はじめまして王都
ティルの護衛としての修行がどうにか終わり爺からの最低限ではあるが護衛として同行しても問題ないと許可が下りて一週間。俺は編入手続きが終わり今日,共に入学するラタク、護衛のティル、専属メイドのセアと共に学園のある王都に向かう。
入学試験とかないの?と思ったがどうやら入学は誰でもできるらしく身分も問われないらしい。
しかし、その反面定期的に行われる試験で一定以上の得点を出さなければ即退学らしい。クラスがいくつかあり、貴族クラス、一般クラス、特殊クラスといった3つのクラスがある。
貴族クラスとは、まあ、言葉通りで貴族の子息などが通うクラスで家柄などの問題もあり、下からD,C,B,Aと4つのクラスがある。
Aクラスは主に、王族や公爵、侯爵、伯爵が通い、Bクラスは子爵、男爵が中心になる。Cクラスは騎士爵などの下級貴族がほとんどとなる。最後のDクラスこれは、Aクラスのお付きの者たちで学習を望むものが通う。
という説明をセアから王都へ向かう間延々と聞かされるのであった。因みにというか学園に行くものたちのなかで彼女が一番年上でお父様からみんなを頼むと言われて、まんざらでもない顔をしていたのを俺は見ていた。何故かその時、無性にイラついたが今でも理由がわからない。
伯爵家らしくちょっと豪勢な馬車の中でセアの説明を聞いていてふと、疑問が湧いたので学園の歴史の説明をしていたセアに問いかけた。
「セア一つ質問したいのだが…いいか」
「あ、はい若様なんでしょうか」
「その特殊クラスとはなんなのだ、一般と貴族は分かったのだがそこは、説明も聞いていないぞ」
たまに揺れる馬車に沈黙が走る。セアは静かにしかし丁寧に説明を始めた。
「………特殊クラスとは王国が行っている、とある計画によって現れた子供達が通うクラスです…。大体は卒業後王国に仕えて一生を過ごします。子供達のほとんどが能力を持っているため特殊クラスが出来たそうです。」
魔導書の小さなアクセサリーになって今まで寝ていたグリアが補足をする。途中余計な事も雑じっていたが要約すると、数十年前位から王国が始めたとある計画で召喚された子供達がいてそれを管理する為に、特別に魔導学園にクラスを造ったのが起源らしい。
全員特徴があり、黒髪黒目でそこらへんの貴族と変わらない位の頭がよく読み書きなどができる。
あと、初めて知ったことなのだがこの世界には勇者がたびたび現れるそうで前回は複数現れたそうだ。
勇者は大きな戦や異変が起きるときに現れるらしく最近では14年程前に大反乱事件があったらしい。
その時の勇者はその後行方をくらましたらしく今は勇者はいないらしい。
グリアとセアの説明を聞いて俺は、驚きでしばらく思考が止まっていた。こっちに来ていたのは、俺だけではなかったのか……。転生と召喚違いはあれども俺たちの世界から来た者がいると言う事は…………、黒髪美少女がいるかもしれないということだ。
こっちには黒髪黒目という日本人はまだ少ない方だから珍しいのだ。
とかいうのは、冗談で俺は確証の無い不安に襲われていた。
何が、と言われても俺には分からなかった、ただ何とも言えない恐れを俺は感じていた。
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長い長い馬車も終わり俺たちは、王都についた。
馬車の中から外を覗いていたラタクは、生まれて初めて見る王都に興奮気味に言ってきた。
「若様、若様!!すごいですよ、マイスターツ領もすごいですがそれ以上です!」
ラタクは普段は落ち着いた雰囲気だがさすがに王都はラタクを興奮させるだけすごいようだ。全く困ったものだ。
しかし、王都はマイスターツ領以上の発展を遂げていた。王都のほぼ中心に王城がありその周りに貴族街があり、その下は各区ごとに分けられており商業区、工業区、などなど円形状に出来ている。
学園に行くのは明日だから今日は、観光と行こうか。
「みんな、今日は王都で各々観光と言う事にしようと思うがどうだろう」
『了解しました若様』
『よいのですか?』
『わかったよ』
『…………』
上から、セア、ラタク、ティル、グリアである。
「じゃあ夜になったら宿に集まるように、解散!!」
今回は少し短いですがご容赦を。
次回もこのくらいまでには更新するので次回の後書きでお会いいたしましょう。