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私にだけに見せる素顔が可愛い最強の男は今日も話が通じることに感動しているらしい  作者: リーシャ


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03手習塾に参加する最強の師範

「先生、おはよー」


 子供の声が家の中を明るくする。


「はい、おはよう」


 にこりと笑えば子供の興味は即座に移る。


「その人だれ?」


 挨拶の次に出る言葉が本命なり。


「先生の恋人?」


「新しい先生だよきっと」


「先生、質問質問!」


 などと騒がしくなる気配に手を叩いて場を引き締める。


「ルティウスだ。今日から戦闘技術を教える。他の教科も対応できる」


「というわけで、今日から新しく戦闘も教えてくれる先生が来ました。ルティウス先生と呼んでね」


「「はーい」」


 生徒達はガヤガヤと騒ぐ。新しい顔があれば、それはそれは気になるだろう。それに、ルティウスは顔がいいので女子生徒のキャアという声が響き渡る。


「ルティウス、大丈夫そう?」


「これくらい、王都の中で囲まれることに比べたら楽だ」


 それもそうか。


「はいはい!質問です!」


「一人一つね」


 追加するとエーッという言葉が出てくるが勉強につかえる。


「ルティウス先生はどこから来たんですか?」


「王都」


「え!王都!?」


 生徒達はびっくりした。


「王都ってあの首都の?」


「そうだ」


「そこに住んでるのにここまで来るの?どうやって?」


「転移で」


「てんい?」


「転移ってなに?」


「このパターンねー、察し」


 フィオナは軽く笑う。こういう感触を常に抱き、ルティウスはがっかりし続けたのだろう。


「転移については先生から」


 ルティウスが転移についてを具体的にわかりやすく説明する。異世界ならば一言で終わるけれど、この世界では知られていない。


「ものとものが離れていても一瞬で違う場所へ移動することを転移と言う」


 試しにとルティウスは、手にあるコインを手から手へ移動させた。


「わー!」


「す、すごいっ」


「いや、先生にもできる」


「えっ」


 フィオナはルティウスからコインをもらい、手から手へ移動させる。


「先生できた」


 子供達から称賛の嵐を受けた。


「お前の場合は手品か」


「まあね」


 二つコインがあればできる。


「小さい頃、流行ってたから大体できるようになった」


「おれの頃はスライムだ。あれを今も作れるぞ」


「ということは、シャボン玉とかいけるね」


「今度作ろうぜ」


 次は体術及び戦闘技術。外に出てルティウスは一人でまず見本となる型を見せる。どう見ても【空手】である。生徒達は真似した。


「もっと早く。次の動きが考えずとも出てくるまで繰り返す」


 彼は淡々と教えていく。どこかヒヤリとした空気を発していた。これがいつもの彼なのだとしたら、どれほど心を飛ばしていたのだろうか。メンタル面が危ぶまれる。


「休憩しようか」


「ん」


 彼は心得たと教えるのをやめる。お昼なので一度みんなを帰して、二人は我が家でご飯を食べる為に自宅へ。


「今日は……じゃーん!おにぎり〜」


「おにぎり……!これはまた里心を刺激してくれる。さすがはフィオナ。おれのことを考えてくれたな」


「まあね。一人だとなんか作る気起きないけど、二人分は作る気起きる」


「その感覚はわかるぞ」


 ルティウスは早速かぶりつく。


「!……明太子か」


 実は開発中の明太子をお土産にしてくれたので、こっちもお礼として入れた。


「美味しいよねえ。あとは海苔がいいけど、あるのかな?」


「あー、モンスターからペリペリっとすれば」


「異世界だから覚悟はできてたよー。オーケー、わかった」


 モンスターの部位に異世界の食べ物に類似したものがあるのは、あることだ。なんなら、木の実になっていることもある。栗は栗で知っている実り方だったので、助かっている。


「だが、海苔のためなら取ってくる」


「じゃあ、じゃあ味のりにしようよ」


 やはり、週一の手習塾で暮らしていくには厳しい。


「白いご飯が進むな」


 ルティウスは楽しそうに口元を上げて喜ぶ。


「……味のり、おにぎり。この言葉が通じる有り難さが本当に、嬉しい」


 しんみりと噛み締めていく人。


「うんうん。うんうん。ところで」


「軽くないか?」


「軽くはないよ。毎回ジーンってしてたら慣れる」


「そんなにジーンとしてるのか、おれは」


 結構している。話していると、ふとした時に感動しているなという表情をしているのだ。


「次は何の具材がいい?レパートリーが少ないから塩ばっかりになるかも」


「レパートリー……」


「ほーら、またジーンってなってる」


「はっ!おれとしたことが」


 指摘されて、これのことかと恥いる顔をする男。ギャップ萌えである。


「ギャップ萌え狙ってるねえ」


「男にギャップなんて都市伝説だ」


「今起きたから現実だけど?」


 などという、冗談を言い合う。話はよく弾む方ではないのだが、彼と話すといつのまにか楽しく会話ができていた。


「そうだ。今日はもふもふ作ってきたんだった」


「えっ、もふもふっ?ほんとっ?」


 フィオナが異世界といえばと話す内容にモフモフは外せないのではと言ったことを覚えていてくれたらしい。


「なになにー、みたいみたい」


「ふふ!見ておどろけよ!」


「もちろんっ!よっ、男前」


「まだ見せてねぇだろ」


 呆れた物言いだが向こうも見せたくてウズウズしている。外に出た二人。彼が下に手をかざすと召喚の陣が淡く光って現れる。


「これぞ魔法ってやつだね」


「わかるか、これを」


「魔法陣を出して魔法を使うのなんて定番じゃん。外したくないよ」


 言い終える頃に現れた生物。


「しっ、し!」


 言葉が出ないフィオナにドヤ顔をてかてかと浮かべるルティウス。召喚したものは白くモフモフな存在。


「シマエナガ!」


「具体的に言うと、イセカイシマエナガだ」


「すごっ!」


「ルティウスシマエナガとで迷った」


「学術名を人名にするって聞いたことあるけど、そこはイセカイシマエナガでよかった」


 名前のシマエナガは、これじゃない感がする。ルティウスに許可を取ってシマエナガの体に向かって自身の体を埋めに行く。

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