6話 僕って一体…
僕は思う。
「なんか皆、文化祭ムード出してるけど、ブレイド・フェスタの事忘れてるんじゃないかな?」
「ヤベぇ、俺彼女作ることしか考えてねぇ…」
ラークは彼女に飢えている。あの時、急いで離れて良かったと思える。
「そう言えば、アリサさんは何処にいるんだ?」
「ハイルが一番知っているはずだろ…」
「そう言えば僕、あの時からずっと会ってないな…」
『ハイル君、理事長室に来てください。』
「ハイル、なんか呼び出しされてるぞ」
「ちょっと行ってくるよ…」
僕はものすごい不安を感じた。前回呼び出された理由はほとんど、「理事長の暇潰し」だ…
また、アリサさんもいるかもしれない。少しの期待と大きな不安を抱え、理事長室に向かった。
「ハイル君久しぶりだねぇ♪」
「また暇潰しですか?」
「ちょっと頼み事があってね」
部屋を見渡すがアリサさんはいなかった。
「君、女子の格好が似合うって聞いたんだけど、本当かな?」
これは間違いなく暇潰しルートだ…理事長はきっと僕で遊ぶつもりだろう。
「これ着てみてよ~」
渡されたのはこの学校の女子の制服だ。
「この学校の女子生徒に手を出す変態野郎が出たらしいの。
ハイル君にはその格好で変態を捕まえて欲しいんだけど…」
これはまともな頼み事と取って良いのか?
でも、ルーシィの時とはぜんぜん違う、真っ直ぐな目だ。本当に何かあるはずだ。
「分かりました、僕が引き受けます。」
「その変態は日が沈む頃に表れるらしいから覚えておいてね」
また女子の格好をするのは、恥ずかしかった。
自分の部屋で一応、サイズ確認のために着ていると、ラークがいきなり入ってきた。
「なぁハイル、今日の宿題…ってうわぁ!!」
「ゴメン…絶対喋らないから…」
「待てラーク!!おい、待て!!」
詳しく事情を話すと理解したのか、
「騒いで悪かったよ…てかハイルって女子の格好似合いすぎ…」
「誉められているのか、馬鹿にされてるのか分からないよ…」
頼まれた仕事の時間が近づく。
「着替えないといけないから…一回出て貰えるか?」
「あぁ、ハイルも仕事頑張れよ。また明日な~」
ラークが帰った。僕は素早い動作で着ていく。女物の服の着方に慣れているのが怖い…
「よし…一回理事長室来てって言われてたな」
向かう途中、あの娘可愛いけど誰? などと聞こえたが気にしなかった。
「失礼します…」
「おっ、似合ってるじゃん♪」
「凄く恥ずかしい上にこれで変態と戦うんですか…」
「気にするな少年よ♪」
「犯人は噴水広場近辺によく出るらしいよ。頑張りたまえ♪」
噴水広場に着いた、少しベンチで休む。
「はぁ…変態って前のカメラみたいなやつかな?」
しばらくすると1人の男が近づいてくる。警察官の格好をしていた。
「そろそろ帰らないと危ないよ。」
「あっ、用事があるので…」
「近頃、不審者が多いからね~例えば警察官の格好をしてる私とか!!」
突風、こいつはスカートめくりをするつもりだ。
あわてて回避、武装展開する。
「あれ?君もブレイダーか、ならどんなことしたって良いよねェ!!」
変態も武装展開する。ムチの様な形状の武器だ。
ムチが飛んでくる、正宗でガードする。おそらく、あのムチを使って犯行に及んだのだろう。
「貴方を捕まえて本物の警察官につき出してあげますよ!!」
僕は、指を鳴らす。たちまち僕の周りに氷の弾が出来た。
「戦闘魔法、氷結弾!!」
足に命中させると、変態の足元が氷で固められる。これでもう逃げられない、僕は叫ぶ。
「誰でも良いから警察を読んで下さい!!早く!!」
5分後に警察官が来て、変態は無事に逮捕された。
後日発行された新聞の見出しに、
『少女お手柄、変態逮捕』と、書いてあった。
僕の女装してる時の写真が載っていたから、嬉しいのと、恥ずかしいが混ざりあった複雑な感じになった。