048 それぞれの国の思惑 ★
本日2回目の投稿です
その日、各国専従のS級案内人達の樹魔車両が一斉に入り口の町から自分の国に向かって旅立った。
速度制限無しの超高速ゾーンは、大陸暦が始まって以来の賑わいだったかもしれない。
S級案内人達は、みな、ある書簡を、特別な処置で自分以外取り出すことができない携帯型次元箱にしたためていた。
そこにはこう書かれている。
サクラシア様の正式なパートナー選びに決着がついた。
勝利したのは、カナデという冒険者。
その者は、C級ゴールドスター冒険者である。
その者は、何か秘めた力を隠し持っている。
そして、追伸には、こう書かれていた。
追伸
10層に動きあり、至急、検討されたし
以上
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エレウレーシス連合王国
「やっと、決着がついたか」
「ラウネンの言った通りだな。よし、予定通り、我が連合王国はカナデ君に最大限の協力をする。そして、10層にサクラシア様を届けてもらう」
「各州国に通知を出してくれ、『至急攻略隊のメンバー選びを進めるように』とね」
「それから、何かが動くときは、必ずよからぬ事を考える国が出てくる。それぞれの国の動向を注意深く監視しなさい」
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カロスト王国
「カナデ、誰ですかそれは」
「サクラシア様のパートナーは、イローニャなのではないのですか」
「コーチスの話とだいぶ違いますね。詳しいことを至急調べなさい」
「もし、その話しが本当なら、状況が変わるかも知れませんね」
「そうです。あれは、ただの町です」
「ええ、入り口の町は変わらなければいけません」
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アルエパ公国
「カナデか、確か、マルモル家のシンティが親しくしている冒険者だったな」
「なるほど、そのカナデってやつは、わが家に欲しい人材だな。なんとかならんか」
「まあいい、そのうちこの国にも来るだろう。会うのが楽しみだ」
「さて、緊急会議が必要だな。我々はどう動くべきか決めないとな。それと、入り口の町をどうするかもな」
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マイアコス王国
「やはりカナデ君に決まったか。ジェイドも喜ぶだろう」
「10層か、さて、我が国は、10層よりも先にやらなければならない事があるからな」
「そうだ、ジェイドにした事への償いをさせる」
「ああ、もはや容赦はしない」
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ディスポロ商業公国
「みなさい、私の言った通りでしょう。やはりあの『まちぼうけの角』を落札しておいてよかった」
「そうです。彼との繋がりができました。彼を何としてでも取り込みなさい」
「やはり、彼はただ者ではないですね。何か秘密を持っています」
「それと、入り口の町の経済につけ込む隙がないかも調べなさい」
「ええ、10層が動き出しました。莫大な利益を生むはずです」
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ストラミア帝国 皇帝執務室
「そうか、イローニャは、届かなかったか」
「魔動機関のやつらは、どう動くと思う」
「そうだろうな、排除しようとするな」
「イローニャはどうなった」
「うん、それでいい。彼女に預けよう」
魔動機関 大臣執務室
「グライヒグが本気で動いたのに負けたのか……」
「カナデか、一体何者だ。まあいい、グライヒグが帰国次第緊急会議だ」
「情報部、入り口の町の弱点は見つかったか」
「そうか、それも議題に加えておこう」
「イローニャがあの女の預かりになっただと、ふん、皇帝め余計なことを」
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メダルクシア神国
「くくく、サクラシア様。お待ちしていますよ。魔法陣はここにありますよ」
「入り口町に使者を送りなさい」
「新しい秩序が必要です」
「あいつは邪魔ですね。駆除しなさい」
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入り口の町冒険者ギルド所長室
「B級エリアのイローニャはどうだった」
「そうか、魔物を残したか。やはりな、あいつはこの町で過ごすうちに、少しずつ変わっていったからな」
「S級エリアの調査はどうなった」
「そうだろう、やっかいな爬虫類型は全て霧散しろと頼んでおいたからな」
「よりにもよって蛇型か。あいつらは温度でも探知できるからな。隠匿も効かないやっかいな奴らだ。霧散してなければ調査はできなかったな」
「そうか、やはりなかったか……。ということは、8層にあるのか。未発見のダンジョンが、10層への転移魔法陣はそこか」
「他国の動きで気になることがあったら直ぐに報告しろよ」
「ああ、全ての国だ」
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この日を境に『10層へ』と言う冒険者達の試練が動き出した。
それぞれの国の権力者達は、2000年の試練を乗り越えるために、自国の利益を得るために、既得権を守るために、自らの願望を叶えるために動き出す。
次話は明日7時10分投稿




