楽しみ
あいつとライトノベルについて話す事が出来た。
前々からライトノベルに興味があったんだ。もっと会話して色々な話ができると面白いだろう。
梅雨の晴れ間は清々しい。蒸し暑いが、外で遊ぶことが出来る。俺はサッカーボールをロッカーから取り出し、校庭に向かう。いつもの仲間も呼応するようについてきた。この天気だとグラウンドも乾いているだろう。リフティングをしながら階段を降りる。周りからは器用だとは言われるが、コツを掴めば簡単だ。
あっという間に昼休みが終わり、午後の授業が始まる。
物理は苦手だが、先生の話が面白い。ウイットに富んだ話し方と言うのだろう。もっと勉強して物理の真髄を垣間見たいと思える。
先生から質問が飛んできた。俺はその質問に冗談で返す。教室から笑いが起きた。楽しい感覚だ。楽しいと思える気持ちを持っていると、周りがそれに感化され、和やかな雰囲気になる。俺はその一体感が好きだ。学校も面白いし、サッカー部も面白い。もちろん帰宅しても積みゲーがあるので楽しみが待っている。
気持ち一つで人生が変わると幼い頃、母が教えてくれた。その教えは間違いでは無いと今も感じる。
窓の外が暗くなってきた。
午後から雨となると、部活は室内での練習になるだろう。
雨が降ると、生徒を一人背負って階段を登るトレーニングだ、と先輩からLINEが入ってきた。
あのトレーニングは地味で、なかなかきついが達成感が堪らない。限界まで体力を消耗して、しっかり栄養を取る。そうすると、よく眠れて、次の日は体にエネルギーが充溢している感覚になる。
今日の授業で分からないことがあったが、あいつは物理が得意らしいから、ライトノベルについて聞くと同時に、物理の事についても訊いてみよう。
ホームルームも終わり、男子更衣室でトレーニングウェアに着替える。最近買って貰ったアディダスの短パンをはき、ひやりとする化繊のウェアを着る。気合が入る。
まだ外は曇りのままだ。とりあえずトラックへと向かう。一階に降りると雨が降ってきた。
今日は階段のトレーニングに変更だ。
いつもの北校舎のトレーニング場所に向かう。
その時、昇降口で女生徒が雨を眺めているのが見えた。
置き傘が二本あったので、昇降口横の傘立てから自分の傘を一本抜き取り、近づいて差し出した。
彼女は驚いた顔をしていたが、俺は明日持ってきてくれれば、と言い、何度もお辞儀をする彼女に手を振って北校舎に向かった。
さあ、しっかり鍛えて、家の御飯を楽しみにしよう。