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17の魔剣と銀の君  作者: 葛城 駿
学園都市編
8/38

第7話  願いと散歩とシルヴィアの事情

暗く、狭い石造りの通路で何かを言い争う声が響いた。尤も言い争いにしては一方的な様子だったが。


「お願いします!一度だけ、一度だけでいいんです!お母さんに会わせて下さい!」


「黙れ、今は会わせられないとさっきから言っているだろう。そもそも会わせて欲しいなら相応の働きをするのが筋だろうが。録な働きもしないであれこれ希望を出すなど図々しいにも程がある」


「今度こそは絶対に上手くやります。だから、お願いします!お母さんに会わせて下さい!」


「しつこいヤツだなお前も。そう言ってから何度失敗してきた?お前に使ってるクスリも安くはないのが分からんのか。お前のような役立たず使ってやってるだけでも有難いとは思わんのか?」


魔法使いの男はうるさそうに手を振ると先程から何かを訴えているローブの人物を適当にあしらう。

ローブの人物は尚も男に懇願するが全く取り合わない。


「お願いします、ノーマン様!会うのが無理ならせめて声だけでも聞かせて下さい!それでもダメならお母さんの容態だけでも……」


「………」


ノーマンと呼ばれた男はおもむろにローブの人物を手にしていた杖で殴った。頭、胴、手足と全身くまなく殴打し続けた。ローブの人物が通路に蹲って動けなくなるまで殴打する音は止まなかった。


「私の名をお前ごときが呼ぶのをいつ許可した?何を勘違いしているのか知らんがお前の母の病を治す代わりに私の手足となってなんでもするのが条件だったんじゃないのか?最初の契約通り治療は続けているがこの調子では手を引くのも考えねばならんな」


その言葉を聞いたローブの人物はノロノロと緩慢な動きでノーマンの足元に跪くと震える声で懇願した。


「…申し訳…ありませんでした…。なんでもします、今度こそ…失敗しません。ですからお母さんの病気を治して下さい、お願いします…」


「…フン。お前の“今度こそ”は聞き飽きたが私も悪魔ではない。お前の誠意に応えて治療は続けてやる。だがまた失敗するようなら…、分かるな?」


ノーマンの足元で震えながら跪くローブの人物は必死に何度も頷いた。

ノーマンはその様子に軽蔑の視線を投げるとローブの人物を蹴りつけてから暗い通路を消えていった。

ローブの人物は蹴られた腹を押さえ苦しそうに咳き込むと壁伝いに立ち上がった。どこかを切ったようで血が何滴か足元に落ちた。そのまま歩こうとしたが一歩を踏み出す瞬間意識が遠くなり再び倒れた。


「お母さん……」


そこで意識は途絶えた。



***



疲れ果てて帰ってきたシルヴィアは用意してもらった夕食を食べながらザルツにどこかにいい日用品の店は無いか聞いてみた。

寮への引っ越しは3日後に決まったのでそれまでに小物くらいは揃えておきたかったからだった。引っ越しを終えたらすぐに授業に出席するようになるだろうからだ。

ザルツは顎を手で撫でながら思案していたがあまり顔色は良くなかった。


「そうだなぁ、女の子向けなら大通りにいくつか小洒落た店があるが少し高いんだよな」


「学長から少し融通してもらってるけどあんまりお金をかけるのも申し訳ないね」


「そうなると安いが女の子が使うにはちょっと勧めにくい店ばかりになるかなぁ…」


ザルツは「すまねぇな」、と申し訳なさそうに謝ると奥に戻ってしまった。


「…まぁ、今更女の子らしい振る舞いをしようと思った訳じゃないけどね。あんまり学長に頼りきりってことにも出来ないから当分は節約してそのうちどこかで働こうかなぁ」


大抵の生徒は実家や祖国から援助を受けているので派手な使い方をしなければお金に困ったりはしないそうだ。一応、理由が明確でアルバイト先がちゃんとしたところなら申請すればアルバイトはできるらしいがあの過保護なところがある学長が認めてくれるかは果たして微妙だった。

学長は学園を卒業した後もお金は返さなくていいと言っているが自身の心情としてきっちり返したいのでその辺りも理由の一つだった。

シルヴィアは考え事をしながらきれいに解した魚をつまみながら思案していると後ろから肩を叩かれた。振り返ると昼間に学長室で会ったマリアベルが立っていた。


「こんばんは、シルヴィア。メルアからアンタがここに泊まってるって聞いたから来ちゃった。隣、いい?」


突然のマリアベルの訪問に多少面食らったが当然問題はないので席を勧める。


「ありがとね。…おじさーん、なんかお酒と適当におつまみちょうだーい!」


店の奥からザルツの野太い声で返事が帰ってきた。程なくして給仕の女の子が良く冷えたお酒を持ってきた。


「はい、お待たせしました。おつまみはもう少し待って下さいね?」


「ありがと、ミスティ。そうだ、今度この娘の歓迎会したいからお店予約しておきたいんだけどいつなら空いてる?」


ミスティと呼ばれた給仕の女の子は一旦離れてカウンターの帳面を手に取ると再び戻ってきた。


「いつくらいを予定してますか?」


「とりあえず来週あたりで考えてるんだけどどうかしら?」


「えーっとですね、週末はもういっぱいだから週の始めですかね?3日後くらいまでなら空きがありますよ。再来週ならまだ空いてるのでその週ならいつでも大丈夫ですね」


「分かったわ。返事は明日でもいい?」


「大丈夫ですよ」


ミスティはそのまま帳面にメモを取ると戻って行った。


「私の歓迎会なんてわざわざやらなくてもいいのに…」


「歓迎会なんて名目でただ食べて騒いでついでに親睦を深めようってだけだから深く考える必要無いのよ?」


「ついでなんだ…」


マリアベルの堂々としたついで宣言に苦笑するシルヴィアだが盛大に持ち上げられても困るのでその方がいいか、としておく。


「まぁ、どんな内容であれわざわざやってくれるなら嬉しいよ」


「どうせ何人かは来ないだろうけどね?それに半分くらいは私がただ呑みたいだけなんだけど」


喋りながらもいつの間にかシルヴィアのお膳は綺麗に片付いていた。それと同時にマリアベルのおつまみもやって来た。


「お待ちどうさまです。今日は活きの良い魚が入ったみたいなんで揚げ物と余った煮物でーす。

シルヴィアさん、食後はどうします?お茶か甘いものをお持ちしますよ!」


ミスティはシルヴィアのお膳をテキパキと片付けながら訊ねた。

シルヴィアが悩んでいると隣のマリアベルが横から口を出す。


「おばさんの焼いたケーキは美味しいから食べてみな?」


マリアベルの口添えを聞いたシルヴィアはそれなら、とケーキを頼む。ミスティは片付けたお膳を手に持ち、「かしこまりましたー」と奥に引っ込んで行った。


「で、なんかおじさんと話してたけど何か問題でも起こった?」


「違うよ。日用品のお店を探してただけだよ。その相談」


「ふーん…。それなら学園のすぐ近くに生徒にめっちゃ甘い老夫婦がやってるお店があるからそこに行けば?」


「すぐ近くに日用品のお店があったんだ?」


「いんや?お店自体はただの食堂だけどねー」


話ながら相当早いペースで呑んでいるマリアベルは既に顔が赤くなり始めていて語尾も緩んでいる。それよりも気になったのはマリアベルがついでのように付け足した一言だった。


「ちょっと待って?私は日用品のお店を探してるんだけど」


「大丈夫だって。なんか食堂で食べて学園の生徒ですって言っとけばなんでも聞いてくれるからさ」


「食堂兼問屋ってこと…?」


「そーそー、そんな感じだって。なんなら明日誰かと一緒に行ってくれば?どうせギルバートのバカは明日もサボって街の中ウロウロしてるだろうし」


シルヴィアはギルバートへの文句をぶつぶつこぼしているマリアベルを横目にどうしようか、と考える。

確かにどうせ3日後には寮に入るのだから今のうちから親睦を深めるのも悪くはない。明日は一度寮に行く用事もあるからギルバート達に会ったときに相談してみようと決めた。

そこで頼んでいたケーキがちょうど届いた。運んできたミスティがこっそりと、「少し大きめに切ってきましたからね」と言って置いていった。

なるほど確かに美味しそうな見た目である。シルヴィアも簡単なクッキーやパウンドケーキくらいなら作れるがここまで見事なものは作れない。もちろん、味も最高だった。

シルヴィアがケーキに舌鼓を打っている間にマリアベルはあっという間に何杯目か分からないジョッキを空にしてお代わりを頼んでいる。なんとも楽しそうに呑むなぁ、と眺めていると視線に気付いたのかマリアベルが振り向いた。


「んんー?ろうしたのー?」


「随分と楽しそうだなって思ってね」


満面の笑みで呂律の回らないマリアベルに苦笑いで答えるシルヴィア。そんなシルヴィアの微妙な表情など全く気にせずニコニコと笑うマリアベルは楽しそうに語り出す。


「そりゃあ楽しいわよー。だってこんなに可愛くて優しい娘が私の教室にやって来るんだもの。10人足らずの教室でみそっかす扱いだし、普通科の教師連中にはイロモノにはイロモノ教師か、とか言われるしさー。

私が言われるのはいいけどあの子達のことをまるでみんなまとめて不良みたいな扱いなのは許せないのよぅ」


大分酔ってるのかマリアベルの話は脈絡がなく、さっきまで笑っていたと思ったら今は沈んでいる。そろそろお酒を取り上げようかとシルヴィアが思っていると突然テーブルに顔面から激突した。慌てて抱き起こすと静かに寝息を立てている。

ほっ、として優しく座らせ直すと思わず苦笑する。


「こんな私を『可愛くて優しい』か。そんなの面と向かって言ってくれたのはオルロック以来だなぁ」


何か妙な夢でも見ているのか眉間にシワが寄っているマリアベルの頭を優しく撫でながら呟く。

とりあえずこのままにして置けないので厨房の奥のザルツを呼ぶ。


「先生寝ちゃったんだけどどうしよう?」


「いつものことだから気にすんな。弱いのに水みたいにどんどん飲むから毎度潰れるんだよ」


ザルツはやれやれ、と肩を竦めると慣れた動きでマリアベルを抱き上げた。


「今日はこのまま奥で寝させるから気にしなくていいぞ。よっぽどお前さんが生徒になるのが嬉しかったんだろうなぁ」


そのまま奥の休憩室に運んで行ってしまったので残ったケーキをしっかり味わってからシルヴィアは自室へと退去した。

その後は部屋のシャワーを浴びてから明日購入するものをメモにリストアップしてからベッドに入った。

夢など見ない、いつも通りの夜だった。



***



翌朝、朝食と身支度を終えたシルヴィアは早速街へと繰り出した。とりあえず学園に向かい、途中でギルバートに会ったら合流して件の食堂兼問屋?らしき店へ行こうという算段だった。

マリアベルは早朝に起きて学園に戻ったらしくシルヴィアが起きた時には既にいなかった。


「さて、ギルバートはいつもどの辺りをうろついているんだろうな」


時間帯は既に登校時刻を過ぎているので授業をサボって街にいるならそろそろだと思ったのだが。

いなければいないで学園で聞いてもいいし、朝霞やアイシアを誘ってもいいかも知れないので見つかったらラッキーくらいの気持ちで歩き始めた。

…昨日は朝から晩まで大騒ぎだったので今日こそはのんびりと街を見て回りたいと心底思うシルヴィアだった。


「まぁ最初は中央公園かな」


中央公園に向かって歩いたのは今回で2度目だ。1度目は夜だったので改めて明るい時に見ると印象は全く違った。


「夜の景色も良かったけど昼は違った賑わいがあっていいね」


途中の露店から何度も声を掛けられる度に物珍しさから足を止めてつい見てしまうシルヴィアだったがその都度丁重に断って公園に向かう。

公園に着いた頃には断りきれなかったお店で買ったものをいくつか抱えることになっていた。


「お金は大事に使おうって決めたばっかりだったんだけどなぁ…。しょうがないからギルバート達のお土産にしよう」


荷物を抱え直して改めて公園を見渡す。夜に来た時は静かな雰囲気で素敵だと思ったが昼になると打って代わって公園全体が活気に満ち溢れていた。所狭しと露店が軒を連ね、噴水前では楽器を持った何人かが演奏していたり大道芸を披露していたりした。

またも見て回りたい衝動に駆られたが鋼の意志でこれを捩じ伏せ公園全体をギルバートを探して歩いた。

が、


「うーん、見当違いだったかぁ…」


結局ギルバートはどこにもおらず空振りに終わった。


「さすがにこの時間からお風呂には入ってないと思うし、となると街に来てから3日目の私にはもう思い付く場所がほとんど無い…」


実はもう1ヶ所思い付く場所はあったが何かの手違いでもう一度『アレ』とエンカウントは勘弁だったので全力で意識の外に追いやっていた。

ともあれ、当てが外れた以上は学園に行ってみるしかないので進路を学園の方向に変更する。


「まぁ、時間はたっぷりあるしのんびりと行こうかな」


学園へと向かうシルヴィアの手にはいつの間にか屋台のお菓子があった。とても美味しかった。

次にシルヴィアが訪れたのは初日に初めてギルバートと会ったあの酒場だった。騒ぎで壊れた場所はすっかり直っており賑やかな喧騒が店内から漏れていた。


「まぁ居るわけないよね…」


窓から軽く店内を覗いて見たが居るのは早くも出来上がってる酔っぱらいと忙しなく動いてる給仕だけだった。

気を取り直して再び学園を目指して歩き出す。今日は真面目に授業に出ているのだろうと思いこのまま学園に行くことにした。


「結構のんびり歩いて来たから学園に着くのはお昼くらいかな」


等と独り言を呟きつつ歩いているうちに学園が目と鼻の先になってきていた。今日は正面から入るのでカバンから臨時の出入り許可証を取り出す。学長が正式編入までの通行証としてシルヴィアに渡したものだった。

その時、後ろから声を掛けられた。


「ん?もしかしてシルヴィアか?」


掛けられた声に振り向くとそこには両手に荷物を抱えたギルバートともう1人が立っていた。確かガイ…だったか。


「やぁ、ギルバート。今日もサボりかな?」


シルヴィアの返事にギルバートは苦い顔をしたが努めて無視した。


「残念だが違う。先生が急に自習とか言っていなくなったから少し買い物にな」


「そうなんだ。じゃあ市場の方に行けば会えたかも知れないなぁ…」


「オレになんか用でもあったのか?」


「ギルバートが暇だったらちょっとね。でも忙しそうだから別に気にしなくていいよ」


会話に一区切り着いたところでギルバートの傍らでずっと黙っていたガイが口を開いた。


「ギルバート、荷物はオレが持っていくからシルヴィアさんの話を聞いてあげなよ。これくらいなら1人で十分だからさ」


そう言うとガイはギルバートの抱えていた荷物を軽々と抱えるが重そうな素振りは全く無かった。


「それじゃシルヴィアさん、ギルバートは遠慮なく使い倒して構わないから」


「いや、私の用は個人的なものだからわざわざこっちを優先しなくてもいいんだけど…」


「どうせこのまま戻ってもギルバートは勝手にフラフラとどこかに行っちゃうからシルヴィアさんと一緒に居てくれればそっちの方が助かるんだ。だからシルヴィアさんの用事に連れて行って大丈夫だよ。

それに先生が何か言ってきてもシルヴィアさんの用事に付き合ってるって言っておけば文句も言わないから」


ガイはそう言うとギルバートの返事も待たずに荷物を抱えて歩き去って行った。荷物を取られ両手が空っぽになったギルバートはため息を吐いてからシルヴィアに向き直った。


「とりあえずどっかに座ろうぜ?」



***



ギルバートの案内で学園の中庭に移動したシルヴィアは手近なベンチに腰を落ち着けつつ昨日のマリアベルとの会話とその内容について説明した。


「なるほどな。確かにあそこのじいさんのところなら大抵のものは揃えてくれるだろうよ」


「先生を疑ってた訳じゃないけど本当なの?」


「その気持ちはよく分かる。オレも最初は冗談か何かだと思ってたからな。

…まぁいいぜ。一緒に行くよ」


「ありがとう、ギルバートには助けられてばっかりで悪いね」


「気にすんなよ。それよりオレ達のクラスに編入って本当だったんだな」


「まぁね。私もここに来るまではまさか学生をやるとは思いもしなかったよ」


二人が談笑していると大きな鐘の音が聞こえてきた。4回ほど鳴ると鐘の音は止まったが突然だったのでシルヴィアは少し驚いた。


「ああ、ちょっとビックリした。ギルバート、今のは?」


「あれか?授業が終わったっつー合図だよ。さっきのは4回鳴ったから四限が終わったってことだな。

……じゃあちょうどいいから朝霞とアイシアも連れて行くか?」


「もうお昼だからかな?」


「ご名答」


ギルバートはニヤリと笑うと立ち上がり中庭から学園の中へと向かって行った。シルヴィアは音もなく立ち上がるとやはり足音をさせずにその後を着いていった。



***



学園の中は授業が終わったばかりというのとお昼ということから大量の学生でごった返していた。

シルヴィアは行き交う生徒達を器用に避けながらギルバートに着いていく。


「こんなにいっぱいいるんだねぇ」


「まぁ、高等部だけでも何百人って数だからな。それこそ上から下まで全部集めたらとんでもないぜ?」


「みんな普通科?の生徒なの?」


「いや、中等部までは普通科だけなんだけどさ。高等部からは普通科に加えて技術科があるんだよ。数は半々くらいだった気がする」


シルヴィアはなるほどねぇ、と呟きつつぶつかりそうになった女生徒を避ける。そこでふと特別科はどうなのか聞いてみた。


「特別科はそのまんまだよ。上から下まで全部の生徒の中からはみ出し者を集めて一つにまとめたところが特別科だ。

今は7人が高等部で2人が中等部、1人が小等部だな」


「見事にバラバラだね」


「中身は酷いもんだし録なことしない連中が集まってるから周りからは敬遠されてるしな」


言われて見れば周囲にギルバートを指して小声で何か言っているのが分かった。ただ陰口などではなく興味本意といったところか。

等と話している内に人混みをすり抜けた2人は人通りが一気に減った廊下を進む。


「特別科は新設だから専用のフロアがある訳じゃなくてな。人数も少ないしこうして高等部の片隅を間借りしている訳なんだな。元々使ってなかった部分を特別科のフロアにしてるからこんな奥まったところにあるんだよ」


「だからこんな隅っこにあるんだねぇ」


お昼の生徒達の喧騒からどんどん遠ざかっていく。ギルバートと連れ立って校舎の片隅に向かうと『特別科』と銘打たれたプレートが下がる教室にやって来た。


「ここが特別科の教室だ。オレ達と教師くらいしか近寄らないんだけどな、っと。……朝霞とアイシアはいるかー?」


ギルバートが教室の扉を開けて中に呼び掛けたが中にいたのはザックスとガイ、ハンナの3人だけだった。


「なんだ?変な組み合わせだな」


ハンナは何故か罅の入った眼鏡の奥の目を丸くさせて、


「あれぇ~?ギルバート君今日はもう来ないと思ってたよ?」


「オレも今日は来るつもりは無かったんだけどな、ちょっと頼まれ事をされてな」


そこでギルバートの後ろに控えていたシルヴィアが3人の前に出た。


「こんにちは、この間ぶりだね」


「はーい、いらっしゃいませ~」


ハンナの気の抜けた挨拶を受けてギルバートはガックリと肩を落とす。


「なんだよその挨拶は。それより昼メシも食べないで何してんだ?」


「うふふん。それは後でのお楽しみですよん」


「何でもいいけど余計な迷惑はかけないでくれよ?」


ハンナはギルバートの嫌そうな声はまるっきり無視して手元の紙に何かを書き込んでいく。

そこでハンナの書き込む紙を面白そうに見ていたザックスが話しかけてきた。


「それで?ギルバートは何しに来たんだよ。まさかお前が真面目に勉強しようと戻って来た訳じゃないんだろ?」


「大きなお世話だ。ほっとけ」


「そう邪険にすんなよ、ホントのことを言っただけだろうがよ」


ザックスは薄ら笑いを浮かべながら今度はシルヴィアに向き直った。


「ギルバートがこう言うならアンタが理由なんだろ?」


「そうだよ。私のお願いに付き合ってもらおうと思ってね」


「お願い?…あぁ、そういうことだな。よし、口裏は合わせてやるよ」


ザックスは1人で勝手に納得するとギルバートの肩をバシバシと叩く。ギルバートはザックスの手を払い除けると大声で反論する。


「ふざけんな!オレはシルヴィアが買い物行くのに付き合ってくれって言うからついでに朝霞とアイシアを連れていこうと探してただけだっつーの!」


「分かった分かった。そういうことにするんだろ?」


「なんにも分かってねぇー!」


頭を抱えて叫ぶギルバートを見ているのも楽しかったがあまり悠長にしていると昼休みが終わってしまうのでシルヴィアは今まで黙って成り行きを見ていたガイに朝霞たちの行き先を尋ねる。


「それで?2人はどこかな?」


「寮に昼食を食べに戻ってるよ。そろそろ食べ終わってる頃じゃないかな」


シルヴィアはガイにお礼を言うと未だにザックスと騒いでいるギルバートの腕を引いた。


「ほら、いつまでも遊んでないで行こう。早くしないと昼休みが終わっちゃうよ」


そう言うと渋々言い争いを止めて歩き出した。その2人を見送りつつザックスが止めと言わんばかりに声をかける。


「お二人さん、後でどんなだったか教えてくれよ!」


「うるせー、バカ野郎!」


ギルバートの叫びが廊下に響き渡った。



***



ガイの教えてくれた通り朝霞とアイシアは寮のテラスで食後のお茶を楽しんでいた。シェフィールドの給仕で昼食をとっていたらしい。シルヴィアの知らない女生徒が2人いた。

近付いてくるギルバートに気付いたアイシアが小さく手を振る。


「ギルバートおかえり。このまま夜まで帰って来ないと思ってた」


「さっきも同じこと言われたばかりだよ」


ギルバートは苦笑しながらテーブルに近付いて朝霞にシルヴィアが用件があることと一緒に付き合って欲しいことを伝える。

朝霞は時計で昼休みの残り時間を確認してから笑顔で了承した。

ギルバートが朝霞と話をしている間にシルヴィアは初対面の2人に挨拶をした。


「はじめまして、シルヴィア・ラストソードだよ。今度からクラスメートになるからよろしくね?」


シルヴィアの挨拶に椅子に座っていた女生徒、ミランダが立ち上がり挨拶する。


「はじめまして、ミランダ・ローゼンハワードよ。こっちの後ろに控えているのがナーシャ・イグナイトでシェフィはもう知ってるのよね?」


シルヴィアはミランダと握手をしてその後ろのナーシャに目を向けるがナーシャはさりげなく立ち位置を変え目も合わせようとしないが小さな声で一言喋った。


「ナーシャ・イグナイトです…。よろしくお願いします」


「うん、よろしく」


朝霞はシルヴィア達の自己紹介と顔合わせが終わったのを見計らって声をかけた。


「それじゃあシルヴィアさん、早速お店に行きましょうか。午後の授業があるので時間が厳しくなったら案内だけになってしまいますけど大丈夫ですか?」


「もちろん。お店の場所さえ教えてくれれば後は自分でなんとかするよ」


「分かりました。何か分からないことがあったら遠慮なく言って下さい。

それじゃミランダ、先に失礼するわね」


そう言うと朝霞は立ち上がり軽く用意すると言って二階へと上がって行った。アイシアは特に用意する気が無いのかシルヴィアの手を弄っていた。

シルヴィア達も先に玄関に行っていようということになりテラスを離れることにした。


「じゃあまた今度」


「ええ、貴女とはゆっくりお話してみたいですもの。落ち着いたらお茶会に招待しますわ」


ミランダのお誘いに笑顔で手を振っておいたシルヴィアだった。



***



3人で寮の玄関に到着したシルヴィアはついさっきのやり取りに思わず苦笑する。


「お茶会かぁ…、昔に誘われたこともあったっけなぁ」


先ほどの別れ際のお誘いを思い出すと昔のことも釣られて思い出してしまう。

そんな呟きをギルバートが拾う。


「昔?」


「そう、古い友人にね。その時は友人だなんて思ってなかったから断っちゃったけど1回くらいは行っておけばよかったよ」


「なんだそりゃ?古いって言ったってそんなに昔じゃないんだろうから今度はこっちから誘えばいいじゃねぇか」


シルヴィアの妙な言い回しに違和感を感じつつギルバートがそう言うがシルヴィアは困ったように笑うだけだった。


「そう簡単には会えなくなっちゃってね。以前は別に気にしなかったけど最近はこういう思いをするようになってきちゃったんだよね」


「……なんかシルヴィアって妙に年寄りくさいよな」


シルヴィアはギルバートの思わずといった感じで零れた失礼な呟きに怒るでもなく声をあげて笑った。


「ははは、確かに年寄りくさいね。自分でもそう思うよ。けどねギルバート、これでも見た目は若い女の子なんだから言葉は選ばないとまた朝霞に蹴られるよ?」


「…そりゃ勘弁だな。悪かった」


「ギルバートはもう少し女の子の気持ちを考えた方がいいと思うよ」


シルヴィアが苦笑すると今まで黙っていたアイシアが手を引っ張った。


「ギルバートはいつも私を子供扱いする。昨日は私とメリィを雑草扱いした」


「え…?ギルバート、それはひどいよ…?」


アイシアの言葉に絶句するシルヴィア。その様子にギルバートは慌てて弁解する。


「違う!いや、違わないんだけどそこだけ切り取るとヤバい!」


「でも昨日はせっかくザックスが花って言ってくれたのに雑草みたいなものって言った」


「くっ…、確かにそうだけど話の流れってのがあるだろ!?」


「話の流れ?最初から説明してくれるかな?」


詳しい説明を求めるシルヴィアはいつも通りのにこやかな顔だが妙なオーラが漂っていてギルバートは思わず後退りした。


「…落ち着け。ちゃんと説明するから。まずは冷静になってだな…」


ギルバートが冷や汗を流しながら説明しようとした時、ちょうど朝霞が玄関にやって来た。


「ごめんなさい、お待たせしました!早く行きましょう。…って何してるの?アンタは」


変な態勢のギルバートに可哀想なものを見る目で朝霞が問いかける。ギルバートは説明しようとするがアイシアが再び端的に発言してしまった。


「ギルバートが私とメリィのことを雑草って言った」


「あっ、バカ!」


「どういうこと?」


アイシアの口を塞ごうと手を伸ばそうとするが時すでに遅し。嫌になるほど聞き慣れた朝霞の怒りを必死に抑え込んだ声にギルバートはもう諦めた。


「…分かった。とりあえず行きながら説明する」


ギルバートの諦めを合図に朝霞の綺麗な蹴りが決まった。尻が更に割れたかと本気で思ったのは墓場まで持っていこうと決意した。



***



寮の玄関から場所は移動していた。学園から出て目的地の食堂兼雑貨屋に移動中だった。

ギルバートは若干おかしな歩き方になったが道中、昨日の朝の出来事を説明していた。


「……という訳だよ。ザックスのアホが変な茶々を入れるから口が滑ったんだよ」


「だとしてもギルバートが悪いよ」


シルヴィアはいきさつを聞いた上でそう判断した。朝霞もギルバートをバカを見る目で見ている。


「そこは適当に流せば良かったんだよ。ザックスだって軽い気持ちで茶々を入れただけなんだから」


「そうよ、バカ。アンタはもう少し考えてから喋りなさい」


ギルバートは2人から責められさすがに落ち込んだ。ギルバート自身も己の短慮はうんざりしているのだからもう少し考えるべきだったのは当然だと思った。


「あぁ、オレはバカだよな…。アイシア、悪かった」


「もう仕返ししたから怒ってない」


「後でメリィにも謝りなさいよね」


ギルバートは朝霞の言葉に殊勝に頷いておく。そんな様子を見て1つ頷いてシルヴィアは場を仕切り直す。


「さて、これ以上責めてもしょうがないからこの件はこれでおしまいにしよう。

朝霞、そのお店はまだ遠い?」


「もう少しです。そこの路地を曲がってすぐです」


4人が路地を曲がると人集りができていた。朝霞は眉をひそめると人集りの中の1人に話を聞いた。


「すみません、何かあったんですか?」


「ん?オレもよくは知らないんだがどうにも物取りらしいぞ」


「物取り?」


「ああ。そこの魔法薬の材料屋がやられたみたいだ。高い材料を大量に持ってかれたらしい」


人集りの隙間から見える魔法薬の店は惨憺たる状況だった。棚から材料が乱暴に落とされ足の踏み場も無いほど荒らされていた。更に店奥の材料庫も無理矢理抉じ開けられたようで扉は半分くらい破壊されていた。


「ひどい……。一体誰がこんなこと……」


朝霞があまりの状況に絶句する。そんな朝霞の制服の袖をアイシアは引っ張って言った。


「朝霞、お姉さんにお店の案内しなきゃ。時間なくなっちゃう」


「そうだな、オレ達が居たって何もできないからな。さっさと離れて最初の用事から片付けようぜ」


ギルバートもアイシアに同意して朝霞を急かした。朝霞も思い直したようでその場から離れる。

そんな中シルヴィアは1人、破壊された材料庫の奥を見ていた。薄暗い室内に置かれていたであろう材料はそのほとんどが床に落ちていたがいくつかは外から見れる位置に落ちていた。

僅かに目線の険しいシルヴィアをアイシアは誰にも気付かれずにただ無言でじっと見ていた。



***



盗難にあった魔法薬の店から離れて4人はやっと目的地にたどり着いた。見た目はボロく、建物自体もさほど大きくない。だが不思議と繁盛しているようで客足が途絶える様子はなかった。

シルヴィア達は他の客の間を縫ってカウンター席まで行くとそれに気付いたエプロンをした老婆に話しかけた。


「こんにちは、少しいいかな?」


「いらっしゃい、何にする?」


「おばあちゃん、今日は挨拶に来たの。こちらこの前学園都市に来たシルヴィアさん。色々お願いしたいことがあるんだって」


朝霞が店の老婆に話しかけるが老婆はニコニコと笑うだけで返答はしない。その様子にギルバートはため息を吐くと横から老婆に注文を言う。


「ばあちゃん、日替わりを1つ。お前らもなんか頼めよ」


「私、ホットケーキ」


「じゃあサンドイッチをお願い。持ち帰るので包んでね」


シルヴィアはギルバート達が注文をしたのを聞いてマリアベルの言葉を思い出した。確か、何か注文したら雑貨などを仕入れてくれるのだったか。

それならばとシルヴィアも昼食を兼ねて注文する。


「私も日替わりで」


「あいよ」


今度はしっかりと返事をして厨房に消えて行った。


「なかなか商売上手な人だね」


シルヴィアがそう評価するとギルバートは苦笑しながら老婆が消えた方向を見やる。


「何か1つでも頼まないと誰が何を話しかけても返事の1つしないんだよ」


「ちなみに厨房のおじいちゃんもそうなんです」


「手強い夫婦だねぇ」


シルヴィアがしみじみ言う隣にいるアイシアは先ほどからずっと黙って難しい顔をしているのに朝霞が気付いた。


「さっきからどうしたの?」


「さっきのお店に変な魔力が残ってた。普通の魔力じゃなくて……、なんだろう?濁ってる?」


「「濁ってる???」」


朝霞とギルバートが揃って首を傾げているのをシルヴィアは面白そうに笑った。


「濁ってる、とは面白い表現だね。アイシアはとても強い感知能力があるんだねぇ。

まぁそれはさておいて、あれは人工的に強化された時に出る魔力だよ。強化の方法はいくつかあるけどあの店を襲ったヤツは魔法薬による強化を受けたんだろうね」


「強化ってそんな簡単にできるもんじゃないだろ?それにやればみんな強くなれるのか?」


「誰にでもできることじゃないよ。専門的な知識は当然だし設備もある程度のレベルのが複数揃ってないと無理だね。それに受けた人が全員強化される訳でもないしね。10人受けて1人成功したらかなりいい方だと思うよ。今はどうだか知らないけど」


シルヴィアの説明に朝霞は恐る恐るといった具合に質問してくる。


「それってあんまり良くないですよね……?」


「まぁそうだね。一度受けたら定期的に受けないと身体が持たないみたいだし、全身が常に熱を帯びたようになって痛みもあるって聞いたことがあるよ」


「じゃあお店を襲った人も…」


「似たような状態になってると思うよ」


シルヴィアはうんざりといった感じで首を横に振った。まるで実際に目の当たりにしたかのような仕草にギルバートは疑問を持った。


「やけに詳しいな。まるで本当に見たことがあるみたいだぜ?」


「その通りだよ?詳しい話は知り合いからの又聞きだけど昔は強化兵なんてのはどの国でも作ってたからね」


「…さっきもそうだが微妙にオレ達とシルヴィアの話にズレがあるような気がするんだが。昔っていつのことだ?オレ達と同世代なら多く見積もっても10年くらい前のことか?」


「ちょっとギルバート!シルヴィアさんに失礼でしょ」


「強化兵なんてオレは見たことも聞いたこともない。朝霞達もそうだろ?だったらなんでそんなもん知ってるんだ?」


朝霞がギルバートを抑えようとするがそれを無視して更に続ける。シルヴィアはそのやり取りも含めて無言で見ている。アイシアはシルヴィアを見ているだけで喋る気配もない。


「シルヴィアの過去を根掘り葉掘り知りたい訳じゃねぇ。だけどどういういきさつでそんなこと知った?」


ギルバートはいつの間にか鋭くなった目を今更自覚した。ギルバートの問いかけをシルヴィアは感情のない目をしながら黙ってきいていた。朝霞がそんな2人を交互に見ながらどうすることもできずに戸惑っているとタイミングがいいのか悪いのか、注文した食事が目の前に置かれた。


「はいよ、お待ち。お願いは後で聞くから冷めないうちに食べな」


目の前に置かれた食事で直前までの雰囲気が壊されたギルバートはため息を吐いてからフォークを手にして食べ始めた。アイシアは我関せずとさっさと食べている。

シルヴィアもフォークを手に持つと一口食べてから言った。


「その辺りの細かい事情はもう少し落ち着いてから話すよ。あんまり誰彼構わず聞かれてもいいことじゃないからね」


それきり誰も喋らずただ黙々と食事を進めるだけだった。

食事が終わった後で老婆に最低限の日用品を頼むと足早に店を出る。朝霞は学園の時計塔を見てもう戻らないと午後の授業に遅れると思った。


「シルヴィアさん、そろそろ学園に戻らないと……」


「じゃあ今日はここまでだね。忙しいのに急に悪かったね」


「いえ、そんなことはないですけど…」


朝霞はそこで少し気まずそうに視線を横に向ける。ギルバートは不機嫌そうに腕組みをして目線を合わせないようにしていた。シルヴィアは困ったように苦笑するとギルバートに話しかけた。


「ギルバート、私の事情は機会があればちゃんと説明するよ。ただ、初めて会ったときに少し触れたけど気軽に教えられるような簡単な話じゃないんだ。説明するのは簡単なんだけど危険も一緒に着いてくるからどうしても不十分になっちゃうんだよね」


「……シルヴィアの事情は分かった。秘密を探るような真似して悪かったよ。でもよ、これから一緒のクラスになる訳だし寮も一緒だ。全部教えろ、とは言わねぇから可能な限りで話してくれよ。そうしたらもしものときは力になれるかも知れないだろ?」


「うん、私の事情は教えられる範囲を学長と相談してからちゃんと話すよ。もちろん、みんなに危険が無い範囲でね」


「…学長とってことは学長はシルヴィアの事情を知ってるんだな?」


「そうだよ?なんなら先生も知ってるけどね。…素直に話すとは思わないけど」


「だろうな」


ギルバートはいつの間にか不機嫌さが無くなり諦めたように笑った。朝霞はそんな様子に胸を撫で下ろしながら安心した。

しかし、安心した瞬間に時計塔の鐘が大きく鳴り響いたのを聞いて一気に表情が青ざめた。


「午後の授業が!!アイシア、ギルバート急がないと遅刻しちゃう!」


「あ?そんなもん今更急いだって手遅れだろ。どうせ遅れるならのんびり行こうぜ」


「今日はサボる?」


ギルバートとアイシアの言葉に朝霞は爆発した。


「バカなこと言ってないで行くわよ!アイシアも急いで!…シルヴィアさんここで失礼します。また後日に」


朝霞は挨拶もそこそこに逃げようとしたギルバートの首根っこを掴んで反対の手にアイシアの手を取ると2人を連れてあっという間に去って行った。

シルヴィアは走り去った3人に手を振って見送った。


「元気だなぁ、あれが若さなんだねぇ。……さて、これで一先ず私の用事は終わった訳だけど」


シルヴィアは一旦そこで言葉を区切る。


「私の事情をどう説明するのがいいんだろうな。私は全部教えても構わないんだけど、知ったことが他に漏れた場合が怖いんだよねぇ。それにあの連中のこともあるし」


宿への道を辿りながら考えるが昔から小難しいことは考えるのが面倒でいつも途中で放り投げていたのが災いして録に纏まらない。結局、宿にたどり着いたときに出た答えは学長に全て丸投げするという解決ではない解決法だった。

最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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