勧誘
「じゃあ父さんと母さんにも渡して来るね」
「うん。多分2人とも書斎にいると思うよ」
「でもちゃんとノックして入るのよ」
「2人ともまだラブラブだからな」
「お母さんがすっごく恥ずかしそうにするから、気をつけてね」
「父さんは堂々としてるけどな」
うん、だいたい想像がつく。これまでも何度も見てるからね。
この世界成人は15歳と早いけど、平均寿命は地球の比じゃないくらいに長生きだ。それを考えても2人ともまだまだ若いんだから存分にイチャイチャしてください。ま、そう思っても今から行くんだけどね。
「わかった、気をつけるよ」
今もイチャついてる最中だろうから言われなくてもちゃんとノックするし、警備がいるんだから多分そんなことにはならない。
と、思いたい。
「ラウディエル様、おかえりなさいませ」
「ただいま、父さんと母さんはいる?」
「はい、いらっしゃいます」
コンコン
「ラウディエル様がいらっしゃいました」
…
「いいぞ」
少しの沈黙後、父さんから許可が出た。
扉を開けてもらい中に入ると母さんが軽く服を正していた。想像通りイチャイチャしていたみたいだ。
父さんはいつも通りだけど、母さんなんて顔真っ赤だよ。俺が思ったより早く帰ってきたから少し慌てたのかな。でも多分父さんはそれに気づいてたよ。
「おかえり」
「ゔ、ゔん。おかえり」
「…ただいま」
俺が来たからか、2人がソファに移動した。
「ラディ、こっちにおいで」
「うん」
膝をポンポンしている父さんの近くに行くと、案の定抱っこされる。
「ふふっ、可愛い♪」
「ああ、可愛いな」
そう言われ、2人から頬と額にキスされる。
「サウスは楽しかった?」
「うん、結構楽しかったよ。お土産を買ってきたから渡しにきたんだ」
「うわぁ!ほんと?嬉しい♪ありがとう」
「ありがとう、楽しめたならよかった」
母さんの反応がディア姉さんと似ていて、やっぱりディア姉さんは母さん似だと感じた。
綺麗に包装されたプレゼントを2人に渡す。
「ありがとう」×2
「開けてもいい?」
「うん」
「っピアス?」
2人が驚きながらプレゼントと俺を見た。
「うん。2人とも開けてるけどつけてないでしょ?だからちょうどいいかなって思って」
「っ!ありがとう!」
「そんなとこまで見てたのか、ありがとな」
涙ぐんだ母さんに抱きしめられ、父さんには頭を撫でられる。
「?うん」
なんかあったのかな?
「前はノアとお揃いでピアスをつけてたんだけど、僕、戦闘中に落としちゃったみたいで…失くしちゃったんだ…」
「レア」
「大切なものだったのに、ごめんね…」シュン
「レア。もう前のことだ。気にしなくていい。レアが無事に俺の隣にいる。それだけで俺は幸せだ。それに、今新しくラディから貰えただろ?」
「ノア…うん、そうだね。ありがとう。ラディもありがとね。絶対大切にする」
父さんが母さんを抱き寄せ、優しく声をかけると、母さんも安心したのか俺と父さんを抱きしめた。
なんでつけてないんだろって思ってたけど、そう言うことだったんだ。
「うん♪」
ピアスにしてよかった。
2人が相思相愛なのも再確認できたし。
…いや、しなくてもいいくらいいつもラブラブなんだけどね。
「ところでラディ」
「ん?」
「このピアスどこで買ったんだ?」
「今日はサウスに遊びに行ったんだよね?これ、すごく良いものに見えるけど」
あ、やっぱり気づくよね。
「色々見て回ってたらアクセサリーを売ってるところがあったから、そこで買ってきたんだ。やっぱり良いものに見えるよね」
「ああ」
「うん」
きっと彼を見つけた時の俺と同じことを考えている。だから、
「父さん、母さん」
「ん?」×2
「俺、その人に印つけてきた」
「ほぉ」
「へぇ」
お、おお…やる人の顔だ。
「逃がす手はないな」
「だね。早いうちがいい」
と、言うことで。
現在、3人でサウスに向かってます。
やっぱり考えることは同じらしい。
「ラディはなんで印をつけようとしたの?」
「うーん、サウスのメイン通りで売ってたやつより質がいい気がしたからかな。人通りの少ないところで売ってたし、見た感じ売れてる訳でもなかった。だから何か事情があるのか、まだ駆け出しなのかなって思って。そんないい物件、放っておくわけないでしょ?
それに今後も買い続けたいし、今のうちに染めちゃおうと思って」
「自慢の息子だな」
「うん、でもちょっと怖いかも♪」
その割には楽しそうだけど。
サウスに着いたので印を確認して売っていた人のところまで行く。まだ移動していないらしくさっきと同じところにいた。
「ほんとに人通りが少ないね」
「1人ではあんまり入っちゃダメだからな」
「うん、そうするよ」
絶対とは言い切れないけど、なるべくこういう所には来ないようにします。今は。
「あ、いた」
「…?っ!(なんで貴族がこんなところに!それに、あの人はさっきの天使!)」
「さっき預けた飴貰いに来ました」
「あ、はい!これです!ちゃんと食べてないですよ」
「ふふっ、わかってますよ。ありがとうございます」
「くっ!(笑顔が眩しいっ)」
「君がこれを作った人?」
「っは、はい!(な、なんだ!)」
「名前は?」
「リ、リアムです!」
「そうか」
「…?」
「リアム君、今パトロンはいる?」
「い、いえ!いません!(僕なんかにパトロンなんかいるわけないですっ!)」
「そう?ならよかった」
「?」
「急だが、俺たちが君を支援しよう。どうだ?受ける気はあるか?俺たちはどちらでも構わないから、君の好きな方を選ぶといい」
急な話過ぎてリアムが固まってしまったけど、俺としては是非とも受けて欲しい。
そして今後も商品を売って欲しい。
「っ!ほんとですか!っでも…」
「自信を持っていい。別に期待に応えようとしなくていい。君のやりたいことを俺たちは支援するだけだ」
「あ…あの、すごく嬉しいのですが、なぜ僕なんですか?僕以外にもたくさん…」
「君の商品を初めて見た時から決めていた。それほどにいい物だったしな。それに、俺達の自慢息子が言うんだ。やらない手はないだろ?」
「ふふっ♪」
え、俺?
…ありがとう?
「っえ!息子って…」
父さんの言葉に驚いたリアムが目を大きく開けて俺を見た。
「うん、俺」
「ええ!」
「どうする?俺としては受けて欲しいところなんだけどな」
「うぅ…じゃあ、よ、よろしくお願いします!」
「うん♪」
「決まりだな」
「あ、ありがとうございます!精一杯頑張ります!(いまいちよくわかってないけど、これからはもっとたくさん作れるってことだよね?なら頑張らないと!)」
わーい!これからもそのまま頑張ってくれ!
「はい、あげる」
「え?」
これからたくさん頑張ってもらうから、お礼と前金?として欲しそうに見ていた飴を半分ほどあげる。
「欲しそうに見てたでしょ?」
「っ!(バレてたっ!)」
「預かっててもらったお礼にあげる。兄さん達からは美味しいってすごく評判なんだ」
「あ、ありがとうございます!(やったー!めっちゃ嬉しい!そんなものを貰えるなんて!)」
めっちゃ喜んでるな。
そんなに食べたかったのか?
さらっと敬語を取ってたけど、多分気づいてない。気づいても言われないと思う。
多分これからは今みたいに露店で売ることができないけど、彼なら大丈夫だろう。
契約内容などの詳しいことはまた今度時間を取ることにした。リアムとの交渉?が終わったので帰宅して食事を済ませる。
「ラディ」
「ちょっと待って」
みんなが食べ終えたので、部屋に戻ろうとしたら父さんと母さんに止められた。
…?
なんだ?なんかしたか?
何か言われるようなことをした心当たりが全く無い。頑張って記憶を辿る俺を横目に兄さんたちはとっとと部屋に戻って行った。
なんで俺だけ…
「ん?なに?」
「さっきリアムに飴をあげていたな?」
「…うん」
2人ともニコニコしてるだけでそれ以上は何も言わない。
「えっと、それがどうしたの?」
もしかして、欲しいってこと?
「しかもクラウ達にもあげてるんだって?」
「え?うん…」
2人していい笑顔。
これはもしや…
「えっと…いる?」
「うん!」
「もちろんだ」
2人はちょっと食い気味に答えた。
…やっぱりか。普通に欲しいって言ってくれればいいんだけどな。
飴が入っている瓶の蓋を開けて2人の前に差し出す。
「ありがとう」×2
2人は1つずつとって口に含んだ。
「っ!美味しい!」
「ん、うまいな」
「よかった、ありがとう」
2人に『美味しい』って言われるのも嬉しいな。
「ん、少しずつ魔力が回復してるな」
「ほんとだ」
当たり前だよ魔力玉なんだから。
「ラディ、これはどうしたんだ?」
「俺の魔力を集めて塊にした飴玉だよ」
念の為、純度のことは言わないでおく。
「え、それって魔力玉じゃ…」
「うん…そうだけど…」
「っノア!」
え、どういうこと?なに?
なんかまずかったのか?
もしかして、食べるって発想がなかったとか?
「ラディ、これはあまり人にあげたりするなよ」
「え、うん…わかった」
父さんたちがそう言うくらいだから何か理由があるんだろう。
「ラディ、知ってると思うけど、魔力玉は魔力を温存したい時や魔法が苦手な人とかが使う魔道具のようなものなんだ。だから普通は食べたりしない。ラディならもうわかるね?」
…。
もし、このことが知られればちょっとした騒ぎになるだろう。その騒ぎを起こさないためにも誰にも言わないようにするのが無難だな。
「うん。知られないようにするね」
多分元々あったとしても、回復量とかは作る人によって違う。だから俺が作ったやつとかは【加護】の効果でやばくなってただろうな…
「そうしてくれ。リアムやクラウ達には俺たちから言っておく」
「うん、ありがとう」
しまったな。これも知られてなかったのか。普通に鑑定に載ってたから常識なのかと思ってた。気をつけないと…
「大丈夫だと思うが、使用人達にも言ったりあげたりしないようにな」
「うん。もちろんそのつもり」
もともと親しい人にしかあげる予定はなかったから。でも、固形の魔力回復薬がないなら液体ポーションしか回復薬がないってことだよね?そしたら、ポーションの材料で固形の回復薬作れたりするのかな?
「ところでラディ」
「ん?」
「もう1つくれないか」
「僕にも」
え、
「あれ、あんまりあげたりしない方がいいんじゃなかったっけ?」
今2人が言ったばっかだよね。
そんなに美味しかったのかな?いや、結構美味しいから俺も定期的に食べてるけど…
「それはそれ。これはこれだ。それに俺たちにはもう知られてるんだからいいだろう」
…。
うん。いいけどね、別に。
「はい」
再び瓶を2人に差し出すと、1つずつとって食べる。
「美味しい。ハマりそう♪」
「だな。また欲しくなったら言うからその時はくれるか?」
「僕も」
「いいけど、そんなにたくさんはあげないよ。どんな物でも食べ過ぎはよくないからね」
「ふふっ、そこは大丈夫だよ♪ありがとう」
「ああ、そこはちゃんとするつもりだ」
2人ともしっかりしてるから、俺が心配することないか。
「それじゃ僕たちはまだやることがあるから戻るね。飴、ありがとう」
「うん」
「ちょっと早いけどおやすみ。ちゃんと夜更かしせずに寝るんだよ?」
「うん」
「飴美味しかった、ありがとう。おやすみ」
「おやすみ」
そう言っておやすみのハグとキスをされる。
俺も2人にそれを返すと、いい笑顔を向けられた。
毎回この笑顔を向けられるんだよな。
別に変なことやってないなのになんでだ?
兄さん達もこうなんだよな、、
リアムと話している時結構テンション高めに話していますが、表情はそんなに変わってません。ちょっと微笑むくらい。声のトーンとかも落ち着いた感じです。




