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その2-1 この人達、怖すぎるのですが

 *******************************


 とんでもないものを召喚してしまった、と少女は思った。

 細身の剣を扱う黒髪長髪の男子と、アクロバティックなふんわり二つ結いナイフ女子。

 一つ目の化物たち……サイクロプスをあぁも軽々と倒して……殺戮してしまうとは、とんでもないポテンシャルだ。

 というか、なんだろう最後のキメ台詞は。

 ものすごく怖い。

 ……しかし、少女は確信する。

 今回は当たりだ、と。

 今までに何回も召喚魔法は使ったが、今回のは間違いなく成功だ。

 ……ともかく、今は彼らにお礼を言うべきだろう。

 右も左も分からないこの状況で助けてくれたのだから。

 力だけでなく、とても性格の良い人たちではないか。

「あ、あの、ありがとうございました」

 と、少女が二人に駆け寄ろうとした、矢先。

 ふわり、と地面の感覚が消えた。

 足をすくわれた……?

 誰に――?

 一瞬だけ視界に映ったのは、血まみれの、ナイフ女子……!

「ぁぐッ」

 少女は前のめりに倒れ込む。

 同時に、重たい力が背中を押した。

 馬乗りにされた……?

「ったくー、いきなりあんな化物と戦わせるって、どんな神経してやがるんすかねーこの不思議ちゃんは」

 不思議ちゃん。

 ナイフを振り回して化物を一掃するあんたの方が不思議ちゃんだ、と少女は心の中で突っ込んだ。

 その時。

 ペトリ、と何かが首筋に当てられた。

 ゾクリ、と全身が冷えて固まる。

 見なくても、見えなくても、分かる。

 それが、鋭い刃物だということに。

「おいおい黒瀬後輩、何してんだよ。いきなりそんなことしたら可哀相じゃないか」

「おやおや加賀先輩、何言ってんすか。敵か味方か分からない奴は、まずは身柄の拘束っす! 黒なら殺す! 白でもぶっ殺すんす!」

 背筋が、ガチガチに凍りつく。

 このナイフ女子、怖すぎる。

 震えすぎて声が出ない。

「黒瀬後輩、白なら殺さないでおこう」

「んじゃあ、灰色だったら殺すっす。聞きたいことが色々あるんすよねー。嘘っぽかったら、ぶっ殺しちゃうんで、よろしくー」

 前言撤回。

 性格ヤバすぎだった。

 というか、どれだけナイフ持っているのだろう。

 ……ともかく、ここは大人しくした方がよさそうだ。

『嘘っぽかったら』とは、つまり『少しでも不自然なところがあれば』ということだろう。

 ……まぁ、どのみち色々な説明はしなければならない。

「んじゃあ質問、加賀先輩お願いするっす」

「え、僕に振るのかよ」

「私、尋問とか苦手っすから」

「でも拷問は好きなんだろ?」

「肛門が好き!? 加賀先輩何言ってるんすか! ド変態っすね! 死んでくださいっす!」

「言ってねえよ! お前が死ね!」

 コントか?

 どこの世界にも漫才はあるらしい、と少女はどうでも良い情報を知った。

「質問……質問かぁ。そうだなぁ」

 剣の男子はゆっくりと歩み寄り、屈んで少女に目線を合わせる。

 ここはどこ?

 お前は何者だ?

 さっきの化物は何者だ?

 想定できる質問には『すでに用意された答え』がある。

 少女は、どんな質問でもすぐに答えられる自信を持っている。

 が、しかし。

「きみの目的は何?」

 その質問に、ドクリ、と少女の心臓が高鳴った。

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