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すべて叶えよう   作者: 夜
第一章 幼少編
17/33

体力づくり




 それからはほぼ毎日こんな感じで進んだ。



 ケレイブが来た日は午前に書庫で借りた本を読み、午後は体づくりのトレーニング。来ない日には魔力の訓練などをして過ごした。





 一方魔法はというと、夜などの人目につかない時と場所で一人で練習している。詠唱は魔法の本に載ってたけど、それを言う勇気は俺にはない。かっこいい台詞せりふを言う憧れもあるけど恥ずかしさが勝った。



 初めは魔力に属性を乗せることから始めた。

 今では6属性それぞれの魔力を乗せて違う指から放出・維持できるようになった。指の少し上あたりに色のついた魔力塊が見える感じだ。

 そしてそれらのコントロールしながら体の周りをグルグル回すこともできるようになった。

 ついでだったから出していたそれを魔力玉に変えておいた。


 

 何となくこんな味にならないかな〜って思って作ったら…できたよ。

 属性の乗ってない普通の魔力玉を飴玉みたいにして食べてみたけど、結構美味しかった。甘すぎず苦くもない、ちょうどいいさっぱりとした味だった。流石だ。できないことなんてほとんどないわ。




 そんなんで魔力に属性を乗せることはできるようになったから、それを魔法として発動できるようになろう。


 まずは安全だろう水から。


 ちゃんとお風呂場でやったよ。

 使用人は?って思うかもしれないけど、『俺は風呂は一人で入りたいから』って言ったら渋々といった感じででてった。それからはずっと一人で入ってる。



 んで、水魔法だけど、野球ボールくらいの大きさの水球ウォーターボールをイメージして発動してみた。ちゃんと落とさないように注意しながら。 





 うん、できた。



 次は落とさないように気をつけてゆっくり動かしてみる。

 これも問題なくできた。

 ので、動きを速くしてみる。






 これも大丈夫だった。



 今は俺の近くでやったけど、今度は遠いところに行くように動かしてみる。これはちょっと集中してやろう。


 















 全然問題なかった。

 んじゃ、これらの動作を無意識でもできるようになろう。



 


 ってことで水球を風呂場いっぱいに動かしてみる。



 これもある程度できるようになった。

 



 これで水球はある程度できるようになったから、とりあえず他の属性でもやってみるか。










 特にこれといった問題もなく扱うことができた。


 





 ーーーーーーーーーーーーーー







 とまぁ、そんなんで、1年半すぎた。



 そう、俺はあと少しで5歳になる。

 つまり、教会に行けるってことだ。






 待ってろよ、アステル。しっかり、たっぷり事情を聞かせてもらうからな。それと、この5年会えなかった分をしっかり補充させてもらうからな。

 俺がどれだけアステル不足だったかを味わうがいい。






 まあ、今は置いておくとして、この1年半で結構成長したと思う。身長も120cmくらいになった。それにもう敷地内を20周走っても疲れなくなったし、魔力の訓練も魔法の訓練も順調に進んでいる。

 魔力や魔法の訓練を既にやっていることは、まだ誰にも言ってない。もちろん今後も言う気はない。普通は魔力が通ってないから、洗礼を受ける5歳にならないとできないしね。



 「ラウディエル様、流石です。

 もう私がお教えできることはありません。

 剣術の訓練を始めるのに十分だと思います。」




 そう、俺は今ケレイブの授業を受けている。実を言うと、ある程度体力や筋力がついた段階で体づくりだけじゃなくて体術も習い始めていた。

 ちゃんと父さんたちに許可は取ったよ。

 ちょっと無理矢理だったけど。そこはまあ頑張った。



 そんなわけで5歳になるまであと半年はあるけど、もう教えることはないと言われてしまった。



 本当はとっくにケレイブの体力も筋力も抜かしてるんだけど、それだと変だからちょっとばかし手を抜いている。



 ただ、数値としては上がってるんけど、筋肉とかが見た目にはそんなに現れない。俺がまだ4歳ってことも理由だと思うけど、こうも現れないとはな。



 「いえ、これもケレイブが教えて下さったおかげです。ありがとうございます。しかし、それでもまだ半年もあります。今終わるのは早くないですか?」


 「はい、そうですね。

 しかし、私からお教えできることはもうありませんので、ここからは自主でのトレーニングに移ろうと思います。」


 

 あ、そうなのね。



 「わかりました。ではとりあえず試したいことがあるのでちょっと走ってきます。ケレイブはここで待っていてください。」

 

 「やりたいことがあるのはわかりました。ですが、私も一緒に行きます。まだ授業時間中ですので。それに、たとえ敷地内であってもラウディエル様は4歳です。なので一人にするわけにはいきません。」



 まあ、確かにそうだよな。

 そうなるだろうとは思ってたからいいけど。



 「わかりました。お願いします。」


 「はい、ありがとうございます。では、私はついていきますのでお好きなように走ってください。」



 なら遠慮なく。



 「わかりました。」



 そう言って走り出す。





 今までケレイブの授業では、単に走ってただけだった。だが、俺がやりたいのは筋トレなどでつけた筋力をランニングでも生かせるようなトレーニングだ。



 だから、何か障害物があるところを走りたかった。



 そこで、この家の敷地にある森に行って、森での走り方、木や枝の使い方を実践を通して学ぼうと思う。



 ちなみに我が家の領地内には異常個体などの強い魔物のいる魔の森と、通常の魔物と動物がいる普通の森がいくつかある。



 魔の森にいる魔物が他の魔物より強いのは、空気や地中に含まれる魔素濃度が高いためと言われている。

 魔物が強い代わりに、そこに生えている薬草なども他のものより効果が高い。

 そして通常の森も同様だが魔の森でも奥に行くほど魔物は強くなる。



 大公家の騎士団では魔の森から出てきた魔物を討伐している。しかし、その騎士団であっても魔の森の中に入ることは滅多にない。普通に入るのは大公家の一族のみだそうだ。



 それと魔の森は世界に数箇所あり、一つ一つがかなり大きいらしい。冒険者として活動するようになったら絶対に行くと決めている。そのためにも今は力をつけよう。


 

 そんなことを考えながら森の中を走る。



 もちろんただ走るだけではない。最初の30分は森に足を慣らすためにただ走っていたが、今は木の枝に飛び乗ったり、地面を走っている状態から木の枝を掴み、一回転してその枝に乗ったり、森を自由に行動できるように練習している。もちろん、枝を使って木の頂上まで登ってみたり、そこから飛び降りたりもした。



 急にそんなことをしだしたから、ケレイブがだいぶびっくりしてた。



 3時間後。



 ほんとはもっとやりたいんだけど、もう日も傾いてきたし、そろそろご飯の時間だ。


 遅れると怖いんだよね。まあ3歳の頃に注意されてからは遅れてないけど。俺はね。


 


 …




 兄さんたちが遅れた時は、それはもう怖かった。

 母さんの笑顔で圧をかける姿は忘れない。それを受けている兄さんたちの顔は、そりゃもう酷かったさ。よくないけど吹き出しそうになった。

 だから『早くきなよ』って言ったのに、自業自得だよね。




 「ハァハァ、ラウディエル様。

 …今日はここまでにしましょう。」




 ふむ。結構な速度で走ってたし、森だったこともあってケレイブは相当疲れたみたいだ。

 それに、前までは『すごいですね』とか『流石です』とか言ってたけど、もうやめたみたい。



 「そうですね。もうそろそろ食事の時間になりますし、ここら辺で終わりにします。長い時間俺の我儘に付き合っていただいてありがとうございました。」

 


 そう言って屋敷に向かい歩き出す。

 結構走ったけど、ちゃんと考えて屋敷の近くに戻ってきている。なので、歩いてもそんなに時間はかからない。



 「いえ。自習と言ったのも、ついていくと言ったのも私なので気にしないでください。

 それと森の中を走るのがこんなにも大変だとわかりました。それで、騎士団の訓練にも取り入れようと思うのですが、よろしいでしょうか?」



 騎士団の訓練に取り入れるかは俺に聞かないでほしい。父さんに聞きなよ。

 と言うかやってなかったのよ。領地内だけじゃなくて敷地内にも森はあるんだから、ちゃんとそこは訓練しろよ。帝国でトップの強さを誇る大公家の騎士団なんでしょ。それも第一騎士団なら、なおのことやっとけよな。



 「そう言っていただけるとありがたいです。

 騎士団の訓練に取り入れるかですが、それを決めるのは俺じゃないので父に聞いていただきたいです。

 ただ俺からは『是非』とだけお伝えしておきます。」


 「そうですね、ありがとうございます。

 閣下にお伺いしてみます。それではお疲れ様でした。」


 

 話しているうちに騎士団の宿舎についた。



 …こんな近いなら森での訓練くらいしろよ。



 てか、俺を一人にしてはいけないとか言ってたのに帰るんかい。別にいいけど、ソノットが来るからだろうし。



 「そうしてください。今日もありがとうございました、お疲れ様です。」



 そう言って屋敷に向かおうと足を向けた。



 そしてやっぱり、



 「ラウディエル様、お疲れ様です。お食事の準備が整いました。みなさまもそろそろ集まるかと思います。」

 

 俺付きの執事、ソノットがいた。ご丁寧にタオルと水を持ってる。



 「ありがとう。少し汗をかいたから、流してから向かう。遅れないようにはする。」


 「承知いたしました。」



ケレイブが森での訓練を騎士団に導入しようとしているところですが、もちろん今まで全くやってなかったわけじゃないです。ただ、ラディのような森の走り方、木の使い方をしていなかったので、そこを取り入れようとしています。

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