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嘘は真実へ  作者: 文記佐輝
一章『嘘から始まる恋』
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二話『付き合い』

俺と凛月が付き合い始めて、早くも二ヶ月が過ぎていた。

彼女はよく土曜日に遊びに誘ってくる。たまに日曜日も。

放課後なんかは、ずっと彼女に拘束されている。

そして今日も、彼女によって拘束されていた。

千夏「優咲!あれ可愛くない?!」

俺達は二人で、アニメイツに来ていた。

彼女は推しグッズを見るため、俺に荷物を預けはしゃいでいた。

千夏「かわいい~!」

推しを見ながら悶える彼女を見ながら、俺は復讐の機会を伺っていた。

アニメイトで買い物を終えた彼女は、モックに行こうと言い始めた。

優咲「食いすぎると太るぞ…」

千夏「そういう事は余り言うもんじゃわないよ?」

彼女は呆れたように言うと、モックに入っていった。

仕方なく俺も彼女に続いて入り、モックセットを頼むことにした。

彼女は最近広告にあった新メニューを買って、写真を撮り食べていた。

千夏「ねね!一緒に撮ろう?」

そう言うと、俺の隣に座ってきた。

優咲「…顔出しNGで…」

千夏「了かーい!」パシャ

俺の顔をモックで隠しながら撮ったその写真を、俺に見せてきた。

確かに顔が写ってないのを確認すると、彼女はインタスに慣れた手つきで投稿した。

モックを食べながら、彼女の行動を見続ける。

なぜこんなにも見続けるのかと言うと、怪しい行動をしていないかを確認しているのだ。

人を信じなくなってから、真っ先に人の行動を疑うようになったのだ。そのおかげで、行動の一つが少し変わるとすぐに着付けるようになった。

優咲「…大丈夫か?」

千夏「へあ?!な、なんでもないよ!」

笑いながらスマホをポケットに隠す。

彼女は誤魔化すように、モックを食べ始める。

千夏「んーおいしい~!いっぱい食べれるね!」

そう言いながら、モックにかぶりつく。


そして、ようやく解散することが出来た俺は、彼女の後をバレないようにつける。

彼女が家とは反対の方向に向かうのを見た俺は、ニヤけた。

優咲(…ようやく正体を現すか…?)

気づかれないように、彼女の後を追うと、彼女は公園にまでやって来た。

公園のベンチに座ると、誰かと電話を始めた。

そして、数分後。ベンチに座る彼女の下へ、一人の女が近づいた。


俺は話の聞こえやすく、気づかれない程度の場所に身を隠すと、盗み聞きした。

千夏「話が違うじゃん…彼女がここへ来る話だったんだけど?」

「知るかよ、あいつはまだお前に何かさせたいんだろうよ…」

ボーイッシュな女は、懐から紙を取り出すと、凛月に手渡した。

千夏「……あいつ…何がしたいの?」

「知らねぇって、とにかく、16日までに済ませて、ここに来いってよ。」

それだけ伝えると、ボーイッシュは公園を後にした。

手紙を見ながら、凛月は震えていた。

表情の良く見えないところで見ていたため、表情は見えなかった。

優咲「……結局ただの無駄足だったか…」

俺は肩を落として、そのまま家へと帰った。

この時、もっと凛月の事を見ておけばよかったのかもしれない。

しかし、この時の俺は彼女に復讐することしか頭になかったせいで、何もせず帰ってしまった。


ー次の日

俺は凛月を見て驚いていた。

女子生徒A「どうしたのその髪?」

女子生徒B「何かあった?」

凛月を囲むように女子たちが廊下で心配そうな声をかけていた。

そんな女子たちの間から見えた凛月の髪型。

まるで昨日のボーイッシュの女と似たような髪型になっていた。

これまではポニーテールで一貫していた彼女からは、全く想像もしていなかったことに、俺は思わず声をかけていた。

優咲「どうしたんだよ、…その髪?」

突然陰気そうな俺が話しかけたことに、周りの女子が驚いていたが、俺は構わず凛月の髪に触れた。

優咲「お前、あの髪型気に入ってたろ?…推しと同じ髪型だった…」

そこまで言って、俺は自身が何にそんなに腹を立てているのかがわからなくなった。

凛月はいつものようにヘラヘラと笑っているが、そんな笑顔の裏に何か黒いものを感じたからか?

それか、俺の復讐以外に、凛月が苦しんでいるからか?

それとも…凛月が傷ついているから?

俺は、自分がわからなくなった。

千夏「…これも似合うから、私はやっぱり元がいいんだろーなー…!」

無理していることは明白だったが、周りの女子たちは笑って、いたっていつもと変わらない対応をする。

女子生徒A「なにそれぇ〜、自信家め!」

キャハハと、青春をしている。

そんな彼女たちとは違って、凛月はいつもよりも無理をして女子たちに合わせている。

そんな彼女を見ていて、俺は居ても経っても居られなくて。


気づけば凛月の手を取り、学校を飛び出していた。

その間、凛月は何も言わなかった。

まるで、安心しているように、沈黙していた。

そして、俺は凛月との思い出の地に来ていた。

凛月を問い詰めてから、一回も来ていなかったこの地に。

来たくもなかったこの地に、今再び来てしまった。

しかも、嫌いな幼馴染と共に。

千夏「……ここ、懐かしいね…」

凛月はよく漕いでいたブランコに座った。

俺も、彼女と同じようにブランコに座った。

お互いに口を開こうとはしない。

決して、気を遣っているわけでも、お互いを探り合っているわけでもなく。

ただそこで、ゆっくりと時間が過ぎるのを待っていた。

そこそこ時間が経ち、学校はチャイムを鳴らしホームルームを終えようとしていた。

ようやく、俺達はお互いの顔を見た。

千夏「…かっこよくなったよね、優咲は…」

優咲「……そんなことはないよ」

凛月は優しく微笑むと、雲一つない空を見上げた。

優咲「……お前も…」

千夏「…ん〜?」

気づけば、俺は自然とその言葉を出していた。

優咲「…お前も、昔よりずっと可愛くなったよな…」

俺の口から出たその言葉は、この二ヶ月間で彼女に惹かれている事を証明するものだった。


きっと、二ヶ月前の俺ならば、これは本心ではなく、嘘の言葉となっていただろう。

だが、二ヶ月間付き合って、ようやく気づくことが出来た。

逆に、なぜ気づかなかったのかと思うほどに、今の俺は、昔の俺に憤りを感じてしょうがない。

そして遂に、俺は彼女に真実を聞くことにした。

今度は、あの時とは違い、冷静に、何も疑わずに。

俺は彼女を、凛月千夏を信じて、聞いた。

優咲「……覚えてるか?…俺がお前を問い詰めたこと…」

千夏「…覚えてるよ。

…ごめんなさい。私のせいで、貴方は一人になっちゃった…」

彼女は、ずっと我慢していたであろう涙を、少し流した。

千夏「…ごめんなさい、私は、私、は…」

そして、涙をさらに流し、彼女はずっと溜め込んでいたすべてを、俺と彼女の思い出の地で、号泣するのだった。

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