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すべて叶えよう   作者: 夜
第一章 幼少編
31/34

初めてのお出かけ〜サウス〜





 食事を終えて着替えるため一旦部屋に戻る。



 

 普段のラフな格好だと一目で貴族ってわかっちゃうから、庶民がよく来ているような服に着替える。


 それでも服の質がいいから、ちょっとお金持ちに見えちゃうけど。



 

 少し着崩して、髪も自然な感じにする。

 ま、髪を多少いじってもいつもとあんまり変わらないんだけどね。



 「よし、これでちょっとはマシかな?」




 コンコン



 ピアデか。

 


 「ん、いいぞ」


 「失礼します。ラウディエル様、準備は整いましたか?」


 「ああ」



 ピアデもだいぶ庶民的な服になっている。



 「それでは、サウスの近くまで馬車で行きましょう。そこからは目立ってしまうので、歩きになります」


 「わかった」


 


 ちょっとサウスに遊びに行くだけなのに、みんなにお見送りをされる。



 「ラディ、楽しんできてね」


 「でも、気をつけるんだよ?」


 「ピアデ、頼んだぞ」


 「はい。閣下」


 「ラディ、ピアデと離れちゃダメだからね?」


 「迷子になったらその場から動かないで、ピアデがくるのを待つんだ。わかったか?」



 迷子にならないようにするし、万一なってもなんとかするよ。

 そんなに心配しなくて大丈夫だから。



 「うん、わかった。みんなありがとう」


 





 「それじゃあ行ってくるよ」





 バタン



 








 ガタガタ揺られながら進む。

 



 何か買いたいものがあった時のために一応お金は持ってきた。父さんにも使い方を覚えるように言われたし。

 

 父さんたちには毎月少なくないお小遣いをもらっている。絶対5歳児に渡す金額じゃないってくらいたくさんもらってる。

 それなのに、ほとんどのお金は父さん達が出してくれるから、一向に減らない。溜まる一方…





 今向かってるのは貴族が使うお店が並ぶところじゃなく、庶民が暮らす街だ。

 だから、屋台とかめっちゃ楽しみ。



 なんかいい出会いあるかな〜?









 「ラウディエル様、到着いたしました」


 「わかった」

 



 人通りの少ないところから降りる。

 


 「ピアデ、ここからは敬語を無くしてくれ。今は変装中だからな」


 「分かりました。


 …では行こう」


 「うん」


 


 ここにくるのは初めてだからしっかりピアデについていく。

 もちろん手を繋いで。一応子供なので。












 「おお〜」

 



 すごく賑わってる!



 「ここはいつもこんな感じだ。閣下が治安に力を入れているから、他の領地よりかなり安全だ」


 「へぇ、そうなんだ」



 


 巡回してる警備の人もそれなりにいるし、ゴミ箱も結構あるから、治安がいいのが結構わかる。




 


 目に見えるもの全てが新鮮で、ピアデの話を聞きながらキラキラした目で見ていると、、



 「お!そこの坊や!ちょっと寄ってきな!美味しいよ!」



 露店のおばちゃんから声がかかった。

 串に刺さった肉を売ってるみたいだ。



 「これなんの肉?」


 「ボアの肉さ!うまいよ〜!」


 「俺も食べたことあるけど、結構うまかったぞ」



 ほぇ〜、そうなんだ。



 ピアデって普段は『俺』呼びなんだ。

 うん、ぽいっちゃぽいわ。

 


 「へぇ」


 「買って後悔はしないよ!」ニカッ



 確かに見た目的にも結構美味しそう。



 「じゃあ2本ちょうだい」


 「あいよ!2セルずつで4セルだよ!」



 ピアデがお金をおばちゃんに渡す。

 俺が持ってきたお金は、念のためピアデが持っている。



 「はい、ちょうど4セル」


 「まいど!また来てな!」


 

 手を振ってその場を離れる。


 ピアデから一本受け取って歩きながら食べる。



 「もう一本はピアデのだから食べていいよ」


 「!い、いや、俺は」


 「2本あるのに俺だけ食べてるのはおかしいでしょ?」


 「…」


 「…なに?いらないの?」


 「い、いただきます」


 「うん♪」

 


 最初っからそうしとけばいいんだよ。

 

 


 …圧をかけるのは良くないと思うよ。




 …。



 でもピアデが美味しいって言ったんだから、食べてもらわなきゃね?






 見物しながら歩いていると、水色のゼリーらしきものを準備しているところを発見した。


 

 「ねえ、あれは何?」


 「お、あれはスライムゼリーだ!美味しいぞ。売られてたら即完売レベルで人気だな。滅多に落とさないからちょっと高いけどな。」


 「へー、じゃあちょっと買ってみよ」



 準備しているちょっとゴツい兄ちゃんに話しかける。



 「それもう売ってる?」


 「ん?ああ!もちろん!買ってくか?」ニッ



 準備中だったのに笑顔で相手してくれた。



 「うん♪」


 「ちょっと高いけど大丈夫か?」


 「うん、大丈夫。2個買える?」


 「もちろんだ!2個なら20セルだな。

 だが!サービスだ、10セルでいいぞ!」



 まじか。結構なサービスだぞ。



 「ほんと!ありがとう!」


 「っ!おうよ!(きれーな顔してんな…)」


 「よかったな、こんなこと滅多にないぞ」


 「うん。はい、1個はピアデの分」


 「え、」


 「一緒に食べよ」


 「本当にいいのか?あんま出回んないんだから両方食べればいいのに」


 「だからでしょ。それに、1人で食べてもつまらないでしょ。感想を言い合える相手がいるのがいいんだから」


 「っそ、そうだな…ありがとう(ラウディエル様は控えめに言っても最高だ。でも、仕える相手にこんなことしてもらっていいんだろか…)」

 

 「スライムゼリー入ったぞー!買うなら今のうちだ!みんな買ってけ!このやろー!」

 



 おお、大々的に売り始めた。

 俺たちがちょっと離れるのを待ってくれてたのかな?



 

 失礼して、ちょっとスライムゼリー鑑定させてもらいますね〜


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【スライムゼリー】

 ・ダンジョンにいるスライムを倒すと稀にドロップするゼリー。

 ・出回る数が少ない時には高額で取引されることもある。ある程度出回っている時には1つ10セルあたりで売られる。

 ・1つ1つ違う味をしていると言われ、サイダーのようにシュワシュワしているものや、爽やかな柑橘系の味をするものもある。

 ・とても人気。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 最後のは書かなくてもわかったぞ。


 というか、本当に1つ10セルだったんだ。

 それを半額にしてくれるってすごいな…




 噴水の前にある椅子に座る。



 「いただきます」×2



 パク





 「んー!」



 柔らかい舌触りに、ちょっと冷たくてほんのりとした甘味が口いっぱいに広がるっ!


 なにこれ!めっちゃ美味しい!

 こりゃ売れるわ!


 

 「うんまっ!やっぱこれだよな!」



 ピアデ、嬉しそうだな。

 買ってよかった。



 「美味しいね」


 「だろ!」




 あ、兄さんたちにも買っておけばよかった…




 「ピアデ、兄さんたちになんか買って行きたいんだけど、何がいいと思う?」


 「うーん、

 ラ…ディエルが買ってきてくれたものなら、なんでも嬉しいと思うけど」



 おお、俺の名前がラ・ディエルになったぞ。



 「それはそうだと思うけど。なんか良さげなの買っていきたいんだよねー」


 「んー、じゃあ色々回ってみて、いい感じのがあったらそれにしたらいいんじゃないかな?」


 「うん、そうだね。そうしよう」





 気になるところに寄り道しながら回っていたら、、





 はっ!

 あれは!



 もしや冒険者ギルドではないか⁉︎



 「ん?ギルドが気になるのか?」


 「うん」


 「行ってみるか?」


 

 なん、なんだと!

 なんと魅力的なお誘いなんだ!

 い、行きたい!

 っでも…!



 「んや、今はいい。登録する時に入るから、その時までとっとく」


 「そうか。と、言うかやっぱり登録するんだな」


 「…?うん。なんで?」


 「いや、みんなしてるから、ディエルもやるんだろうなって思ってな」


 「ああ、確かにみんなしてるよね」


 「似たもの同士だな」


 「まぁ家族だしね」






 あ、アクセサリーとかにしようかな。


 今すぐじゃないけど、やりたいことにも使えるかもしれないし。


 よし、そうしよう。



 「お土産アクセサリーにした」


 「え、それでいいのか?アクセサリーなんていくらでも買えるんだぞ?」


 「俺からもらったものはなんでも嬉しいと思うって言ったのは誰だっけ?」


 「うっ…俺です」


 「うん、だよね」



 まあ、ピアデの言うことはもっともなんだけどね。



 「ちょっとやりたいこともあるから、これでいいんだ」


 「ふーん、そっか(やりたいこと?ちょっと気になるな…)」

 



 賑わっている通りから外れて小道に入る。



 「そっちは何もないと思うぞ」


 「うん、だけど街並みを見たくてね」



 なんとなく行った方がいい気がするし。



 「そうか」


 「それになんかいい出会いがありそうな…予感」


 「ふーん(いい出会い?)」

 



 お。



 良さげなアクセサリーを売っている露店?を見つけた。


 なんでこんなところでやってるんだ?





 


 近くに行ってみると結構種類が多いことに気づく。


 

 いい感じのが多いし、せっかくだからここで買っていくか。



 うーん、ブローチにペンダント、ブレスレット、イヤーカフ、指輪、どれもいいな、、、


 父さんと母さんには互いの色を贈るとして、兄さんたちには婚約者の色がわからないから、それぞれの色をあげよう。


 父さんと母さんはイヤーカフかブローチかな?指輪は持ってるだろうし、

 うーん、イヤーカフかな〜

 ヘアアクセもいいけどな〜


 

 うーん、、、




 よし、ピアスにしよ。

 確か2人とも開いてるけどつけてなかったから。うん、そうしよう。


 父さんにはクリーム色をベースに翠の宝石がついたピアスで、母さんには黒ベースの深い青色の宝石がついたピアス。




 兄さんたちは何がいいかな?


 うーん…ブローチにしよ〜


 

 クラウ兄さんは紺色ベースに翠の宝石、ディア姉さんはクリームベースに黒に近い青色の宝石、フレル兄さんは淡い翠ベースに黒の宝石がついたブレスレットにした。



 品揃えがいいところでよかった。

 露店なのにすごくいいもの置いてるし。


 表通りで売ってたら人気出そうだけど、裏路地だからか全然売れていない。人通りもかなり悪そう。


 …まだ駆け出しなのかな?

 それとも他の事情があるとか?


 まあ、ラッキー!ってことで。



 「あの、これとこれとこれとこれとこれ、ください」

 「えっ……はい!ありがとうございます!えっと、全部でご、50セルです…」



 やすっ!

 1つ10セルじゃん。

 え、いいのそれで。

 元取れてる?

 宝石ついてるんだよ?



 …やっぱりなんか事情があるのか?


 

 きっちりお金を渡して、品を受け取る。



 「はい、ちょうど50セル」


 「っ!ありがとうございます!」


 「…?ありがとうございます」



 ちょっと不思議な人だな。


 

 でも包装も綺麗だし、これから人気が出そうだ。

 ちょっと父さんに言ってみるか。


 いいもの売ってるからこれからも是非買いたい。

 こんないい店他に渡さん。


 まあでも、こんな見つけにくいところにあったら、そうそう見つからないと思うけど…




 …また会えるように印をつけておこう。



 「あの、すみませんが、ちょっとこれ預かっておいてくれませんか?」

 


 そう言って飴玉がたくさん入った瓶を渡す。



 「え?」


 「今度取りに来るので」


 「構いませんけど、なぜ僕なんですか?」


 「ちょうどあなたがここにいるので」


 「…?」


 「また来た時にちゃんと説明します」


 「はぁ」


 「しばらくここで売ってますか?」


 「あと1週間くらいはその予定です。そのあとは多分違うところでやると思います」


 「そうですか。そしたら1週間以内に取りに来れるようにしますね」


 「…分かりました」


 「あ、俺が取りに来るまでは食べちゃダメですからね」


 「っ!食べませんよ!」


 「ふふふ、じゃあお願いしますね」


 「っ!分かりました…」




 ふっ、分かりやすい人だな。



 けど深く聞かれなくてよかった。

 …これでいつでも居場所がわかる。ニヤッ




 




 「よかったな、いいのが見つかって」


 「うん。じゃあ帰ろう」


 「え、もういいのか?」


 「うん、また遊びに来るし」


 「そうか。

 …と言うか、なんであいつに預けたんだ?」


 「ん〜?ないしょ♪」


 「…(別にいいけど…なんかキャラ違くないか?)」

 


 





 来る時に降りた場所に戻り、待機してた馬車に乗る。


 馬車に戻る途中で身近な人たちへ普段のお礼も兼ねて、お土産を買った。



 もちろんピアデの分もね。




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