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その5-2 加賀という殺し屋は

 加賀は殺し屋の一族である。

 幼い頃から殺しの技術を教えられてきた。

 生物を『殺す』ことは日常で、当たり前で、当然。

 様々な生き物を殺してきた。

 しかし、加賀は一族の中でも、落ちこぼれであった。

 いや、殺しの技術に関して言えば、非常に優秀だ。

 唯一足りないとすれば、それは経験だけだろう。

 それでも落ちこぼれだと言われるのは何故か。

 それは、加賀が『殺す』ことについて疑問を抱いていたからだ。

 質問。

「殺すことは悪いことではないのか?」

 答え。

「殺し屋だから殺す」

 そんな、答えになっていない一族の返答。

 良いとか悪いとか、そういうことは関係ない無しに、殺し屋だから殺すのだ、という思考停止。

 納得しないまま、それでも一族の言葉に従って人を殺す自分に対して更に苛ついた。

 一族にしてみれば、そういう雑念は必要ない。

 そんな無意味な思考をする加賀は、一族にとって落ちこぼれなのだ。

 そこに、加賀の居場所は無かった。

 雑念は必要ないという一族だが、学校には通わされていた。

 殺し屋は『裏』の稼業だ。

 影にドップリと浸かった殺し屋も存在していたが、多くは『普通』の……表の顔を持っている。

 加賀も表の顔として、『普通』に学校へ通っていた。

 ただし、加賀はそれを隠して生きなければならなかった。

 それは当たり前だ。

『裏』は表に出していけない。

 友人は作るなと言われた。

 情が移るから。

 もしも友人が標的になったとき、殺し屋として働けなくなるから。

 一族にはそう言われていたが、たぶん、それは結局、余計な思考をするな、ということなのだろう。

 友達は必要ない。

 殺し屋の一族だから。

 良いとか悪いとかではなく、殺し屋の一族だからだ。

 自ら人を避けていたから、必然的に誰も寄り付かなくなった。

 だから、学校にも居場所がなかった。

 加賀は、居場所が欲しい。

 その要求に、メリーゼは驚いたように目を丸くした。

 想定外だったらしい。

「どう? ダメかな?」

 仮に、メリーゼの目的が『それ』ならば、この要求は飲めないだろう。

 しかし――

「え、えぇと、いえ。ダメではありませんよ」

 メリーゼはそう答えた。

「ちょっと驚いただけです。てっきり金銀財宝を持って元の世界に帰りたい、とか、そういうことだと思っていましたので……」

「……そんなトレジャーハンター的な考えは無いかなぁ」

 というか、金銀財宝はともかくとして、元の世界に帰りたい、というのは、むしろ加賀にとって真逆の考えである。

 加賀は、元の世界に帰りたいとは考えない。

 たぶん、それは黒瀬も同じじゃないかな、と加賀は思った。

 なぜなら、黒瀬にだって、居場所は無いのだから。

「ですが……その地方の頂点に立つということは、その座を狙う新たな『悪人』にも狙われるということですよ」

「そりゃあ良いな。黒瀬後輩」

 鼻で笑いつつ、加賀は黒瀬の方を向く。

 ギョロリ。

 黒瀬の大きな瞳が映った。

 黒瀬は、目を見開いて、薄っすらとした笑みを浮かべながら、加賀を見つめていた。

 ……あぁ、と加賀は察する。

「く、くふふふふ」

 黒瀬は笑い声を口から漏らしながら、ゆっくりと立ち上がる。

 どうやら、我慢の限界らしかった。

「くふ、くふふふふふ、あっはっはっはっは」

 高らかに、黒瀬は笑う。

「……あー、いやー、やっぱ、ダメっすわー。興奮、抑えられないっすもん」

 そんな黒瀬の態度に戸惑いを見せるメリーゼ。

 それを無視して、黒瀬はスカートの下からナイフを取り出す。

「もう説明とかも、良いんじゃないっすかー? 私、ゲームは説明書読まずに遊んで覚える派っすから」

 トン。

 と、黒瀬の投擲したナイフがメリーゼの胸に突き刺さった。

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