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嘘は真実へ  作者: 文記佐輝
一章『嘘から始まる恋』
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三話『惹かれ合う』

小学四年の時、唯一優咲に優しく接していた女子生徒が居た。

名前は、川中ミハルという同級生の女の子だった。

私も、彼と仲良くしてくれるのであれば、それで良かった。

それだけしてくれていたら良かったのに。

ミハルには裏があった。

私はそんな彼女に、とても怒りが湧いた。

だから、私は彼女に接触した。

千夏「ミハルさん、もう優咲に近づかないで…!」

突然そう言われた彼女は、困ったように頭をかいた。

ミハル「えっと…アンタ誰?」

千夏「……私は優咲の幼馴染の、凛月です。」

私は彼女を睨みながら、名乗った。

「ふーん」と興味なさそうに、彼女は腕を組んだ。

ミハル「なんでアンタなんかに、私の交流関係を左右されないといけないの?」

彼女はそう言うと、鼻で笑った。

そんな彼女に、さらに怒りを覚えたが、我慢した。

千夏「…私、聞きました。…貴女が、友達と話してるの。」

そこまで言うと、彼女は私を睨みつけた。

その睨みに、少し後退りしてしまうと、彼女はさらに近づいてきた。

ミハル「…なーんだ、聞いたんだ。

じゃ、別に貴女にはあのこと話してもいいよね。」

嫌なニヤけ面で、彼女は胸を張って話し始めた。


ミハル「アイツって嘘つけないじゃない。だから皆に嫌われてるわけ。

私もアイツのこと嫌いだし、正直アイツと話すだけで吐き気がするほどなのよね。

それでも優しく接してしてるのわね、私の好感度を上げるために使えると思ったから、仕方なく接してあげてるわけ。

正直、アイツなんかどうでもいいし、何の役にも立たないゴミなんてだから、せめて私の好感度のための糧になってほしいのよ。

アイツも嬉しいでしょ?私ってさ、この小学校の"マドンナ"、じゃない。

そんな私に話しかけてもらってるのよ、それだけで十分の対価になってるじゃない。」

そう言うと、彼女は私の胸ぐらを掴んで顔前まで迫った。

ミハル「まぁ、ただ優しくするだけじゃ、何も面白くないじゃない。

だから友達と賭けてるの、アイツがいつ私に告白するかってね。」


それを聞いて、私の感情はもう抑えることができなかった。

気づけば、私と彼女は激しく殴り合っていた。

そこに駆けつけた大人によって、私達は取り押さえられてしまった。

私は必死に彼女の悪事を大人に話した。しかし、私の話は軽く流されてしまい、彼女は何のお咎めもなく、私だけが叱られることとなってしまった。

それから、どこから漏れたのか、学校中で私は危険な人物として扱われ。

そして、優咲にも問い詰められることになってしまった。

きっとこの時、彼に本当の事を伝えていたのなら、彼に嫌われずに済んだのかとも思う。

しかし、私は弁明する機会もなく、父の都合で引っ越す事となってしまった。


それから四年間、彼がどんな生活を送っているのか、そればかりを考えてしまい、中学では友達の一人も作れなかった。

いや、作ろうと思わなかった。

なぜなら、彼が一人ぼっちになったのは私のせいなのに、私が幸せになって良いわけがないからだ。

だから、せめてもの罪滅ぼしのつもりだった。

そうすることで、私は彼の痛みを少しでも理解しようと思った。

そして、高校生に上がる時、運がいいのか、悪いのか、私は地元に帰ることとなり、実家の近くにある高校へ入学することとなった。

そこで、まさか彼に会えるとは思わなかった。

嬉しくて、つい話しかけてしまった。

話しかけてから、少し後悔した。

私を見る彼の目は、まるで冷たかったからだ。

だが、それでいいと思った。だから、彼を校舎裏に呼び出して、告白をしようと考えた。

そして、彼にこっ酷く振られてしまおうと考えていた。

なのに、彼は『好きだったよ』と言ってくれた。

嬉しかった。十六年生きてきて、この時が一番嬉しかった。

私は彼に甘えてしまった。それがダメだった。


彼と付き合いはじめて、一ヶ月ほど過ぎたとき、奴に会った。

ミハル「…アンタ、アイツと付き合ってんだって?」

その声は少し枯れていて、昔とはまるで違う彼女が立っていた。

千夏「…川中、さん…」

ミハル「良いねぇ…好きな奴と付き合えてさぁ?」

彼女そう言いながら、スマホの画面をこちらに向けてきた。

それを見て、私は目を見張った。

ミハル「…これ、アンタだよね?

…まさかこんな事してるとは思わなかったけど…アンタなんだ」

その画面に映っていたのは、中年男性と一緒に、カフェで話している写真だった。

彼女はニヤニヤと私を見ながら、笑い始めた。

ミハル「この写真…アイツに見せたら、どうなんだろうね?」

千夏「……それは、少し困ります」

私は至って冷静にそう返した。

それが不服だったのか、彼女は私の髪を引っ張った。

ミハル「アンタさ、昔から気に入らないわ…

あの時からもっと嫌いになった…正義ヅラしてるみたいでさ?!」

私は彼女にお腹を殴られた。

その場でうずくまる私の頭を彼女は踏みつける。

ミハル「…あ、そうだ!

この写真アイツにバラされたくなかったら、アタシの下僕になってよ。そしたら許したげるからさ〜」

彼女は私の頭を掴み、ニヤけヅラで覗き込んできた。

ミハル「…もしこの事他のやつに言ったら、この写真、ネットにでも流すからね〜」

大声で笑いながら、彼女は私から離れた。

お腹を押さえながら、ベンチに座る彼女を睨みつけた。

ミハル「…何その反抗的な目?

…うざいほんとに昔から変わらないわ…アンタ…」

彼女は懐から紙を取り出すと、何かを書き始め、それを私へと投げつけた。

私は自身の感情を押し殺し、その紙を拾い上げ、内容を確認する。

千夏「……これをしろって、ことですか?」

ミハル「理解が早くて、そこだけは好きだよ。」

彼女は笑いながら、公園をでていった。

残された私は、その紙を握り潰し、その場で心が落ち着くまでしばらくとどまった。

そして、紙に書いてあったことを、それからずっとやり続けた。

彼と、優咲に嫌われたくなかったから…


ーーー現在、昼過ぎ…

凛月は涙ながらに、俺に全て打ち明かしてくれた。

苦しそうに謝罪をする彼女に、俺は何も出来ずに居た。

それもそうだ、今の俺が彼女に手を貸そうだなんておこがましいにもほどがあるから。

俺はただじっと、彼女の嗚咽を聞くしか他無かった。

彼女はずっと俺を守ってくれていた。

それに気づかなかった自分に、彼女に向けていた憤りをぶつける。

そんな事をしても無駄だというのは、自分自身が良く分かっている。だからこそ、彼女の善意に気づかなかった自分がとてもに憎いのだ。

優咲「…凛月、今日はもう学校は休もう…俺と二人で遊ぼう…ぜ?」

俺は凛月にそう提案をした。

彼女は少し驚いたような顔をこちらに向ける。

優咲「…嫌なら…別にいいけど…」

千夏「嫌じゃない!」

ガシッと、俺の腕を掴むその手はまだ、小刻みに震えていて何かに恐怖するような表情だった。

俺はそんな彼女の手を、ギュッと反対の手で握りしめる。

優咲「…俺は、お前を信じるよ…俺を影で支えてくれたお前を、今度は俺が支える。…だから、もう心配する必要はないよ。」

全てを知ったからこそ、俺はこの言葉の通り、これからは彼女の事を本当の彼氏として守ってみせる、という決意を込めていた。

千夏「…うん!ありがとう、優咲!」

彼女は満面の笑みを、俺に向けてくれた。

そんな笑顔に、俺は心の底から熱くなるものを感じ取った。

優咲(…そうか、俺は、本気で……)

今日まで、俺は彼女に復讐したいと思い続けていた。そのために初めて嘘を付き、偽りの『好き』を伝えた。だが、そんな偽りも気づけば本当になっていたのだ。

俺は彼女と一緒に過ごしていくうちに、本当に彼女に惚れていた。

どんな相手にも優しく、どんな苦難にも立ち向かう彼女に。

世界で一番かわいい、俺の彼女、凛月千夏に。

この日。

だいぶ遅くなってしまったが、ようやくそれを口にする。

今度は、嘘偽りのない、その言葉を。

優咲「千夏、『好きだよ』」

黒和優咲くろわ ゆうさく

基本心を閉ざしてしまっていたため、人との関わり方がとても苦手。

髪型には特にこだわりが無く、基本楽だからという理由で、

スポーツ刈りを頼んでいる。


凛月千夏りつき ちなつ

陽気で、クラスのムードメーカーになりがち。

彼女は望んでその立ち位置にいるわけではない。

髪型は、推しのアイドルに似せたポニーテールをしていたが、

ミハルの命令により、ボーイッシュな髪型になった。


川中ミハル

小学生の時は男子にモテモテの一軍女子。

現在はかつての面影を少しだけ残し、ただの悪女になっている。

彼女曰く、「これも全部黒和と凛月のせい」とのこと。

髪型は、今も昔もツインテール。こだわりのファッション。

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