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出会い

「えっと、どちら様ですか?」


 私は、知らないおじいさんに、こわごわ聞いてみた。


「わしか?わしは、アルバート・ガードナーという。


 ここの管理人じゃよ」


「ここの?」


「そうじゃ。この花畑を管理しておる。


 お前さん、そろそろ立てるかの?


 お前さんの下の花が、痛がっておるんじゃが……」


「あ、ご、ごめんなさい!!」


 私は、慌てて立ち上がった。


 私の下敷きになった花が、元気がない。


(ど、どうしよう……)


「心配ない。ポーションをかければ、花は元気になる」


 ガードナーさんが、微笑んで、懐から小瓶を取り出した。


 ポンッ。


 小瓶の栓を抜くと、サッと液体を花にかけた。


「それは?」


「ポーション。万能薬じゃ」


「へぇ。便利なものがあるんですね」


「そうじゃな。


 ところで、お前さん、名前は何という?」


「愛梨。桜宮 愛梨(はなみや あいり)です」


「ふむ。アイリ、どこから来たんじゃ?


 お前さん、空から降ってきたように思うが?」


「えっと、家の玄関から外に出ようとしたら、そこが空だったんです」


「なんと!転移者か!!」


「転移?」


「世界は、複数存在してな、


 ある世界から、別の世界へ転移する者もいるんじゃよ」


(異世界転移!漫画みたい……)


「それで、元の世界へは、どうやったら帰れるんでしょうか?」


「うむ。お前さん、魔法は使えるか?」


「魔法、ですか?


 使えないです」


「それでは、帰るのは、ちと難しいかもしれんのぅ」


(この世界には、魔法が存在するんだ。


 ますます、漫画みたい。


 でも、帰るの、難しいんだ。


 どうしよう……)


 私が考え込んでいると、ガードナーさんは、私の顔を覗き込んで、にっこりした。


「そう、心配するでない。


 わしの家においで」


「あ、ありがとうございます、ガードナーさん」


「ホッホッ。アルビー先生と呼んでおくれ。


 ここでは、そう呼ばれておるんでな」


「アルビー先生~~~!!」


 誰かが、走ってこちらに向かってくる。


 少年のようだ。


「ここにいた~~!!


 仕事が終わったら、魔法を教えてくれる約束でしょ~~!!」


 少年が、言った。


「ジェム、すまんのぅ。


 わしは、別の用事ができての」


 ジェムと呼ばれた少年は、赤褐色の髪に、緑の瞳をした、鼻にそばかすのある少年だった。


 歳は、私と同じくらいだろうか、背丈も私とそう変わらない。


「え~~、どうしてですか~~?


 て、いうか、その女の子、誰ですか~?」


「この()は、アイリという。


 転移者じゃ」


「そんな、まさか。


 伝説の……」


「伝説は、関係ないと思うんじゃがな」


 アルビー先生は、ジェムが言いかけるのを制止した。


(伝説って何!?ここには、何かあるんだろうか?)


「アイリを連れて、早く帰らなくてはならんのじゃ。


 ジェム、すまんの」


「……分かりました。


 明日こそ、教えてくださいよ?」


「そうじゃな。


 では、そろそろ帰り支度をするかの。


 ジェム、わしは先に帰ると、皆に伝えてくれるかの」


「はい、お気を付けて」

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