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平成トランスポーター  作者: 夏名
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3-1 トランスポーター

「ここ、次の小テストに出しますからね。それじゃあヘッドフォン付けて、ペアになった人とスピーキングして」


 英語の教師がそう言うと、生徒達は指示に従いヘッドフォンを付け始める。來見(くるみ)達は東棟にある第2パソコン室で英語の授業を受けていた。

 暫くの間を置いて通信が繋がると、聞き馴染みのある声が聞こえてくる。來見は直ぐに(ほおり)とペアになったことが分かったのだった。


「あっ、來見くんだ。よろしくね」


「うん、よろしく。じゃあ先にどうぞ」


 來見が促すと祝が英語の例文を読み上げていく。これは普段の教室では隣の席同士で行われていることなのだが、パソコン室での場合はランダムに選ばれた組み合わせで実施することになっていた。


「それじゃあ、次は來見くんがどうぞ」


「ああ、えっと……」


 何回やっても、このリーディングとスピーキングを兼ねた課題は慣れないなと思いながらも、粛々とこなしていく。

 ふとある単語に目が留まり、読み上げる声が止まる。そんな來見を不思議に思ったのだろう、祝が様子を伺うように声を掛けてきた。


「來見くん?大丈夫?」


「……ごめん何でもない。続けるな」


 考えるのは後にすることに決め、來見は気を取り直して再び読み上げを始める。その出来は可もなく不可もなくといったところに思えた。


「……うん、バッチリだね!お疲れ様でした!」


「ありがとう、祝もお疲れ様」


 褒めてくれた祝に言葉を返していると、授業の終了を知らせる鐘が鳴る。生徒達は号令に合わせ席を立つと一礼し、解散していくのだった。


 教室に戻り、ショートホームルームが始まるのを待ちながら、來見は調べものをしていた。それは先程英語の授業で目についた、とある英単語についてであった。


(トランスポートは輸送すること……トランスポーターは膜輸送体に運送人……車両輸送車、それから転送装置ねぇ)


 電子辞書を閉じ自身の携帯電話を見つめ、考えを巡らせる。


(この携帯はある種、情報の転送装置ってことなのかな。こっちからメールがちゃんと送れてるのかはわかんないけど)


(そもそも未来と通信できるなんてことが前代未聞なんだから、一方的にしか情報を送れなくても不思議じゃない……か)


 そもそも過去を変えようという試みが他に例のない事態なのだから、その手段が限られ万能とはいかないのは頷けることだった。


(この携帯が未来の情報の転送装置だと仮定すると、今起こってる現象は何て定義する?……情報自体がタイムスリップしてきてるって事なのか?)


「來見くん、ホームルーム終わったよ」


 声を掛けられたことで、黙々と思考を深めていた來見は我に返る。いつの間にか担任は去り、放課後になっていたようだった。

 視線を上げた先には祝がおり、來見は慌てて返事をするために口を開く。


「あぁ、ありがとう。祝はどうした?何か用があった?」


「そういうのじゃないんだけど……さっきボーッとしてた感じだったから、大丈夫かなって」


 英語の授業の時のことを言っているのだろう、祝は心配そうに來見の顔を覗き込む。その距離の近さに狼狽えながらも、來見は心配を払拭しようと言葉を返した。


「そっか、いや全然大丈夫。わざわざありがとう」


「……いえいえ!」


(や、優しい……でもこの後何話せば良いんだ)


 安心したように微笑む祝に胸を高鳴らせつつも、次はどう行動するのが正しいのか、來見は分からずにいた。

 焦りから背中に汗が流れ始めるのを感じながら、意味もなくポケットに手を突っ込んでみる。思いがけず手に触れるものがあった來見は、殊の外大きな声を漏らしてしまっていた。


「……あっ!」


「わっ、どうしたの?」


「あぁ、いや。これ、カフェで使える無料券なんだけど、いる?」


 來見が苦し紛れに祝に差し出したのは、以前周編(すあみ)から大量に押し付けられたコーヒーの無料券だった。会話の糸口をつかんだ來見は、逸る鼓動を落ち着かせるためにゆっくりと息を吸う。


「カフェ早味(はやみ)……そういえば最近新しくお店ができたって、バスケ部の子が言ってた気がする」


「うん学校の帰り道にあるんだ。駅前からは少し歩くけど、コーヒーも食べ物も美味いよ」


 來見は無難に会話をこなせていることに内心安堵しながら、話を続けていく。


「俺、これとは別に1年無料券持ってるから、興味あるなら貰ってくれると助かる」


 來見は小火騒ぎの後に店主の早味から、コーヒー1年無料券というものを受け取っていた。

 ふと脳裏に、見ている方の胸が苦しくなるほど、何度も頭を下げていた早味の姿を思い浮かべる。


(どこかで手打ちにするためにも、必要なことだったよな)


 自分の不注意を責める早味の気が済むならと、お詫びの品や謝罪を家族で受け取った日のことを思い返す。そうすることで早味が必要以上に気負わずにいてくれるなら、來見としてはそれで良かったのだ。


「それじゃあ貰っちゃおうかな……でも一人だと少し行きづらいかも」


 來見の手から半券をそっとつまみ上げ、少し物憂げな表情で祝は言うと、來見の目をじっと見つめてくる。何かを期待するかのようにキラキラと輝く目と、視線がぶつかるのが分かってしまった。


(!?……これは一緒にってことか!?いやでもそれは自意識過剰な気が……!)


 何をどう言うべきか戸惑い、來見は無意識に固唾を呑みこむ。すると救いの手は思わぬところから差し出されるのであった。


「じゃあ三人で行こうぜ。皆で行けば怖くないってな。俺にもそれ、くれるだろ?」


「お、おう。……今度二人の空いてる日、教えてくれ」


 何処かで聞き耳を立てていたのだろう、ぬっと現れた香椎(かしい)の提案を來見は一も二もなく受け入れた。

 祝は急に現れた人影に驚いて目を瞬かせていたが、一つ頷く。悲しげに眉尻を下げたように見えたが、それは瞬きの間に取り繕われ保は笑顔で答えを返した。


「……う、うん!皆で行こうか。楽しみにしてるね!」


「うん、引き留めて悪かった。この後部活だよな」


「大丈夫!それじゃあまたね、ばいばい」


 手を振る祝に同じく手を振り返し見送ると、來見は大きく息をつく。緊張から解放されぐったりと椅子に背を預けていると、香椎は面白いものを見るように口を開いた。


「お前あそこはスマートに、じゃあ二人で行こうかって言わないと」


「うるせー、ハードル高すぎるわ……はい無料券」


 楽しそうにニヤつく香椎へ半券を押し付けるように渡す。香椎はそれを指に挟んで遊ばせながら、言葉を続けた。


「お前から誘って一緒に買い物行ったくせに、今更何言ってんだ?……俺の見立てだとあれは脈アリだぜ」


「……そういうんじゃないから」


「はー青春だなー。ま、頑張れ若人!」


 否定する來見を意にも介さずそう言い捨てると、香椎は自分の机を掃除のために移動させる。そのままサッカー部の活動へ顔を出すために去っていく姿を見送ると、來見も漸く立ち上がることにした。


「……俺も図書室行こう。……いやその前に掃除か」


 來見は片付けた机の上に椅子を置き、移動させる。その後、教室の掃除を終えるとスクールバッグと脱いでいたブレザーを手に取り、図書室へ向かうのだった。




「來見先輩こんにちは!」


「こんにちは。この間教えてくれたラノベあったよな、あれ面白かったよ」


「本当ですか?良かった」


 図書室に入るなり、元気よく声を掛けてきた浦部(うらべ)に來見も挨拶を返す。いつも通り、司書室で雑談もそこそこに読書研究部の出欠確認を終えると、部員達は散り散りになっていった。


「浦部来るの早かったよな、あいつのこと見かけてない?」


南寿(なす)先輩ですか?いつもの所に行ったのは見ましたよ」


 來見は相談事があったので、その適任者と思われる人物が不在かどうかを浦部に確認していた。所属するクラスが別なこともあり、今日は顔を出しているか把握していなかったためである。


「奥の資料室か。じゃ、ちょっと行ってくる」


「……邪魔したら怒られません?知りませんよ」


「ないない。今まで怒られたことないし、そんなにビビらなくても平気だよ」


 未だにその人物の雰囲気に慣れていない浦部を軽く諭し、來見は資料室へ足を向ける。


 資料室は司書室の反対側、図書室の入り口からは一番奥にある部屋で、大判の本や資料集が納められている個室であった。とは言っても透明なガラスの仕切りのお陰で図書室からも中の様子が見えるので、隠れて悪さはできないようになっていた。


颯真(ふうま)いるか?」


 來見は特に緊張することもなく扉を開き、目的の人物がいるか確認する。

 部屋の中を覗き込むと窓際のベンチの上に、一人の男子生徒が本棚を背もたれに足を延ばしてハードカバーの本を読んでいた。


「……何だ?」


 座っていてもわかる長身の少年は、砂色の髪が伸びた頭から装着していたヘッドフォンを外し來見へ緑色の目を向ける。


「今いいか?相談したいことがあってさ」


「……」


 男は無言で本を閉じ、床に揃えて置いたあったサンダルを履き直し立ち上がる。そのまま備え付けの机にしまってあった椅子を引くのを見て、來見も対面へ座ることにした。


「それで?相談って何だ」


「ちょっと知恵を借りたくて。なあタイムスリップの定義って何だと思う」


 來見は未来からのメールを受信する携帯電話と今起きている現象をどう定義すべきなのか、情報の整理がしたかった。そこで颯真という、普段から図書室に入り浸っている博識そうな友人から意見を聞こうと思ったのだった。


「……SF談議か?」


「そんなところ。俺の考えだとタイムスリップって偶然起こるイメージあるんだよな」


「まぁ、確かに。スリップって言ってるからな。うっかり躓いて転んだ先が過去や未来だったって感じか」


 來見は自分の意見を口に出しながら、考えを形にしていく。颯真も存外乗り気なようで、饒舌に語り始めた。


「偶発的ではなくて……本人が自覚的に移動する場合は、タイムトラベルか?機械とか使ってさ」


「タイムマシンを使った時間旅行か……うん、それっぽい。今言った二つのパターンって、肉体ごと移動する感じだよな」


「あぁ。つまり、過去の自分が未来の自分と会う事もあれば、過去を改変した結果タイムパラドックス(辻褄が合わない事態)が起こり得たりする。その辺の矛盾をどう解決するかが、時間ものの面白いところだな」


 タイム、と名の付く単語が何度も出てくることで少し内容が込み入ってきたが、二人は更に議論を重ねていく。


「じゃあ、その矛盾が起こらないのは?……この場合俺が言いたいのは、精神だけが移動するケースな」


「難しいこと言い出したな……そうだな、タイムリープとか?自分の能力を使って意識だけが過去に行ったりする」


「なるほど……ちょっとややこしくなってきたな」


 來見がそう言うと颯真は紙とペンを取り出し、議論したことをサラサラと表にまとめていく。

 肉体の有無、タイムパラドックスの有無、自覚の有無などそれぞれにマルやバツの印が付けられていた。


「これで分かりやすくなったか?……一応言っておくけど、これはあくまで俺達が勝手に決めた分類で、実際に正しいかは分からないからな」


「ありがとう。そこは勿論、弁えてるよ」


 颯真から分類表が書かれた紙を受け取りながら言葉を返す。あえて種類として分ける時の目安でしかないと言いたいのだと、來見は理解していた。


(これを元に携帯とか今起きてる現象について、もう少し考えてみるか)


「お陰ですっきりしたよ、手伝ってくれて助かった。そうだなお礼に何か……」


 來見は自身の持ち物を探ると、再びポケットの中から無料券を発見する。それを颯真に差し出しつつも、これが礼で良いのかと若干の気まずさから目を泳がせてしまった。


「これやるよ、味は保証する。……俺がタダで貰ったやつだけど」


「……貰えるものは貰っとくけど、行くとは限らないから腐らせるかもしれないぞ」


 普段はあまり変わらない表情に、困惑した様子を浮かべながら颯真は半券を受け取る。戸惑いを素早く感じ取った來見は、頷きながら口を開いた。


「あぁ、じゃあ今度一緒に行くか。中間が終わった後にでも」


 テストが終わった打ち上げとしても良いかもな、と続ける來見を颯真は呆気に取られたように見つめていた。


「……ぼっちがキツいって意味じゃなかったんだけど。わかった、じゃあ適当に空けとく」


「おー、そうしておいて」


 ひとまずの議論を終えた來見は大きく伸びをする。資料室から退出しようと椅子から立ち上がると、颯真は再び声を掛けた。


「ちょっと待て、そういえば携帯変えたんだよ。ついでだから今アドレス登録していけ」


「えっ、そういうのは機種変した直後に、一斉送信とかでやるもんでは……」


「……面倒くさくて放置してたんだよ。ほらお前の携帯出せ」


 來見は理不尽に睨みつけられながらも、俊敏な動きで携帯を取り出した。颯真も鞄から携帯を取り出してきたが、それはどうにも不思議な形状をしていた。


「何かでかくない?テンキーもないし」


「そういうデザインなんだよ。ちなみにSDカードと赤外線も付いてない」


「へー何か使いづらそう……そういえば去年うちの伯父さんも新しい携帯にしてたっけ、同じところのやつかもな」


 颯真の新しい電話番号を保存し、メールが送られてくるのを待ちながら二人は他愛のない会話を続ける。


(最新の携帯にするって言って、当時全然使ってなかった携帯をタダで譲ってくれたんだよな)


 それがまさに今、來見が使用している携帯電話であった。ストラップの鈴は伯母が手作りしたもので、わざわざ外す必要もないと思い、付けたままにしていたのだった。


(伯父さんが使ってた時も、未来からメールが届いたりしてたのかな……いやそんなことがあったら、俺に渡すわけないか)


「今送った。今度からはそっちに送ってくれ」


 物思いに耽っていると、既に颯真からのメールが届いていた。

 來見は慣れた手つきでメールを開くとアドレスを選択し、電話帳に改めて登録し直す。


「了解。忘れないうちに他の人にも送っときなよ」


「……わかってるよ。じゃあな」


 颯真は話が終わったのなら出ていけと言わんばかりに、追い払うような手振りをする。

 來見はそれをいつもの事だと、気にすることなく資料室を後にした。


(さて、後は家に帰って考えをまとめるとするか……)


 來見はそのまま司書室に向かうと、机の上に置かれている出席簿を開いた。自分の名前を探し、橫に伸びた帰宅を示す欄へと印を付けていく。

 読者研究部は今更言うまでもないが、非常に緩い部なので遅刻も早退も咎められることがなかった。一応、週に2回の出席を推奨してはいるものの、顔を出さなかったことによるペナルティは特にない。

 ただ予めローテーションの組まれている司書当番だけは義務付けられており、それさえこなしていれば在籍を許されるというのんびりとした部であった。


「お疲れ様でした」


「お疲れ様ー」


 カウンターで作業している先輩や後輩に小声で声を掛け、互いに会釈を交わすとその足で図書室から退出する。

 來見は颯真とのやり取りを思い返し、内容を咀嚼しながら帰宅するのだった。




「さて。じゃあ、今起きてる現象を何て定義するかって事だけど……表を見てもわかる通り、どれにも微妙に当てはまらないんだよなぁ」


 來見は腕を組みながら、机の上に置かれた携帯電話と颯真から貰った分類表を見て考え込む。


「間違いないのは、未来から誰かが来てる訳じゃないってことだよな?過去を変えたいなら普通、自分でやるよな」


 わざわざ來見にメールを送っていることから、送り主自身は変えたい過去の出来事に直接介入することはできないと見ていいはずである。


(でもタイムリープかと言えばそうしゃない。俺にその自覚はないし……)


「……いや送り主が未来の俺なら、自覚のないタイムリープって言えるのかも?」


 未来での過去を変えようとする意志が、携帯電話を通じて過去の來見に行動させる。それは結果だけを見れば、未来の來見が過去で奔走する事と同じものだと言えないだろうか。


「……そうなると俺が行動したことで、メールを送ってきている未来も変わるはずだから……その確認をしてるから、感謝のメールを返すのに時間がかかってるとか?」


 何となくそれらしい理屈を付けられた気がするが、今のところ全ては來見の推測でしかない。


(何にせよ結論を出すには情報が足りないか……)


 來見は背もたれに体重をかけ、椅子を軋ませる。そして携帯電話を手に取ると天に掲げて、じっと見つめた。


(起こっている現象にあえて名前を付けるなら、タイムリープが近いかもしれない。でも俺には特殊な能力なんてものは無い)


 來見自身は時を駆けていないし、その自覚もない。それならば特殊なものとして名を付けるとするなら、この携帯電話が尤も適しているのではないだろうか。


「お前に届くメールだけが時を駆けてる。情報だけが時間を移動してる」


 だからそれに因んだ名前が相応しいはずだ。テレポートしていると言い換えても良かったが、それよりも先に印象に残っていた単語があった。


「……じゃあやっぱり、トランスポーターって名前が良いよな」


 情報やデータを送り届けるもの。情報の転送装置。

 來見にとってはその名前が一番適切であると、信じて疑わなかったのだった。




「來見、ゴールデンウィークのどっかで映画行こうぜ」


 自身の携帯電話を転送装置(トランスポーター)と定義してから数日後、昼休みの時間に來見は香椎から遊びに行くことを持ち掛けられていた。

 この年のゴールデンウィークは3日間の休みの後、平日が2日続き、その後4日間の休日が続くというものだった。今日がその平日であり、生徒達は久し振りの学校生活を送っていたのである。


「いいよ、何の映画?」


「前言ってたSF系のやつ!お前も面白いって言ってたじゃん」


 確かに以前、香椎とそんな話をした覚えがある。來見としても特に異存はなかったので、快く承諾することにした。


「あれか、じゃあいつ行く?」


「……ゴールデンウィーク初日の、3日とか?」


 香椎らからすると、後半の4日間の休みこそがゴールデンウィークという認識だったのだろう、そんな口ぶりで提案してくる。

 特に深く考えずに適当に日程を決めたのが分かったが、その日は予定を入れていなかったので、來見は首を縦に振る。


「明後日だな。時間調べるか」


「あーこの辺の映画館は小せぇから、ちょっと都心の方に行こうぜ」


 会話を交わしながら、二人して映画館や上映時間を調べ始める。するとその呑気な雰囲気を壊すように、來見の携帯が震えメールの受信を伝えた。


 いつものようにメールは自動で開き、來見にその内容を知らしめる。


「2012年5月3日18時、南寿 颯真が頭部に強い衝撃を受け昏睡状態に陥る。」


 來見は内容を理解すると同時に息を呑み、ややあって再び口を開く。


「……ごめん、3日用事入ってた。別の日で良いか」


「おーじゃあ5日にするか」


 香椎のあっけらかんとした物言いに救われる思いを感じながら、來見は自分がどう行動すべきか頭を働かせるしかなかった。

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