皇子とお茶会
それからは、教えてもらった持ち方と構えを意識して、新たに学んだ型をひたすら繰り返し練習した。
「うん、だいぶ様になったな」
「そうですか?ありがとうございます」
やった、褒められた。
スキル様々だな。
ありがとう、アステル。
「ふむ。今日はここまでにしよう。」
「はい。ありがとうございました。」
「ああ。では戻るぞ。」
「はい」
そう言って2人で訓練場を後にする。
「ラディ、明日以降は俺もやらなきゃいけないことがあるから、毎日見ることはできない。すまないな。」
「いえ、見ていただいているだけで、ありがたいことなので」
「だから、俺がみるのは火曜と金曜の週2日にする。休みの間は教えたことを忘れないために、自己鍛錬に励むように。ただ、やりすぎには注意しろよ。頑張るのはいいことだが、ラディは頑張りすぎるところがあるからな。」
そう言って俺の頭を撫でる。
やりすぎてるつもりは全くないんだがな。
むしろもっとたくさんやりたいし、たくさん時間を使いたい。のだけど、食事があるから訓練は一定の時間で終わっちゃう…
「はい、気をつけます。これからもよろしくお願いします。」
「ああ。
着替えたらすぐに食事だろうから、終わったら食堂に来るようにな。」
「はい」
屋敷に着いたので、父さんとはここで一旦お別れだ。
自分の部屋に戻って、クリーンで体を綺麗にし、新しい服を着る。
部屋を出たタイミングでソノットに会う。
「ラウディエル様」
「食堂に向かう」
「はい」
お披露目会から6日後、皇子からお茶会の招待状が届いた。ご丁寧なことに、俺が頼んだ参加者リストも一緒だ。
この面子ならいいか、
開催日は2週間後のようだ。
それまでに着ていく服やアクセサリーを決めなければいけない。面倒だが仕方ない、今後のためだ。
今回参加するのは、俺を含めて7人。
皇子、2つある公爵家から1人ずつ、侯爵家の双子、伯爵家から1人だ。全員同い年だから、学園でも会うことを考慮しているんだろう。まあ、全員入学できるかはわからないがな。
まあまあに面倒だけど、行ってみるか。
「ソノット」
「はい」
「皇子が2週間後に開く茶会に参加するから、返事を書いてくれ。それと、その日までに着ていく服とアクセサリーを決めるから手配してくれ」
「畏まりました」
よし、これでいい。
やることを終え、ソファでちょっとくつろぐ。
初めて剣の訓練して以降、父さんとの訓練と自主練のおかげで筋力なども多分少し上がった。
他の科目の先生も到着して勉強を始めている。結構楽しい。
食事マナーやダンス、礼儀作法は母さんから学んでいる。
今のところ苦戦しているものはない。むしろ褒められている。まあ、学んだことを生かすかどうかは別だが。
魔法は手を抜きまくって教わっている。一応本を読んで知っているから、授業で復習してる感じだ。
そしてもちろん、洗礼以降は寝る時に必ずアステルに会いに行く。そこでアステルとちょっと話してから一緒に寝る。
前に俺が眠そうにしてたら、アステルが『ベッド出しますか?』って聞いてくれたんだけど、『寝るなら一緒がいい』って言ったら、それ以降も一緒に寝てくれるようになった。
でも、起きた時にアステルが隣にいなくて悲しいから、毎朝指輪を通して『おはよう』って言っている。
それでも寂しいのは変わらないし、起きた時も隣にいて欲しいと思うのは欲張りだろうか。もっと言えば、ずっと一緒にいて欲しい…そして可愛いアステルを堪能したい。
……。
そう言えば、今兄さんたちは全員同じ学園に通っている。俺もあと5年しないうちに同じところに入学するつもりだし、ソノットも来年にはどこかの学園に入学するだろう。
…試験は受けないといけないけど。
来年からはソノットがいないから別の者がつくことになっている。
面倒なやつじゃなければ誰でもいい。
ーーーー
今日は皇子達とのお茶会だ。
かなり面倒だけど、行くと言った手前仕方がない。
もう支度もしちゃったし…
馬車に乗って城へ向かってるし…
面倒だ〜
そんなことを考えているうちに着いてしまった。
門で招待状を見せ…なくても通れた。
いいのか?それで
もっとこう…あるんじゃないの?
馬車から降りて、茶会の場所まで案内してもらう。
おいおい、俺が一番最後かよ。
結構早めに来たつもりなんだけど…
「ラウディエル様、お待ちしておりました」
「皇子殿下、この度はお招きいただきありがとうございます。少し遅くなってしまったでしょうか。」
「こちらこそ、お越しくださりありがとうございます。開催時間より前ですので、何も問題はありません。」
「そうですか、よかったです」
「では、こちらへお座りください」
「失礼します」
俺は皇子の隣だった。
立場とかでわからんではないが、もう少し遠くがよかった。
俺たちが座ったタイミングでお茶が出される。
「それでは皆様揃いましたので、始めましょう」
こうしてお茶会が始まった。
「あの、ラウディエル様」
「はい」
「もしよろしければ、名前で呼んでいただきたいなと思うのですが」
ああ、なんか前にも言われたな。
相変わらずちょっと下手に出るよな。
「…わかりました。」
「ありがとうございます。
それと、遅くなりましたが、今日来てくれた私の友人達をご紹介します。
私の右隣から順にハザール公爵家次男のライアン公、マギド公爵家長女のアマリア嬢、ヒセキ伯爵家次男のカーティス公、ベアトア侯爵家長女のアグネス嬢、同じく長男のアドニス公です。
そして、皆様、グレルイド大公家三男のラウディエル公です。本日は楽しんでいただけると嬉しいです。」
「よろしくお願いします」×5
合わせたように一斉に言ってきた。
俺以外は前から交流があったみたいで、すでに仲がいい。
「よろしくお願いします」
お互いに名前を知ったところで、話が進む。
「そういえば、皆様、学園はどこを希望なされていますの?」
「私達はクウォント学園ですわ」
「やはりそうですよね」
「ええ、憧れですから」
「皇子殿下はどちらに?」
「私もクウォント学園を希望していますね」
俺は彼らを眺めながら静かにお茶を飲む。
みんな楽しそうでなにより。
「あ、あの、グ、グレルイド公はどこか希望がありますでしょうか?」
…なんで皇子にはフランクに話しかけてたのに、俺にはそんなガチガチなの?
初対面だとしても普通そんなにならんでしょう?
「私もクウォント学園ですね。それと、皆様、私のことは名前で呼んでいただいて構いません。」
「あ、ありがとうございます!やっぱり、そうなんですね」
「では、お言葉に甘えて。
確かラウディエル様の一族は、皆様クウォント学園をご卒業なされていますよね。とてもすごいですわ」
「ええ、そうですよね。すごいです」
「私の一族は何代か前の当主が通ってたそうですが、最近では全然みたいで…」
「難関校ですからね、お互い頑張りましょう」
「ええ、そうですね。皆様と学園でもお会いしたいですし」
そんな感じで話は流れていった。
なんかいつか『一緒に勉強会でもしません?』的なことになりそう…
そんなことになっても俺は呼ばれないと思うけど…
…あぁ、開かれるし、呼ばれるわこれ。
思いっきしフラグ立てた気がするもん。
みんなの実力を知れるから別にいいけど。
「そう言えば、ラウディエル様は愛子様の加護を得られていたかと思うのですが、」
「ええ、そうですね」
「あの時、左手首と右耳の後ろに模様が見えたと思うのですが、今はないのですか?」
なんか前にも誰さんに同じような質問された気が。
「ありますよ。普段は隠して見えないようにしているんです」
「まぁ、そうなんですか。失礼ですが、理由を伺っても?」
「ええ、あまり人目に晒しておきたくないもので」
「…あら、そういうことですの。教えてくださってありがとうございます♪」
察しがよくて理解の早い令嬢だこと。
悪くないね。
まあ、他の3人は意味がわかってないみたいだけど。
「…?」
皇子もわかってないんかい。
まあ、これからわかるようになるさ。
…多分。
が…頑張れ。
ーーーーー
「本日はこれでお開きにいたしましょう」
「ええ、そうですね。今日は楽しかったですわ」
「私たちもです。是非今度は私達のお茶会に来てくださいまし」
「ええ、もちろんです」
「皆様、気をつけてお帰りくださいね」
「皇子殿下、本日はありがとうございました」
「楽しんでいただけたならよかったです。また開きますので、その時も参加していただけると嬉しいです」
「もちろん、参加させていただきます♪」
「私も今から楽しみです」
みんながワイワイと楽しそうに話している間に一人馬車に向かう。
「ラウディエル様、次も是非お越しください」
「ありがとうございます。機会があれば是非。
では皆様、失礼します」
そう言って帰路に着く。
疲れた…
楽しくなかったわけじゃないからいいか。
この面子とは今後も関わることになりそうだ。




