誰一人として 棺→いちご→モブ→いりまめ
棺→いちご→モブ→いりまめの救えない話
モブ誰だよ
片想いとかこいつらでやるしかないよね とりま悲しいend
君が好きだ。
その性格が、その笑顔が、その態度が。
__俺、棺は、いちごのことが好きだ。
でも、彼女には好きな人がいるらしい。
初めて相談を持ち掛けられたときは本当にショックだった。
ただただ、悲しかった。
いちごは、俺の友人のことが好きらしい。
こんなことになるなら紹介しなければよかった、と何度後悔しただろうか。
.....そんなことを今更考えたって遅いだなんて、重々承知の上だ。
それに、...彼女に相談されたときに言っていないことがあった。
その友人はいりまめのことが好きなんだ、ということ。
頬を赤らめながら話すいちごを前にして、そんな酷いことを言えるわけがなかった。
今思えば言わないほうが酷い行為だったのかもしれない。
__嗚呼、後悔ばっかりじゃないか。
つくづく自分が嫌になってきた。
いちごが振り向いてくれないのも当然なのかな。そんな考えが頭を過った。
__自分を愛せない人間に、愛される価値はない。
何処かでそんな言葉を聞いた気がする。
本当にそうなのだろうか。涙が出そうだ。
「__棺?」
突然背後から聞こえた声に、俺の意識は引き戻された。
ゆっくり振り向くと、心配そうな顔をしたいりまめの姿。
「顔色悪いけど大丈夫...?熱はかる?」
風邪かなにかだと思っているのだろう。
気遣いはありがたいが、今はあまり顔を見られたくなかった。
「大丈夫だよ、昨日寝るの遅くてさ、ははは」
少しわざとらしすぎただろうか、いりまめの表情が若干曇った気がした。
「_棺、無理してない?」
図星だった。
聞こえなかったふりをして歩きだそうとする。
「待ってよ!!!」
珍しい大声に驚いて振り向くと、泣きそうな表情をした彼女がいた。
「何で隠すの?!私だって話くらいきけるよ、それに、___
私、棺のことが好きなの。好きな人が悲しんでるところなんて見たくないの。
だから、お願い_____」
そういって泣き出すいりまめを前にして、俺は言葉が出なかった。
いりまめが俺のことを、好き?
俺はいちごが好きで、
いちごは俺の友人が好きで、
俺の友人はいりまめが好きで、
いりまめは俺が好きで。
そんなの、誰も報われないじゃないか。
泣きじゃくる彼女に声を掛けることもできずに、
俺は、ただ茫然と立ち尽くすことしかできなかった。