4話 迫る恋の季節(仮)
デート当日、僕はルーシィと街を歩いていた。
「どう、ハイル君?可愛い?」
「うん、可愛いよ…」
(荷物持ちにされてるよ僕…)
どうやらデートとは荷物持ちのことだった…
「ハイル君は何も買わないの?」
「だってここ女物の服しか置いてないよ!!僕みたいな男が入る隙間なんて一つもないよ!!」
「私はハイル君に似合うと思うけど…」
実はデート前日、僕は彼女の部屋に連れて行かれて、女物の服を着せられて女装させられていて、その時似合いすぎたことから彼女によく追い回されるようになっていた…
「なんで結局着ることに…しかもご丁寧にウィッグまで…」
「着たけど…僕の服は?」
「古着屋に売って来ちゃった♪」
「じゃあ僕の服は?」
「今着てるじゃない、代金は私が持つから♪」
(これはバレたら死ぬやつだ…)
「仕方ない…今日1日僕はこの服を着てれば良いんだね…」
「女言葉使わなきゃバレちゃうよ、ハイルちゃん♪」
「分かったよ…」
本当に死ぬかと思ったけど無事にレストランまでたどり着いた。
「私はこのランチで。ハイルちゃんは?」
「ぼ…私も同じランチで。」
いつもならステーキに食い付きたいけど…女子らしくしないと何処でボロが出るか分からない。僕はルーシィに合わせておいた…
「次は他の服屋に行きましょ、ハイルちゃん♪」
「また服ってことは…まだ着せられる!?」
地獄のデートが終わり、僕が着た服やウィッグは僕の部屋に置いてある。またいつか着ることになる。そんな不安も忘れ、泥の様に寝た。
「なぁハイル、俺好きな娘が出来た!!」
「ラークか。どんな娘?」
「茶色い髪をポニーテールにしてる娘でレストランでちょっと戸惑ってる感じが可愛かったなぁ…」
「あ、それって…!?」
「どうしたハイル?知ってるのか?」
「べ…別に…」
(明らかに僕だよ…てかあのレストランにラークがいたのかよ…)
「そういえばあの娘、ルーシィと一緒にいたし聞いて見るか…」
そう言ってラークは行った。口止めはしたが、ルーシィが聞いてくれるとは限らない、不安が大きくならないことを願う。
「ハイル君、ちょっと良いかな?」
「まさか、ルーシィ聞いたの?」
「うん…今度の休みに会えるって言ったら行くって。」
「何勝手に約束してるの…僕が良いとは言って無いけど!!」
「でももう約束したから無理かも♪」
「嘘だと言ってくれ…」
不安が現実になり、更なる不安がやって来る。
僕は諦めてデートに行った…