エンディング
その国の王子さまはとても病弱でいらっしゃいました。
四つの冬に生きるか死ぬかの病を患われ、それ以来 本人も周囲も気弱になって、雛鳥のようにおどおどとお育ちになりました。
特に王妃様は『穢れ』に対してとても神経質になっておられたようです。
何かというと熱を出す王子さまは、王さまになる事などとても出来ないと、ご自分でも諦めていらっしゃいました。
それが十歳の秋、下町で出逢った強く優しい女の子に、すっかり運命を変えられてしまったのです。
夕陽を映して燃えるような髪の女の子は、泥池の彼岸花のごとく凛と背を伸ばし、橋を作る人を『神さまみたい』と言いました。
この時 王子さまの胸に、ストンと何かが落ちました。
――ああ、自分は神さまになる立場に生まれ、そして生かされたのだから、この人たちにとっての神さまにならねばならない……と。
その日から王子さまは熱を出さなくなりました。
学園に入ってその子を見掛けた時は胸踊りましたが、その子はあの橋の上での出来事を忘れているようで、少しがっかりしました。
それでも良き友人として学生生活を送れ、王子さまはたいそう幸せでした。
今でもたまに、心の中であの日の女の子に問い掛けます。
――わたしはちゃんとやれているだろうか。
あなたを心安らかに暮らさせてあげられる、神さまへの道を辿れているだろうか、 と。
――大丈夫、皆があなたを支えます。神様は一人ではなれないですから。
~きよらかな王子さま・完了~
これにて、『きよらかな王子さま』、すべて終了です。
ここまでお付き合い頂き、まことにまことにありがとうございました。




