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SS14  偉業の報酬(10)★

最終話です

不快に感じる表現があるかも知れません。ご注意ください。




 ★ ★ ★ ★ ★ (ジェイド視点)




 魔術学院に行ってからのことを少し話そう。


 初等部は1学年に入れた。なんと、エレウス王の王女様が同級生になった。いろいろと助けてもらった。


 一番は、奇跡の魔石のことになる。


 貴族枠という身分があるらしい。とても威張っている教授だ。その教授が、自分の知り合いに魔石を譲るように強く言ってきた。


 子どもだから、言いくるめればなんとでもなる。そう思っているようだ。


『本人魔石捕獲証明書』のサインを見せても、だからどうしたと態度を崩さない。 


 どこにでも、ジョーレやペーシモのような自分の力を勘違いした貴族がいる。


 そこに王女様ともう一人、リアスターナ・ペリティアさんが立ちはだかってくれた。この2人には逆らえないようで、しぶしぶ諦めた。


 ものすごい怖い顔で(にら)まれたけどね。


 他の貴族や商人達は、サインを見せるとすごすごと立ち去ってくれた。これが普通だろう。おかしいのはあの教授だ。


 僕の容姿は、とても整っているらしい。自分の姿をまじまじと見ることはあまりないので分からなかった。それが原因なのか、いろいろな女生徒が群がってきた。


 ぼくは、勉強をしにきているんだ。お茶を飲みに来ているわけではない。(わずら)わしい。そう思うが、どう断ればいいのかが分からない。


 そんなとき、リアスさんがぼくを守る会みたいなものを作ってその会長になった。女生徒達からのいろいろなお誘いは一切なくなった。


 本当にすごい人だ。ラウネンさんの親戚になるらしい。どことなく、雰囲気が似ている。


 しばらく落ち着いた日々が過ぎていたんだけど、ある日ナツメさんがちょっと困った顔でやって来た。


 まちぼうけの角のことだった。オークションでとんでもない値段で落札されたらしい。金貨1350枚になった。正直、どのぐらいの大きなお金なのかがイメージできなかった。


 ナツメさんの心配事は、金額でなく落札した商人のほうだった。ディスポロ商業公国の大富豪(だいふごう)らしい。そして、どうも、カナデさんを取り込もうとしているようだ。


 もしかすると、ぼくの所にも何かしらの接触をしてくるかもしれないから用心するように言われた。


 カナデさんに迷惑をかけるなら、もう、ぼくにとってその人は敵になる。了解だ。




 大きなニースが飛び込んできた。新大陸の姫がやってくるらしい。


 姫とはサクラさんの事だ。ならば、カナデさんも必ず来る。あの人に会える。しかも、同じ学校だ。いつでも会いに行ける。嬉しかった。


 しかし、どうも様子が変だ。学校が()足立(あしだ)っている。理由は、王太子が5人も入学してくる。しかも、婚約者も5人だ。これは、学校が荒れる。


 ピンときた。サクラさんはこのために来るんだ。


 そしてもう1つ。10層が(から)んでいる。


 カナデさんは、いろいろな立場で難しい交渉をする事になるだろう。ぼくに手伝えることはないか。


 ナツメさんに相談しよう。


 アドバイスをもらった。


  1つ目は、高等部への飛び級だ。前代未聞(ぜんだいみもん)ではあるが、条件付きで制度として認められている。高等部への編入試験に合格すること。論文を提出し認められることだ。


 論文はすでに提出してある。あとは、試験に合格すればいい。学院長と相談をして秘密裏(ひみつり)に事を運んだ。明るみに出れば、貴族枠の教授が邪魔をする。魔石のことで恨みを買っているからだ。


 2つ目は、王族対応のアドバイスを申し出ること。ただし、これには家族の同意が必要だ。カナデさんは、そこに(こだわ)るはずだと言われた。


 これには困った。説得材料がない。恩人だから手伝いたいだけでは父も母も認めないだろう。なぜなら、姫もカナデさんも敵がうようよいる(みやこ)にやってくるからだ。本拠地は危険になる。子どものぼくは足手(あしで)まといだ。


 手詰(てづ)まりでいたときに、兄から手紙が来た。


  王室の慣例に「魔石の試練で特別な成果を上げた場合は、本人が願うことを1つ認めることとする」という項目が、公文書としてあることを知らせてきた。


 ははは、いいタイミングだ。まるで今のぼくの心理状態を知っているようだ。


 兄、カナデさん、ナツメさん、優しく頼りになる人たちに守られている。


  ぼくは、迷わずその権利を使うことにした。


 兄を通して、ぼくの希望は両親に届けられた。ぼくの強い意志が感じられたのだろう。了承したという返事の手紙が届いた。




 貴族枠の教授がニヤニヤしながらやって来た。何だ?


 マイアコス王国の第4王子が入学してくることを教えてくれた。王国でのぼくのことを聞いたのだろう。「また、かわいがってもらえて嬉しいだろう」そう言って、満足そうに帰って行った。


 それがどうした。今のぼくはあいつでは敵にもならない。もはや気にもならなかった。


 論文はすでに認められている。編入試験のほうも自信がある。


 ぼくは記憶力がいい方だ。覚えようと思って覚えたことは忘れない。


 初等部の授業はすでに物足(ものた)りなくなっていた。もう学ぶべき事は何もない。中等部で行うべきことも、すでに全て理解できている。正直、退屈だった。


 高等部で、カナデさんと議論ができるかも知れない。ワクワクしている。特に、あの声の存在について語り合いたい。


 カナデさん達が住む住居はもう直ぐ完成する。森の中にあり、樹魔車両でなくては辿(たど)り着けない場所に急ピッチで建設されている。


 ナツメさんが、最新型の次元箱に資材を限界まで積み込んで何回も往復している。S級とは何というでたらめな力なんだろう。




 カナデさん達はそろそろ入り口の町を出発するはずだ。


 もう直ぐ会える。また、あの陽だまりのようなあたたかさで包んでもらえる。


 楽しみだ。





次話投稿はありません。すみませんでした。

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