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すべて叶えよう   作者: 夜
第一章 幼少編
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誕生日会


 昼食を食べ終え、お風呂に入り、少しゆっくりした。 


 その後は誕生日会の支度のため、またしても大勢の使用人が入ってきて衣装を着させられ、髪のセットや化粧をした。



 …だいぶ疲れた。



 今回の衣装も黒を基調として白金と赤の刺繍が入っている。洗礼と似たような感じだけど、ちょっとずつ違う。



 ちゃんとアステルからもらった指輪をつけていく。もちろん、無くしたりしないように、しっかり魔力で固定している。

 入場する時に少しだけアステルの紋章を見せるつもりだ。


 招待した人たちはもうほとんどホールに集まっているみたいだ。もちろん、皇族も。



 「ラディ、準備はいい?」 


 「うん。できてるよ、母さん。」



 会場には、まず父さんと母さんが入って、その次に兄さんたち。そして最後に俺が入る。

 最後と言ってもみんな一斉に入るから一番後ろって言った方がいいかな。



 「本日の主役、大公家の皆様のご入場です」


 「さあ、開くぞ。しっかりな。」


 「はい」



 そう言って会場に入っていく。



 「あれが噂の…?」


 「大公様に似てかっこいいですね」


 「ええ、とても5歳とは思えませんわ」


 「あの耳の後ろにある模様は何かしら」


 「本当だ、左手の甲にもあるわよ」


 「右手にはめている指輪はなんてところのかしら、とても綺麗だわ」



 ヒソヒソと話し声が聞こえる。




 いいだろう、羨ましいだろ。

 だが、やらないぞ。

 これは俺のだ。

 


 「皆様、本日は我が末息子、ラウディエルの誕生日会及びお披露目会にようこそおいでくださいました。

 この度、ラウディエルはアルミネ様から『愛子』の加護を授かりました。先ほど見えた紋章と指輪もその時にいただいたものだそうです。


 …ですので皆様、これらに似たデザインのものを欲しがるような、または作成するような真似はなさらないように。


 私からは以上です。ラウディエル、挨拶を」


 

 え、なにそれ。キイテナイヨ…

 ていうか、父さんのちょっとドスの効いた声でみんな怖がっちゃったよ。



 「はい。

 ただいまご紹介に預かりました、グレルイド大公家三男ラウディエル・ルナダクト・グレルイドです。

 本日は私の誕生日会にお越しくださり、誠にありがとうございます。

 それでは皆様、短い時間になりますがお楽しみください。」



 特に何も言うことはないので、適当にやり過ごす。



 もちろん、ご指導ご鞭撻をとかは言わない。

 そんなこと言って、ないとは思うけど後からそれを口実に説教なんてされても困るから。

 それと愛子については、もう父さんが言ったから触れないでおく。




 俺が言い終わると、さっきまでの静けさが嘘のように賑やかになった。

 俺は今日は父さんたちのそばにいなきゃいけなかったから、他の貴族と少し挨拶した。

 けど興味なさすぎて誰に挨拶したか全く覚えてない。

 


 ああ、休みたい。

 貴族の相手は疲れる。



 家族とかアステル以外の相手は誰でも疲れるけどな。

 笑顔を貼り付けたりなんかしてないから、だいぶマシかもしれないけど…



 そんな雰囲気を感じ取ったのか、



 「ラディ、疲れたでしょう?

 端の方に椅子があるから座っててもいいよ。」


 「はい、そうします。

 ありがとうございます、母上。」


 母さんが気を遣ってくれた。

 もちろん父さんもだけどね。


 多くの人が集まる場所では話し方はちゃんとする。

 まあ、まだ家庭教師がついてないから最低限のマナーさえ守っていれば何も言われない。言わせないけど。



 兄さんたちは知り合いがいるのか、早々にそっち行った。

 ちょっとは俺のこと構ってくれても良くない…?

 寂しいよ?



 家ではいつも笑っている兄さんたちでも、外に出るとほとんど笑わなくなる。全員顔がいいからすごくかっこいいし、凛々しく()()()

 実際、見惚れている人は多くいる。







 俺は母さんに言われた通り、会場の隅にある椅子に座った。ここにくるまでめっちゃ話しかけられそうになったし、視線が半端なかったけど、話しかけるなオーラをぷんぷんに出して回避した。



 椅子に座るとソノットが飲み物と少しの食べ物を持ってくる。



 「ありがとう、助かる」


 「いえ、ゆっくりなさってください」

 


 そう言って下がる。











 しばらく一人でお茶を楽しんでいると声をかけられた。

 俺に声をかけられる人なんて限られた人しかいない。



 「グレルイド大公子様、おくつろぎのところ、失礼いたします。

 私、先ほどご挨拶させていただきました、アトランテ帝国第一皇子、イグノード・レイブン・アトランテと申します。

 この度は、5歳のお誕生日誠におめでとうございます。このような素敵な会に参加できたこと嬉しく思います。

 少々お茶を共にしてもよろしいでしょうか」



 くつろいでんのがわかるんだったら来んなよな。



 挨拶したことなんて忘れとるわ。

 退屈すぎて意識飛んでたんだから、覚えてるわけないだろ。



 はぁ… 断りたいけど、同い年だから今後関わるだろうし、なんといっても実は従兄弟いとこなんだよね…



 母さんが現皇帝の弟だから…



 あ、父さんとはちゃんと恋愛結婚だったらしい。


 この国では恋愛結婚を推奨しているから政略は滅多にない。していたら非難されることもある。それと、一夫一妻じゃない。一夫多妻制だ。と言っても、俺の一家はみんな結婚相手は一人だけだ。それと面倒ごとを抑えるために使用人でもそうだ。



 ちなみに、俺の家族と大公家の使用人以外はこの会場と会場を繋ぐ屋敷の門までの道以外は行けないようになってる。

 だから庭にも行けない。会場に休憩できるスペースはあるけど、共同だから二人きりとかはなれないし、させない。ただでさえ他人を屋敷に入れたくないのに、面倒なことを起こしてほしくないからね。



 「第一皇子殿下、ありがとうございます。 

 もちろんです、どうぞ座ってください。」 



 皇族相手でも笑顔は作らない。

 そんな面倒なこと態々しない。


 そもそも俺の一家は外ではそんなに笑わないから俺が笑わなくても何も言われない。



 「失礼します。あの、是非イグノードと呼んでください。従兄弟なんですから。」


 「わかりました、イグノード殿下」


 「殿下はいらないのですが、」


 「いえ、殿下は殿下ですので」


 意図的に一線を引く。

 親しくなろうとはしない、

 …面倒だから。



 「…わかりました、それでいいです。」

 「何か用が?」


 皇族に対して何と失礼な!的なことは思うと思うけど、そんなこと知らん。俺は俺。それが許されるのが俺の一族。まじ感謝。



 「あ、はい。

 いえ、その…これを機に親しくなれればなと思いまして…」


 ああ、やっぱりそういうことね。

 

 「そうですか。」


 「はい」


 「…」

 


 いや、なんか続けろや。

 親しくなりたいのはそっちだろ。


 「あの、何とお呼びしたら良いですか?」


 「お好きなように」


 「では、ラウディエルとお呼びしても?」








  あ?



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