料理
(可愛い家……)
オレンジの洋瓦の屋根にベージュの石造りの壁、は他の家と変わらないけれど、なんというか、全体の形状が可愛いのだ。
小さな家の屋根は、絶妙なバランスの三角形で、窓はアーチ形。
とにかく、可愛い……!
それに、庭もよく手入れされている。
花が咲き乱れていて、素敵だ。
チューリップのような花に、百合のような花、ポピーのような花に、芝桜のような花。
色とりどりの春の花(?)が勢揃いだ。
もちろん、ネモフィラのような、青い花も植えられていた。
(素敵、素敵……!!)
花が大好きな私は、心が躍った。
「ホッホッ。うちの庭を気に入ってくれたようじゃの」
「はい、とても……!!」
「良かったのう、ローラ」
「えぇ、とても嬉しいわ、アイリーンちゃん」
「もしかして、庭のお手入れはローラさんが?」
「えぇ、そうよ」
「私、てっきり、アルビー先生がお手入れされているのかと」
「ホッホッ。わしが、ガーデニアの管理人をしておるからか?」
「ガーデニア……?あの、青い花畑の事ですか?」
「そうじゃ。ガーデニアとは、正確には、聖地の名前じゃ」
「聖地……?」
「ホッホッ。そろそろ、夕飯を作る支度があるじゃろう?」
「あら、いけない。アイリーンちゃん、ついてきて」
ローラさんは、慌てて、家の鍵を開けた。
私は、ローラさんの案内で、洗面所に行き、手を洗い、台所に行った。
(お手伝い、お手伝いっと。
家の内装をよく見たいけど、それは後回し♪)
「まず、何をしましょう?」
私は、ローラさんに尋ねた。
「そうね、お野菜を洗ってくれるかしら?」
「は~い」
ローラさんに渡されたお野菜は、芋に、人参、玉ねぎ。
(異世界なので、正確には、野菜に別の名前があるのだろうけれど、面倒なので(笑)、馴染みの野菜の名前で呼んでいます)
火が通りにくそうな、芋から洗い始めた。
「あら、よく分かっているわね。
お芋さんが一番、火が通りにくいのよ」
ローラさんは、そう言って、私が洗った芋の皮を手早くむいでいった。
「あ、洗い終わったわね。
じゃあ、お肉をしんなりするまで炒めてちょうだい」
「は~い」
私は、ローラさんに用意してもらった鍋に油をしいて、木製のしゃもじでお肉を炒め始めた。
ローラさんは、芋を一口大に切った後、人参の皮むぎをして。
人参も、一口大に乱切りして、玉ねぎもザクザク切っていった。
(ローラさん、泣いてる……)
ローラさんが、玉ねぎを切る時、涙を流しているのを見て、この世界の野菜と、元いた世界の野菜は、似てるんだと強く思った。
(やっぱり、2つの世界が繋がっている証拠かな……)
なんて、思っていると。
「お野菜も、一緒に炒めてね~」
ローラさんが、お鍋に野菜を投入!
「これは、シチューですか?」
「あら、よく分かったわね。
肉シチューよ」
(ビーフシチューみたいなものかな?)
「ソースを入れるわね~」
ふわんっ。
(いい匂い~!)
ローラさんの入れたソースは、デミグラスソースのような匂いがした。
じっくり、コトコト煮込んで、完成!!
(うわぁ、美味しそう!!)
「ホッホッ。出来たかの?」
アルビー先生が、タイミングよく、現れた。