魔道書は何でもお見通し
魔導書のグリアと契約してから2年がたった。
その頃になると俺は歩けるようになって自分の名前にもなれてきたウォレス・マイスターツが今の俺の名前だ。といっても、俺はまだ赤ん坊から少し成長した程度の幼児だ。
下手に動いてもむしろ危ないだろ。
それよりも今のうちにこの世界の歴史や地理を覚えてしまおう。
ふむ、ここはこうなっているのかなるほど。
『若様、よろしいでしょうか?』とメイドの一人がいってくる。
「ああ、いいよ」と本を読みつつ答える。
メイドが部屋に入ってくる。
『若様、今日も勉強ですか?』
「うん、そうだよセア」セアは若いはずなのにとってもメイドとして優秀だ。
セアは可愛い部類に入る方だろう鮮やかな水色のロングヘアーと透き通ったような水色の瞳は美少女の部類だろう。胸の方は平均より若干大きいと思われる(あくまでも視覚情報のみだが)。身長はその年齢の平均位だ。9歳の頃からここで働いてくれている。
今年で12歳だったはず。
ちなみにこの世界では10歳位からなら子供はバイト感覚で働いている成人は15歳頃らしい。
セアは仕事はしっかりこなせて気も使えるのだがただたまにやらかすことがある程度だがある。
そんなセアの両親も家で働いてくれている。
一家そろって実に優秀だ。
セアは飲み物をトレイにのせながら机の近くによってくる。
机の上に飲み物をおいてセアは俺の部屋の片付けを始める。
時々、聞こえてくる「あ!」や「きゃっ!」などの可愛らしい悲鳴と大きな物音はセアが頑張っている証拠だろう。
俺は勉強の続きを始める。この世界に暮らすのは3つの種族がいる。厳密にはもっといるようだが…
まず人族、魔族、獣人族、の3つだ。
今は比較的平和だそうで人族と魔族では通信使など送りあったりと仲がいいようだ。
獣人族は昔ほとんどが奴隷になったりといろいろあったのでほとんど隠れ住んでいる。
◆◆◆◆◆◆◆◆
あれから時間が立ち日も暮れてきて食事も済ませたあとは寝るだけというころ。
そう言えば家はどのくらいの規模の家なのだろうか?気になって調べたら辺境伯爵だった。
ちなみに辺境伯爵とは上級貴族で地球武士に例えると譜代大名と考えられる。
つまり結構地位は良いと言うことだ。
しかし、だからと言って我が儘なように過ごしていると良いことは起きないと考えている。
ちなみに、と言うか俺の体験談だ。
そう、常に優しく思いやりのある人間であろうと決めたのだから。
と言っても、人助けのためにと考えまずは人に優しくするようにした方がいいとはずいぶんと簡単そうに思えるな。
(我が主よそう簡単にうまくはいかぬものよ人とはな…)とグリアが突然俺の思考を読んでいるかのごとく言う。
(それはもちろん。主の考えてることなどわかるわ、なぜならこうして我らが声に出さず話せているのが何よりの証拠よ…)
へーそうなんだ…ってえーーー!
マジかよ、ってことはあのときのことやあのときのことも………
(うむ、手に取るようにわかるぞ)
…………………………。
俺は、この時ひとつだけ後悔した。
(いや、主よ魔導書をその体から離せばこれはできないし主の思考も読めぬ)
そうか、ならまだ救いようがあるなよかった。
そうしてその日の俺は眠りに着いた。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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