7話 出来損ないのお嬢様 01
もうすぐブレイド・フェスタが始まる。僕らのクラスではその話題で持ちきりだ。
「なぁハイル、お前また特訓してくるのか?」
「何かあったの?」
「いや、一緒にナンパしようと思ってさ~」
「1人で行けよ…」
こんな大事な時期にナンパしようって…僕は別に興味ないのに…
第6訓練場で僕は訓練するのが好きだ。みんなは第1訓練場に行くので、こういう空いた穴場ができる。それを広々と使えるのは良いが、人がなかなか来なくて試合も出来ない。
たまにラークに頼んでいるけど。
「あれ?先客がいるな…」
いつも人が来ないのに珍しく人がいた。
「あっ、ちょっと待って!!」
呼び止められた。
「どうしました?」
「君、ハイル君かな?」
「そうですけど…」
「良かったら試合しない?」
「あ、良いですよ」
今日も1人訓練のつもりだったから、喜んで承諾した。
「あ、私はレイカ・ヴァルキュリアって言うよ~」
ヴァルキュリアって…あの強力なブレイダーを多く出してきた名家か!?
「じゃあ、仮想体力ゲージが先に0になった方の負けだよ~」
「あ、分かりました」
「現れろ、封印されし高貴なる剣、『封印剣 正宗』!!」
武装展開して準備する。
彼女はいったいどんな武器を使うのか…
「おいで、光龍の再来、吹き荒れる嵐、『光明のシャングリラ』。」
大剣が現れる。見た目だけで分かる圧倒的な威圧感、龍の翼を模した巨大な刀身、
今まで戦った相手の誰よりも強いブレイダーなのはすぐに感じた。
「それじゃあいくよ~」
相手の姿が視界から消える、振り向けばすでに剣を降り下ろそうとしている。
咄嗟にガードするが、全てガード出来ず、吹き飛ばされていた。
仮想体力ゲージは?
半分近く減っていた。
負けじと反撃に出るが、全て受け流す彼女の剣術に圧倒されていた。
「ハイル君、まだまだ行けるでしょ~」
今の僕に勝算はない。負けても良い、一太刀でも与えられたら、今は充分だった。
硬いガードを崩せず、一方的にやられていた。
彼女はカウンターを決めるのが相当上手い、彼女の仮想体力ゲージは削れずに、時間だけが過ぎていく。
また視界から消える、僕は身構える、けどその剣は僕に向かって来なかった。
黒装束のブレイダーが十数人、何人かは倒れていた。
「ちょっと先輩、誰なんですか!?」
「私を捨てたヴァルキュリア家が私の武器だけ狙って良く来るから、人の来ない場所にしたんだけどね…」
先輩を捨てた?どういう事だ?何故武器だけを狙っているんだ?
「私、こんな性格でしょ…ヴァルキュリア家に相応しくないって言われて道端に捨てられていた所を理事長に保護してもらったんだ」
「…私の武器を見て、ヴァルキュリア家の武器を返せって言われて…ずっと狙われて…」
「先輩にそんな過去が…」
「…分かりました、僕が先輩の事を守りますから、今度剣術を教えて下さいよ!!」
正宗を構える、僕1人で倒せるか分からない、でも先輩の助けになれば良い、
僕が先輩の運命を変えたい、ずっと笑っている先輩にしたい。
そんな事を考えながら、僕は戦いに挑んだ。
後編があるよ~