夢
「また、会ったね」
(銀髪に、青い瞳の少年!夢で会った人だ!!)
「あ、あなたは誰?名前はなんていうの?」
「僕は、ユハニ。ユハニ・サーリ」
(やった!名前、聞けた!!)
「ユハニ、さん?」
ちょっと、ドキドキしながら、復唱してみた。
「ユハニ、でいいよ。アイリ」
「ユハニは、どうして私の事を知っているの?」
「未来からやってきた君が、僕を助けてくれたからだよ」
(私が、未来から来て、ユハニを助ける?)
「ちょっと、よく分からないんだけど」
「僕も、君のこと、ほとんど知らないんだ。ごめん」
「だけど、ちょっとだけなら、教えることができるはずだよ」
「君は、この世界に来ているんだろう?」
「この世界?」
「ガーデニアを中心とした世界、と言えば分かるかな?」
「!!ガーデニアを知っているの!?」
「知るも何も。僕は、この世界に住んでいるんだ」
「そうなんだ!!」
「この星の裏側、ちょうど、ガーデニアの裏側だけどね」
「星の裏側?」
「地球でも、地球の裏側とか、言うんだろう?それと一緒さ」
「!!随分、遠くに住んでいるんだね」
「まぁね。魔法陣の転移魔法じゃ、来れない距離だね」
「!!魔法陣の転移魔法って、制限距離があるの?」
「あるよ。110㎞くらいかな」
「!!そんなに短いんだ」
「そう。だから、君は今、ガーデニアのすぐ近くにいると言っても、過言ではない」
「そうなんだ」
「だから、早く花魔法を、転移魔法を身につけて、僕に会いに来て」
「待ってるから」
ユハニは、熱心に言った。
「で、でも、遠くに住んでいるんでしょう?」
「花魔法の転移魔法なら、ひとっ飛びさ」
「!!そんなに、花魔法の転移魔法って、すごいの?」
「ああ」
(それなら、家に帰れる!!)
「今、家に帰れるとか、思っただろ?」
「あ、分かった?」
「それだけ目をキラキラさせればね」
「頼むから、帰る前に、僕の所に来てくれよ」
ユハニは、懇願した。
「僕には、君が必要だ」
「君の愛が欲しい」
(な、なんですと!?)
私は、自分の顔が赤くなるのを感じた。
「ど、どうしてそんなこと言うの?」
「本当の事だからだ……、ぐっ……!!」
ユハニは、急に胸を押さえだした。
「ど、どうしたの!?」
「い、いや、なんでもない……、こほっ……!!」
「ユハニ、口の端から血が出てる!!」
「ユハニ、病気なの!?」
ユハニは、力なく笑った。
「ちょっと、毒にやられてね……」
「頼む……、待ってるから……」
「ユハニ……!!」
私は、自分の声が涙声になるのを感じた。
「あぁ、時間だ。僕、行かなくちゃ……」
「待って、ユハニ……!!」
がばあっ。
私は、飛び起きた。
ゼィ、ハァ、ゼィ、ハァ……。
夢の中で、大声で叫んだからか、全速力で追いかけようとしたからか、私は息切れしていた。