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きよらかな王子さま  作者: しらら
追加のエトセトラ
90/99

王子さま・ひすとりぃ(イラスト15枚)


ちょっとしたスピンオフなど、ちまちま書きました。

本日は、王子さま視点の裏話をどうぞ。(パソコンの場合、このページに限って、NOVEL DAYSの方が見やすいので、そちらで見て頂けたら嬉しいです)https://novel.daysneo.com/works/episode/867ce629e62d2438cbe3d10eb77ad00b.html 




***


王子さま視点のおはなしです。


***



 ある王国に、お互いをとても想い合っている王と王妃がいらっしゃいました。

 お二人は心優しく誰に対しても誠実で、国民にも臣下にもたいそう慕われておりました。

 が、お子だけには恵まれませんでした。


 側妃をという声はあまり立ちませんでした。

 王妃が国民に大人気なのと、近親に優秀な子供が多くおり、継承には困らなさそうだったからです。

 王弟の所の長子が特別に秀でていて、周囲も「この子が次期王冠かなぁ」という空気に、何となくなっていました。


 そんな折り、忘れていたのを思い出したように、王妃が懐妊しました。

 王も周囲も国民も、忘れていたのを思い出したように諸手を挙げて万歳しました。


 そうして生まれたのが、ローザリンド・エクター・サフィール・バッフェルベル殿下でした。


 王も王妃もこの子を溺愛しましたが、小さく弱く生まれてしまった王子に、多くは望まぬお気持ちでした。



 ***



 四歳になったばかりの雪の日、王子は謎の高熱で命を落としそうになりました。

『流れ者の治療師』の不思議な処置で命は繋ぎ止めたものの、それ以来、たまに身体が光るようになりました。

 周囲に気味悪がられて心を傷付けるよりはと両親は、城の奥の宮で静かに生活させました。


 限られた大人しか来ない庭園で、王子は一人、鳥や虫や空の雲を友達に、密やかにお育ちになりました。



 そうしたある日、探検で迷い込んだ二人の男の子と出逢います。

 ローザリンド六歳、男の子は八歳と九歳でした。

 二人とも国の重鎮の子息で、王子に永遠(とわ)の忠誠を誓ってくれました。

 三人の絆は大人になっても、堅く清らに続いています。





挿絵(By みてみん)



 ***



 当時の回想


【 アーサー談 】


 ビビッと来たのだ。

 出逢った瞬間。

 理屈などでは説明出来ない。


 幼い頃から、将来は玉座だと言われて育った。

 直系の男子が存在すると聞いても、特に気にしていなかった。

 別にどちらでも、向いている方が就けばよいのだ。あちらが無能なら私が就く。

 ただ正直、自分は向いていないのでは? と思う事は、ままあった。

 どうやったって自分の両親は、あの睦まじい国王夫妻とは別物だから。


 ある時、城の奥庭の塀に、子供なら通れる隙間を見付けた。

 ジークを誘って潜って行った。

 名目は探検だが、奥に隠された王子を一目見てやろうって気持ちがあった。


 そして出逢った。


 衝撃だった。

 全身に電流が走った。

 彼を玉座に付ける構想を、一瞬で脳が組み立てた。


 それから殿下は、期待に違わずスクスクと、斜め上へ向いての成長を続けられている。

 振り回される毎日が少々大変だが、喜ばしい限りである。



【 ジーク談 】


 まぁ、あのアーサーが一瞬で篭絡(ろうらく)されたんだから、只者では無いんだろ。

 あいつの直感は馬鹿にならないからな。


 騎士系侯爵家の次男に生まれ、幼い頃から高位貴族の子供たちの輪に放り込まれていた。

 どいつもこいつもお行儀良くて、退屈この上なかったが、王弟んちのアーサーだけは別だった。

 器が違う、別格、そんな感じ。

 少し話しただけでウマが合った。

 次回から、真っ先に俺の所へ来てくれるようになったのは、かなり嬉しかった。


 その頃は、身体が弱くて表にも出られない王子より、アーサーが王位に付く説が濃厚で、国のトップの近衛になる事を目標にしていた俺は、将来はこいつを護る事になるんだと、薄っすら思いながら傍に居た。


 ある日、二人して王宮の奥へ忍び込んだ。探検だってアーサーから誘ってきて、珍しいなと思った。


 庭の奥の奥にそいつはいた。

 キラキラ眩しい木漏れ日の中、飛び立つ鳥の隙間から、驚いた目を見開いてこちらを見る子供。

 宝石みたいな瞳。


 その時アーサーはビビッと来たらしい。


『お前は武を極めてあの子を護れ、自分は政(まつりごと)を極めてあの子を立てる』、とは帰り道での彼の言。

 一方的に将来を決められちまった訳だが、不思議に腹も立たず、すんなり受け入れられたんだよな。

 俺もアーサーのコト笑えねぇ。





挿絵(By みてみん)




【 宰相談 】


『ローザリンド殿下にお会いしました、彼に王様をやって貰いましょう』


 或る日、九つの甥っ子にそう進言され、応接椅子の隣に座す彼の父親(私の妹の夫、王弟)は苦笑いしていたが、私は震えた。


『あの方の吸引性は半端ではない。対抗に立つより、推し立てて利用する方が効率が良い』

 と続くアーサーの言葉は、私も心ひそかに思っていた事だった。


 私は『奇跡の夜』の目撃者である。

 治療師の人間業とは思えぬ処置で、青黒かった殿下がみるみる蘇生して行く様を目の当たりにした。

 まさに奇跡だった。

 去り際に治療師が残した『この子の周囲は清らかで満たされねばならない』という言葉に王と王妃はおののいて、我が子を隔離したが、私はそれが正しいと思わなかった。


 彼は、『その子を閉じ込めて何にも触れさせるな』と言っただろうか? 


 治療直後、私は彼と二言三言を交わしていた。

『過ぎた報酬は要らん』

『欲は俺の力を弱くする』

 いずれも彼の清廉性を表す言葉。


『うちの娘もこの位の歳なんだ』

『助けられて良かったなぁ』

 垣間見せる人間味。

 子供を見つめる澄みきった瞳に、私は激しい憧れを抱いた。


 その彼の助けた子供を国の王として立てる…………胸の奥底が震える。私はきっとそれを望んでいたのだ。


 アーサーの提案に私たちは乗った。


 王弟は王と王妃を説得し、私は国民の間に、まるで最初からあったかのようにお伽噺を流布した。

 光り輝く王子殿下を奇異ではない存在にする為だ。


 王妃陛下には事後承諾で、殿下を連れ出し、見聞を広めて頂いた。

 城の下働きの労働を見せ、スラムの民の暮らしを見せた。

 穢れを目の当たりにしても、殿下は怯まず真摯に受け止め、己の中で消化された。

 ほら、大丈夫なのだ。

 興味を持たれた場所には出来うる限りお連れした。





挿絵(By みてみん)




挿絵(By みてみん)




【 続・宰相談 】


 ある日視察から戻る馬車の中で殿下は、『国民の神さまになりたい』と神妙に仰った。

 王太子になる自覚に目覚められたのだろうか、その後みるみる丈夫になられた。

 私は間違っていなかったのだ。

 治療師殿はきっと、『穢れが近寄ってもはねのけ、自らの力で清らかを満たせる子に育てよ』と言いたかったのだ。


 その殿下が、いよいよ学園に通われる。

 最高学年にアーサーもいるが、是非とも新たな友も見いだして、意義ある学園生活を送って下さるよう願ってやまない。




【 ここから本編の裏側、殿下sideの物語、

 十一枚ノンストップでお楽しみ下さい 】





挿絵(By みてみん)




挿絵(By みてみん)




挿絵(By みてみん)




挿絵(By みてみん)




挿絵(By みてみん)




挿絵(By みてみん)




挿絵(By みてみん)




挿絵(By みてみん)




挿絵(By みてみん)




挿絵(By みてみん)



・・・・

  ・・・・

       ・・・・



挿絵(By みてみん)




 遠回りばかりの燃費の悪い王子さまですが、周囲に支えられてきっと立派な王様になります。






描いてる最中は気付かなかったけど、並べてみると、

十四枚目からラスト十五枚目が、見事なひとコマ落ちでギャグみたいだけれど、

ギャグじゃありません。

王子さま、本当に頑張ってたんですよ、描いてる人間が力尽きただけです。

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