、って、俺が言うのも可笑しいが、徐々に慣れていくと思うんで、取りあえず、ありがとな 亮 葵」

「私からも、お願いね ありがとう みんな」


 そう言って、凪穂はみんなに頭を下げた。



 いきなりで、二人から何と言われるか、予想がつかなかったが、意外にすんなりと受け入れてくれた亮と葵に、ホッとする匠斗だった。



                  △



「あ、そのX値 コレにしてみてから、後はこの公式を使えば多分導きだせるよ」


「....へえ、凪穂って頭いいんだな、説明が良く分かるし」

「そんなことないよ~.....あ、そこのB'は...」

「葵も頭いいけど、凪穂もいいんだな」


 何かを思い出すように、葵が言った。


「そう言えば、村上さんって名前、いつも学年上位に居る常連だった気がする」

「葵よりも?」

「うん、確かいつも一桁だったような.....」


「まあまあ、そんなのどうでも良いから、続きやろ?」



 その後も、勉強会は続き、約2時間びっしりと、行った。



                  △



「オレ、こんなに楽しいなんて、これからも続けていく気になったな~」

「あはは、匠斗がやる気になった」

「分かりやすさって、やる気も出るんだな、これは凪穂に感謝だな、ありがとう 凪穂」

「いいよ~、私もいい復習になったからね」

「うわ! この学力の違い...凹む~」

「亮も匠斗も、凪穂が居れば、成績上がるよきっと」

「何言ってるんだ、葵も居てくれないと困るぞ」

「亮の言う通りだ。葵の教え方も分かりやすくって、楽しいし」


 葵と凪穂が目を合わせて。


「凪穂ちゃんも、これでしっかりとメンバーだね」


 亮と匠斗が頷く。


「え、私 この仲間になっていいの?」

「何言ってるんだ凪穂、オレお前の教え方が分かりやすいんで、☆5つだな」

「匠斗の言う通り、オレも☆5つだ」


 匠斗が凪穂に向かって


「これからも毎週来てくれよ、凪穂」

「私って、結構 陰キャだけど、入れて下さい」


「「「おっけ~!」」」


 「でも、凪穂は陰キャじゃないぞ、普通にコミュニケーション取ってるし、カワイイし」


「..........」(凪)


「あれ? 匠斗 凪穂ちゃんに もう惚れちゃったの?」

「う!」


「あれ~? 否定しないんだ~  た~くと~・・・」


 このやり取りを見ている当人の凪穂は、ただ 固まっていた。


「まあまあ、その辺で許してやれよ葵、それに、もう昼を過ぎたから、どうする?みんな」


宥めに入る亮の一言と、これからの時間をどうするかを、皆に聞く。



「そう言えばお腹すいたよね、亮の家の近くのファミレスでどう?」

「オレと亮は構わないが、凪穂はどうする?」

「う~ん、私は今朝から外食したし、今回はどうしようかな~」

「そこのファミレス、パスタが安くて美味しいんだよ」

「パスタか~、いい響きだね、そそられるね」

「じゃあ凪穂も決定な」

「うん、いいよ」


「よし!行こう」

「「「お~!」」」


 どこかに討ち入りでもしそうな4人だった。




                  ◇



「「「「いっただっきま~す!」」」」


 4人のメニューがテーブルに揃ったところで、匠斗が いただきます の号令をうながした。


 4人4様のメニューだが、亮は大食家なので、ハンバーグ定食のライス大盛が特に目についた。

 匠斗は、長いチョリソーとチキンのチーズ焼きが乗った、ガッツリメニューに取り掛かった。

 葵は、キャベツが混ざったペペロンチーノ、凪穂はカルボナーラのパスタを頼んだ。


「はふほ、ほほあほはふぉ~ふふ?」(匠斗、この後はどうする?)


「なに?」

「ふぁはは、ほほあほはふぉ~ふふ?っへ いふぇんらへほ」(だから、この後はど~する?って言ってんだけど)


「頼む亮、食べてから喋ってくれ、まるっきしわからんぞ」

「ふまん」(すまん)


「亮、お行儀悪いわよ」

「スマン」


 凪穂が笑うのを堪えながら、肩を揺らしている。


「凪穂、笑いたかったら普通に笑えば?」

 そう言った後すぐに。


「あははははは! あ~おもしろ~」

 凪穂が声をあげて笑い始めた。 しかし


 この時、匠斗は心臓がドクンと鳴った。

(か、カワイイ.....)

 その匠斗の心の声を代償した様に、葵が。


「凪穂ちゃんって、笑うとメッチャ可愛いんだ。学校とぜ~んぜん違う」

「そう? ごめんね、匠斗くんたちが面白くって」


 さらに笑顔で話す 凪穂。


(もう止めてくれ、一発で惚れてしまいそうだから(匠))

 凪穂に目が釘付けになっているのを、葵は見逃さなかった。


「匠斗、やっぱり 凪穂ちゃんの事、気になるんでしょう?」

「ぐ!」

「ほ~ら、何も言えない」


 そこへ、助け船を出すかのように、凪穂が言った。


「私、このあとちょっと寄りたい所あるんで、お昼ご飯が終わったら、解散でいいかな?」

「そうだね、みんな初日だし、あまり引っ張ってもいけないしね。どう? 男子」

「確かに、そろそろお開きにするか、亮」

「そうするか」


 済まなそうにする、凪穂。


「ごめんねみんな、私の我儘で解散だなんて」

「いいよ、気にするな凪穂、オレもコレから寄りたい店があるんで、そろそろ行くかな」

「そうだな、オレも葵とデートだし・・・・な?」

「そ、そうね。じゃあ、また来週ね、今度はどこにする?」


「今度はオレの部屋にしようか。いいかな?みんな」

「オレはいいけど、女子方はどうかな?」

「おっけ~よ 匠斗」

「あ、はい、私も匠斗くんのお部屋でいいです」

「じゃあ決まりな、みんな」


「では、かいさ~ん」


 来週の予定を確認して、4人はそれぞれに分かれた。







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