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その10-4 当たらなければ砕けない

 スノーフィの攻撃。

 それほど威力は無かったが、それでも小さなフルクスを吹き飛ばすには十分な力。

 しかし、すぐに空中で体勢を立て直し、広間に置かれていたソファに鎌を突き刺してブレーキをかける。

 見えない何か。

 おそらく、フルクスの斬撃を空気中で静止させたものと、同じもの。

 そして、広間にあるソファやテーブル……キュクロが散らかしていった酒瓶などがそのままというところからして、ピンポイントで対象を狙える能力。

 認識もできず、自由自在に操れる能力なんてものは……当然、莫大な『代償(コスト)』がかかるはずだ。

 しかしながらそんな様子も見受けられない。

 さて……。

「……あら……器用に鎌を使うのね……」

「そりゃあワシの『魔法道具』じゃからな」

「……でも……私に当たらなければ意味ないでしょう……?」

 フルクスの『黒鉄回路之鎌(プライオリティキュー)』は、その刀身が触れた先にある血液を操れる。

 逆に言えば、その鎌にさえ触れなければ能力は発動されない。

 さすがにその程度の情報はスノーフィも持っているようだ。

「…………」

 それでも、フルクスだってスノーフィの能力に関する情報を、全く持っていないわけではない。

 スノーフィ。

 その両手で持った燭台のロウソクに灯された炎。

 揺らぐことのない炎。

 その炎が灯されている時にしか、スノーフィは能力を発動できない。

 能力の正体は不明だとして、スノーフィの能力を使えなくするためには、あの炎を消せば良いのだ。

 だが……当然のことながら、それは見えない何かによって阻まれる。

「……立てなくなるまで……殴ってあげるわよ……」

 言って、スノーフィはフルクスに近づく。

 一、ニ、三……九歩。

 十歩――そこで、またフルクスの身体が吹き飛ぶ。

 全身を大きな何かで飛ばされた感覚。

 威力はアカディディスのパンチ力よりも、断然低い。

 だが、このままやられ続ければいずれ体力が持たなくなる。

 そしてやはり、見えない。

 認識できない。

 しかしそれでも――射程は図れた。

 同じように、今度は木製の机に鎌を引っ掛けて体勢を整える。

 そして、その引っ掛けた机をそのままスノーフィに向かって――投げ飛ばす!

 机は回転しながらスノーフィに真っ直ぐ飛んでいったが――当然のことながら、両手で持った燭台の少し手前で、机は見えない何かによって阻まれ、バラバラに砕け散ってしまった。

 さて、どうしたものか……。

 と、そこで、フルクスの足に何かが当たった。

「ん?」

 果実のジュースが詰まった瓶だ。

 おそらく、キュクロがお酒で割って飲んでいたものだろう。

 散らかしっぱなしにも程がある。

 ……これは使える。

 咄嗟にフルクスはその瓶を掴み、スノーフィに向かって投げつける。

「これでも食らえい!」

「…………」

 しかし、スノーフィは難なくその瓶を避けてしまう。

「ありゃ」

「……なにそれ……」

 呆れたようにスノーフィは言う。

「……貴方の考えている通り……私の能力は……燭台に火が灯っていなければ発動できない……。……だからその火を消してやれば良い……ってことなのでしょう……。……けれど……私の炎は動かないし……消えないわ……」

 制限。

 炎がついていなければ発動できないという制限。

 やはり、あれを消すことができれば……。

「……でも……そんなテキトウに投げつけた物……当たるわけ無いじゃないの……」

 そりゃそうだ。

 当たらなければ、意味が無い。

 否。

 ここで重要なのは、スノーフィが『避けた』というところ。

 先ほどの斬撃や机のように、その見えない何かで防御すればいいところを、スノーフィは避けたのだ。

 ほころび。

 スノーフィの能力を攻略できるヒントが、そこにある。

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